ちょっとした夏の想い出
ちょうど右に見える海は
これから向かっていく街から離れてゆくから
少し、さみしいね
・・・夏休み
おじいちゃん、おばあちゃんの家に行くときは
胸いっぱいの思いを抑えきれない
初めて飲んだサイダー
スイカが水遊びをしている川に
無意識に手を突っ込めば
ひんやりとして気持ちがいい
緑しかない山々
白い雲に
どこからか風鈴の音色
紙飛行機のつくりかたを教えてもらう
草笛も
折り紙風車も
親のご機嫌取りで
夏休みの宿題を持ち込んでも
結局はやらずにいる
でも、それ以上に
学ぶだことはたくさんあった
毎回違う感動も
麦わら帽子に白いワンピース
すれ違う
背の高い女の子
軽く会釈をされる
僕も少し遅れて会釈をする
振り返りはしない
街の中に響いてる風鈴の音色も
夜に近づけば
微妙に音を変えてゆく
僕のこころも
なぜかしら踊る
浴衣姿で花火
線香花火は
今日あった出来事を振り返させてくれる
ゆっくりとした時間のなかで
また、会えることができるかな
もう会えないかな
明日も同じ場所で
会えるかな・・
じりじりと
音を立てて
いつのまにか大玉の線香花火
ポトリと落ちては
一瞬だけ暗がりに
またパッと明るくなる
次に浮かぶ花火の輪
もし、二度と会えないとしたなら
今日のすれ違いは
ときのいたずら?
恋心
夏休みの宿題を終わらせる頃も
それからも
ずっとこころに残るもの
こいごころ
恋のあと、思いがコロコロと
風鈴の音色
ずっと忘れない
自分の家に帰る車の中
振り返っては見える海の向こう
ちょうど右に見える海は
これから向かってゆく街から離れてゆくから
だいぶ、さみしいね
いつかのときを
僕はいつも思い出している