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異世界・オブ・ザ・デッド ~才能ゼロの魔術師だけど世界を救いたい~  作者: 結城 からく


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第七十二話 ゴーレム使い

 突如現れた女魔術師はつかつかと進むと、優雅な動作でルフトの隣に腰を下ろした。


(どうして僕の隣なんだろう……そもそも誰だ?)


 ルフトは身を硬くして困惑する。


 初対面にしては距離が近い。

 かと言って、知り合いにこのような魔術師はいなかった。


 ちらりと顔を覗き見れば、女魔術師は眠たげな微笑を返してくる。

 相当な美人だ。

 ルフトは慌てて視線を戻した。


「カレン。もう起きて大丈夫なのか?」


 ドランの質問に、カレンと呼ばれた女魔術師は飄々と頷く。


「ええ、余裕よ。あと三日は不眠不休でやっていけそう」


「睡眠は取ってくれ……」


 ドランは頭を押さえて嘆く。

 ほとほと呆れているようだった。

 彼は若干苦い表情でルフトに告げる。


「紹介する。こいつはカレン。俺と同じ金等級の冒険者で、この岩山の拠点を造ったゴーレム使いでもある」


「この方が……」


 紹介を受けたルフトは納得する。

 カレンから膨大な魔力を感じるからだ。

 量としては常人の数倍はあるだろう。

 彼女ほどの魔術師なら、岩山の拠点を造れても不思議ではない。


 カレンは顎を撫でつつ言う。


「話はこっそり聞かせてもらったわ。魔術学園がそこまで安定した状態なら、駆け込むのはアリなんじゃない? てっきり、とっくの昔にゾンビで溢れ返っているかと思ったわ。それにしても君、すごい魔力量ね。何の魔術を使えるの?」


 いきなり話を振られたルフトは、戸惑いながらも答える。


「しょ、召喚魔術です……ただ僕の場合は負の適性による発現なので、術式から考え得る中で最悪の結果が起きるようになっています。今は霊獣召喚の魔法陣で、特殊能力を持った異世界人を呼び出せます」


 本来、負の適性に関してはあまり言うべきではない内容だろうが、ルフトはすべて正直に話そうと判断した。

 その方が誠実だと思ったからだ。

 何よりカレンの凛とした視線の前では、下手な嘘など通用しなさそうだった。


 事情を把握したカレンは、面白そうに目を輝かせる。


「聞いたことのない事例だわ。負の適性はちょっとリスキーだけれど、結果として異世界人を呼び出せるのでしょ? 魔術学園を守れたのも納得ね。ドラン、やっぱりこの子のアイデアで行くべきよ」


 カレンは身を乗り出してドランに提案する。

 もはや有無を言わせない雰囲気があった。

 決断もかなり早い。


(出会って間もないけど、色々とすごい人だな……)


 ルフトが心の中でそんな感想を抱いていると、ついにドランが喚くように答えた。


「分かった分かった! 俺が折れる。お前の判断とルフトの熱意を信じるよ。皆で魔術学園へ避難しよう」

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