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第四十一話 夜半の襲撃

 その日の夜半過ぎ、外の騒がしさで私は目が覚めた。


「何だ? うるさいな」

 

 隣で寝ていたエドワード様が、すかさず起きて外の様子を窺う。


「キアラはここにいて」


 彼は上着を羽織って、外に出て行った。

 一体何事だろう?


 突然、外に出てった筈のエドワード様が転移で戻ってきた。


「どうしたんですか?」


「敵襲だ。北の蛮族が攻めて来た。すぐここを離れるんだ」


 敵襲? こんな時に?

 彼は深刻な顔で、私を連れて転移した。

 そこは村一番の聖堂で、村人が結構避難して来ていた。


「ここが、避難所らしい。君はここから動かないこと。いいね?」


「エドワード様は?」


 彼はちょっと笑った。


「僕なら心配要らない。ちょうど鈍ってきてたし、ちょっと蹴散らしてくる」


「気を付けて」


 さすがに彼がどうこうとは思わないけど、状況がよく分からないので、さすがに心配だ。


「姫!」


 キースさんが、子供を何人も連れて聖堂へ入ってきた。


「エドワード様は?」


「蹴散らしてくるって、出て行きました」


「私も行きます。この子達をお願い出来ますか?」


「分かりました」


 そう言うと、彼は瞬く間に転移して消えた。

 はぁー、転移魔法便利過ぎる。私も早く元に戻りたい。


「お姫様、一人なの? 王子様は?」


「戦いに行ったの」


 子供達は無邪気だ。こんな敵が襲ってくるような場所で、この子達は普段から生活しているのか。

 私は恵まれていたんだな。


「王子様強いの?」


「強いよ、賢者様だからね」


「おおーっ! 賢者様? リチャード様より強いの?」


「強いんじゃないかな?」


 まあ、実際エドワード様が負ける訳ないけど。


「嘘だ!! リチャード様が一番強いんだ!!」


 別の男の子が、否定の声を上げた。

 リチャード王子も、子供には慕われてるんだな。


「前の襲撃も、リチャード様が敵の大将を撃退したんだ。だから、リチャード様が最強の戦士だ!」


「それは凄いね! 分かった分かった」


 子供達は、リチャード様の武勇伝をこれでもかと聞かせてきた。彼らもやはり不安なのだろう。


「どうも、今回の襲撃はおかしい」


 すぐ近くの席に座っていたお爺さんが呟いた。

 隣のお婆さんに話しているのが聞こえる。


「こんな夜遅くに。しかも相手はどうも屍人(しびと)らしい」


「おお、怖い」


 屍人(しびと)? どういうこと?


「前に倒した蛮族達が、揃って屍人(しびと)になって帰って来たそうな。こんな事は初めてだ」


 そんなの只事ではない。エドワード様達は大丈夫なの?

 私は不安の中、居ても立っても居られない。


「みんな、ここにいて、絶対に動いてはダメだよ?」


「お姉ちゃんどこ行くの?」


 小さい女の子が聞いてきた。


「ちょっとだけ、様子を見てくる。すぐ戻るから!」


 私は走りだした。状況を確認したら、すぐ戻ってこればいい。


 外は火の手があちこちに上がっていた。

 戦える大人達は、皆揃って出ているようだった。


 あちこち怪我人もいた。


 私は怪我人に声を掛けて、聖堂まで誘導した。

 今、戦えない私にも出来る事がある。


 建物の影に座り込んで動けなくなっている人がいた。

 厚手のフードを被っていて、顔は分からない。


「大丈夫ですか? 動けますか?」


「ああ、すみません。手を貸してもらえますか?」


 私は肩を貸そうと手を伸ばした。

 その手を強い力で、引き寄せられた。


「!!」


容易(たやす)い、こんな容易(たやす)いとは」


 懐に羽交い締めにされ、身動きが取れない。


「何するの?」


「エルフの姫よ、ここにあなたがいると聞いて、わざわざ会いに来たんだよ?」


 私を知ってる? 何者なの?


「幸い、姫を守る騎士達は、全員出払っていてここにはいない。悠々とあなたを連れ出せる」


「あなたは誰?」


「私は、この国の第二王子レスター・エヴァン・ローウェル」


 な、何ですって!!


「あなたを迎えに来た。私の花嫁を」


 耳元で囁く声は、ゾクゾクするほどいい声だ。


 ま、またこの展開なの? さすがに勘弁して欲しい。


「だから、私には夫がいるんですって!」


「ではその夫が死んだら? あなたは晴れて独身だ。いや、まだ正式に式は挙げていない筈。確かリチャードが先に攫ったんだったね」


 後ろから羽交い締めにされてるから、顔が見えないけど、きっと嫌な奴だ。


「エドワード様は、こんなところで死にません。痛い目に遭いたくなかったら、さっさと離して下さい!」


 ふっと、腕の力が緩んで、私はすかさず逃げようとする。


「おっと、逃しはしない」


 腕を掴まれかけたので、私は体を捩って(よじって)避けた。


「体術の心得があるのか」


 厚手のフードがめくれて、ようやく彼の顔が露わになった。

 全く想像と違った、優しい面差しの超絶美形だ。


 肩まで伸びた銀色の髪は柔らかそうで、青い瞳は海の色のよう。エドワード様やキースさんともタイプが違うが、次元の違うイケメンがここにもいた。


 王子様ってだけでイケメン補正付いてない?


「私も体術は自信がある。ここで相手をするのも楽しそうだけど、あんまりモタモタしてると見つかりそうだ」


 レスター王子が、素早く動いて私の腕を掴んだ。


「え、ちょっと!」


 そのまま彼は懐から何か札のような物を取り出し、宙に投げた。


 瞬間、私は次元の狭間に吸い込まれたのが分かった。

いつもありがとうございます。


昨日のPV数が、全く理解出来ない私です。

変わらず読んで下さる方、本当に感謝です。


はい、また攫われてしまいました。

という訳で、これが最後の攫われイベントになります。

終わりに向けてこれからどんどん話が進みます。


もう少しお付き合いくだされば幸いです。


明日も二話更新予定です。

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