光の子と闇の子
虹色のきらめきに染まる光の子は、愛と喜びのなかで幸せに暮らしていました。
あるとき光の子は、鍵穴のある不思議なかたちの扉を見つけました。近づいてみると、鍵穴の向こうでなにかが一瞬、もやっと動きました。
もっとよく覗いてみると、それは深い闇に包まれており、光の子はちょっぴり怖くなりました。自分の光で包んでみようとためしてみましたが、闇は増えるばかりで、なかなかうまくいきません。
「これはなんだろう?」
光の子は、鍵穴の向こうの闇が気になってしかたがありませんでした。はじめて目の当たりにしたそれは、とても興味深く、それでいて、どこか懐かしさを感じるものだったからです。
夜の暗闇に染まる闇の子は、不安と孤独のなかで悲しげに暮らしていました。
あるとき闇の子は、鍵穴のある不思議なかたちの扉を見つけました。近づいてみると、鍵穴の向こうでなにかが一瞬、きらりと煌めきました。
もっとよく覗いてみると、それは今までに見たことのない光を放っており、闇の子は思わずたじろいでしまいました。光に恐れを感じ、自分の闇で覆ってみようとためしてみましたが、まばゆい光は増えるばかりで、なかなかうまくいきません。
「これはなんだろう?」
闇の子は、鍵穴の向こうの光が気になってしかたがありませんでした。今までに見たことのないそれは、とても新鮮で、それでいて、どこか安らぎを感じるものだったからです。
ーー光の子と闇の子は、思いきってその扉をひらいてみました。
すると、ふたりの心に、さまざまな記憶がよみがえりました。
いつかの魂の旅のとき、光の子は闇のなかにいました。言いようのない不安と孤独に包まれ、光の子は、闇のなかで闇の子として生きていたのです。
いつかの魂の旅のとき、闇の子は光のなかにいました。美しい色彩と音色に包まれ、闇の子は、光のなかで光の子として生きていたのです。
すべてを思い出した光の子と闇の子は、互いに惹かれあいました。光の子は闇の子のことが好きになり、闇の子も光の子のことが好きになりました。
そして、とけあうようにぴたりと身を寄せあったふたりは、これからの時間をいつまでもずっと、ともに過ごしたのです。