表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界・オブ・ザ・デッド ~才能ゼロの魔術師だけど世界を救いたい~  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/95

第三十三話 異世界人の共通点

 博士の独り言に区切りがついたところで、ルフトは別の話を切り出した。


「これからどうしますか? 僕としてはなるべく早く町を脱出したいのですが……」


 この街は長居する場所でもない。

 可能なら速やかに離れた方がいい。


 町の門付近にはゾンビ化した魔物がいるそうだが、博士がいれば問題ないだろう。

 発言からして、彼はおそらく研究者か何かと思われる。

 しかしゾンビに少しも動揺しないところから、何らかの戦う術を持っているのでは、とルフトを睨んでいた。

 積極的に殺しには行かないだけで、いざという時は凄まじい力を発揮するはずだ。


 加えてルフト自身の力も博士の薬剤で強化されている。

 今の状態なら獣人族が相手でも十分に立ち回れると、ルフトは確信していた。

 致命傷すら完治する再生能力もあるので、ゾンビ化した強力な魔物とも戦えるはずだ。


 意見を求められた博士は、じっとルフトを見ながら尋ね返す。


「私が召喚される前はどういった方針だったのかね?」


「そ、それはですね……」


 ルフトはA子と共に暴徒の殲滅途中だったことを説明する。


 本音を言えば嘘をついて誤魔化したかった。

 正直に話せば碌なことにならないと予感していたからだ。

 ただ、嘘を看破されたときの方が恐ろしかった。

 どんな目に遭うか分かったものではない。


 案の定、暴徒殲滅の話を聞いた博士は、たいそう嬉しそうに顎を撫でる。


「私の前に召喚された者は、なかなかにセンスがいい。暴徒殲滅……いいじゃないか、続行しよう。色々と試したいことがあるんだ。使い捨てても惜しくない実験台が欲しい」


「で、でも危険かもしれませんよ……? 相手は大勢いるでしょうし、こちらは僕とあなたしか」


「では、君が実験台になってくれるのか。言っておくが、先程のミュータント・リキッドの初期症状とは比べ物にならない苦痛が待っているぞ。ただの細胞の強制変異では終わらない。命がいくつあっても足りないだろう。それでも構わないのなら、私は君に従うよ」


 ルフトの反論を遮るように、博士はつらつらと述べる。

 有無を言わさない雰囲気だ。

 決してただの脅しなどではない。


 言うことを聞かなければ、お前を実験台にして苦しめる。

 博士はそう告げているのだ。


「…………」


 ルフトは数分前の注射を思い出す。

 地獄のような苦しみだった。

 あれを越えるものを耐えるなど、できるはずがない。

 たとえ死ななかったとしても、精神が先にやられてしまう。


 迷いも一瞬で、ルフトは静かに答える。


「……分かりました。暴徒殲滅に、行きましょう」


「よしよし、賢明な判断だ。君を異世界の助手に任命する。私に従う限り、君の生存を約束しよう。これからよろしく頼むよ」


「よろしく、お願いします……」


 こうして暴徒殲滅の計画は、メンバーが変わっても同様に続行されるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ