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ごく普通に恋をして  作者: リヨ
1/1

隣の席のあの子

初心者ですが楽しんでいただけると嬉しいです

俺、清水凌人には彼女がいない。充実した高校生活を送っているやつなら彼女の1人や2人いるのだろう。2人いたらだめか。

しかし、俺には彼女はおろか、女子の友達は一人もいない。

付け加えるなら男友達も数人しかいない。

アニメのキャラで言ったら恐らくモブキャラだ。モブdくらい。

そんな俺でも恋はする。実ったことはないが。

相手の名前は鈴木梓さん。別に特別可愛いという訳では無い。

印象はどちらかと言うと清楚系。友達もそこそこいて、クラスでは中立の存在。

言っては悪いが彼女もクラスではモブキャラのようなものだ。

何故俺は彼女に恋をしたのかよく分からない。いつ好きになったのかも、どこが好きなのかもわからない。

正直心当たりがあるとすれば、一番話しかけてくれる女子が彼女、という事だけだ。

たったそれだけで恋に落ちたとするなら、俺はなんて恋に落ちやすい男なんだろう。

しかし、恋に落ちてしまったものは仕方がない。

目線は自然と彼女の方へ向いてしまうし、彼女と距離を縮めようと試行錯誤する。

時々目が合った時なんかは嬉しい。

まるで中学生のようだ。

好きな子とはたくさん話がしたい。誰もがそう思うだろう。

しかし、いきなり女子に話しかけたりなんかしたら周りが不自然に思うだろう。

俺は普段女子とは話さない。そんな奴が特定の女子に話しかければ怪しむだろう。

今までに恋をしたことは何度もある。でも、話しかけたりはせず、運命に身を任せ、相手から話しかけられるのを待つだけだった。

今回もきっと同じ。話しかけられるのを待っててそのまま時が過ぎてお別れ。

高校生になると半分諦めているところはある。

高校生にもなって彼女が一人もできたことがないとなると、この先も恐らくできないだろう。

「……はぁ」

「どした、凌人」

「自分の男としての価値のなさに絶望してる…」

「まぁお前運動できない、成績そこそこ、アニメ好きの典型的なオタクだもんな」

「お前もだろ」

「俺は成績も悪い!」

「そんなこと誇らしげに言うな」

俺の数少ない友達、三好春樹。中学からの付き合いだ。

「でも俺達も高校生か〜。彼女の1人ぐらい作った方がいいよな」

「なにそのやる気になれば余裕で作れますみたいな言い方」

「俺はお前と違ってコミュ力はあるからな!そのお陰でオタクでも友達そこそこいるし」

「どうせ俺はコミュ障の陰キャラオタクですよ」

「ははは!いじけるなよ!お前だって彼女作れるかもよ?ほら、鈴木さんとか、たまに話してるだろ?」

「……あれはただの優しさだよ。席が隣だから話しかけてくれてるだけ」

「その優しさに惚れてしまったと」

「…誰も惚れたなんて言ってないんだけど」

「いや、だって鈴木さんのこと好きだろ?」

「……俺、そんな事言ったっけ?」

「普段の凌人見てれば丸わかりだけど」

「…まじで?」

「まぁクラスの奴らはお前なんて興味無いから気づいてないだろうけどな」

「…そんな分かりやすい?」

「そりゃあ、結構な頻度で鈴木さん見てるしな。鈴木さんも気づいてるんじゃないか?」

「…どおりで最近話しかけられる回数少なくなったような…」

「気持ち悪がられたな。ははは!」

「そりゃこんな陰キャラにチラチラ見られたら嫌だろうけどさ…はぁ。俺の恋、終わった」

「まぁまだ諦めるなよ!回数減ったって言っても話しかけてはくれるんだろ?ならまだ行けるって!」

「お前なんでそんな元気なんだよ」

「え?親友の恋を応援するのは当然だろ?」

「……どうせ片思いで終わるよ」

「まぁ今までの凌人はそうだったもんな……よし!決めた!俺が協力してやる!」

「…何するつもり?」

「それは帰りまでのお楽しみだ」

春樹の顔は悪巧みした少年のような顔だった。

嫌な予感しかしない。



そして時間はすぎ、帰る時間になった。

「清水くん」

「っ!?す、鈴木さん。ど、どうしたの?」

「三好くんが用事あるから帰りの日直の仕事清水くんに頼んだって聞いたんだけど…」

あいつの言ってたのはこのことか…!そういや今日春樹と鈴木さんが日直だったんだ。

しかしこれはあいつがくれたチャンス。

「そ、そうそう。あいついきなり言ってきてさ。さっさと終わらせよう」

「うん。じゃあはい、黒板消し」

「あ、ありがとう」

「…」

「…」

俺達は黒板消しを開始する…が、会話はなし。

これでは今までと何も変わらない。

春樹の期待に応えるためにも、なにか話さなければ。

「…そ、そういえば鈴木さんさ」

「えっ?う、うん?」

「好きな人とかいるの?」

「……え?」

……ん?…んん!?今なんて言った俺!?初めて話しかけた内容が好きな人いる?って!!!絶対変なやつだと思われた…

「きゅ、急にどうしたの?」

「や、やっぱり今の忘れて!なんでもないから!うん!ほんとに!」

これはかなりの赤っ恥だ。

俺がコミュ力の塊だったら色々話せるのに…

「…………いたら、どうする?」

「…へ?」

「……」

え、鈴木さんって好きな人いたのか!?いやでも年頃の女の子だしいてもおかしくはない…

「お、応援するよ。鈴木さん可愛いからきっと大丈夫だよ!」

「あ、ありがとう…」

鈴木さん好きな人いたのか……今度こそ俺の恋終わった……(自分の恋が終わったことに絶望して彼女を口説いたことに気づいていない)

「…あ、高いところは俺がやるよ」

「え?ううん、大丈夫。このくらい…!んっ…!」

鈴木さんの身長は150cm後半くらい。背伸びして頑張ってはいるが届いていない。

「…あはは」

「し、清水くん?」

「え?あ、ごめん。鈴木さんが頑張って背伸びしてるの見たら…ははっ」

「わ、笑わないでよ〜!」

「ご、ごめんごめん」

「もうっ…」

やはり鈴木さんといると楽しい。これは本心だ。出来ることならずっと一緒にいたい。

「……」

「…?清水くん?どうしたの?」

「え?う、ううん、なんでもない。次はゴミ捨てだよね?」

「うん。今日は多いんだ。行こっか」

俺と鈴木さんは隅に集められたゴミを集め、箱に入れて集積場へ持っていく。

「重いね…!」

「確かに…男の俺でも重い」

「んしょ……きゃっ!」

「鈴木さん!」

俺達が階段を降りていた時、鈴木さんが足をつまづき、階段から落ちそうになる。

俺はとっさにゴミ箱の手を離し、鈴木さんの下に飛び込む。

そして俺達は、そのまま転げ落ちた。

「うっ……」

俺はそのまま意識を手放した。















「………ここは?」

気がつくと、俺は自分の部屋にいた。

確か学校でごみ捨ての途中だったはず…

すると、部屋のドアが開く。入ってきたのは…

「…お待たせ、凌人くん」

バスタオル1枚の鈴木さんだった。

「へ?……え!?な、なななんでここに!?というかその格好…っ!」

状況が謎すぎて飲み込めないぞ。どうなっているんだ。

「どうしてって……聞かないでよ、もうっ…」

なんで鈴木さんが俺の部屋にいるのか、バスタオル姿なのか、そしてなんで名前呼びなのか、ツッコミどころは色々あるが、さすがにこれは夢だ。

リアルでこんな状況になるはずない。

「凌人くんも…」

「え?あ、はい」

ふとカレンダーを目にすると、日付は12月24日だった。クリスマス・イヴ。

こんな日に男女二人っきりで片方はバスタオル姿。

もうこれはあれでしょ。俺が欲求不満ってこと?

「…でもどうせ夢なら…」

行けるところまで行ってしまった方が…シャワーを浴びながらふとそんなことを考える。

「……」

俺は入念に体を洗い、体を流す。

そして腰にバスタオルを巻き、部屋へと戻る。

「お、おおおお待たせ…」

行けるところまで行ってしまうかとか言っていたが正直心臓バクバクである。

鈴木さん普通に可愛いし、俺の部屋にバスタオル1枚の美少女がいることになる。

こんなの陰キャラオタクに耐性あるわけない。

「…」

鈴木さんはゆっくりと俺に近づく。そして…

「んっ…」

「っ……………ぷはっ」

長い口付けを交わす。夢のくせに感触もリアルだ。

「凌人…くん…」

これは夢。鈴木さんは俺を求めてきてくれている。夢なら…

「………梓…さん」

俺はゆっくりと梓さんをベットの方へ……


「…………うぅ…?」

「っ!清水くん!」

「…こ、ここは…」

「保険の先生の家。もう下校時刻だったから家まで連れてきてくれたの。覚えてる?」

「…」

そうか。俺確かごみ捨てに行ってて…鈴木さんを助けてそのまま階段から落ちて気絶したんだ…

「良かった……清水くん、倒れてから何時間も目を覚まさないから…先生は大丈夫って言ってたけど…心配で…」

鈴木さんはきっと自分が助かった代わりに俺が痛い目にあって罪悪感を感じているのだろう。

優しい。だからこそだ。

「…鈴木さんは怪我とかしてない?」

「うん、清水くんが助けてくれたから…」

「良かった…」

「あら、起きたのね」

「あ、先生」

「気分はどう?」

「少しぼーっとするくらいで、大丈夫そうです」

「そう。少し休憩してなさい。もう時間も遅いから、帰りは私が送っていくわ」

「ありがとうございます」

「すみません」

時間は…9時。ごみ捨てが確か6時前だったから…3時間も気絶してたのか。

「……」

「……そういえば、さ」

「うん」

「清水くん、夢見てたの?」

「っ!?ど、どうして?」

「えっと…夢の中で…私の名前呼んでた、から…」

「そ、そうなんだ?俺よく覚えてないや!きっと大した夢じゃないよ!あはは!うん!」

俺は無理に明るくしゃべり、誤魔化そうとする。

「…普段いつも苗字だから、名前で呼ばれた時ちょっとドキッとしちゃった。えへへ」

「っ…ま、まぁ俺から呼ばれなれてないからだよ」

「でも、私のこと名前で呼ぶ夢ってどんな夢だったんだろう?ちょっと気になるな」

「な、なんだろうね?ほんとに…あははは!」

あの夢のことは絶対に言えない。言ったら嫌われるどころか軽蔑される。

「2人ともー、そろそろ行くわよ」

「あ、はい」


「先生、ありがとうございました。清水くんもまたね」

「また明日ね」

「また、ね…」

またね、か…さよならとかじゃなくまたね。また会いたいってことだ。まぁクラス同じなんだから会うのは当然だけど。

でもそれでも嬉しい。

「それにしても、清水くん、意外と男らしいわね。女子を命を張って助けるなんて」

「あれは…無意識ですよ」

「だからこそ、よ。そう出来ることじゃないわ。誇っていいことよ」

「…ありがとうございます」

「鈴木さんも惚れちゃったかもね?」

「ぶっ!?な、何言ってるんですか!」

「だって、男子に命張って助けられたら、キュンと来ちゃうわよ?女の子は」

「…ほ、ほんとですか?」

「……もしかして、鈴木さんのこと好きなの?」

「だ、誰もそんなことは…!」

「ふふっ、清水くんはわかりやすいわね」

「それ友達にも言われました…」

「…ま、その想いが届くといいわね」

「…はい」


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