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猫様の下僕日記  作者: 鮎川 了
黒猫様の下僕日記
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黒猫様はぼっちじゃない



 かつてQ太郎も外に出ると中々帰って来なくて心配だったのたが、熊吾郎も放って置けば一日中外にいる。

 もう推定一才になろうかと云ういわゆる“お年頃”なので、ガールフレンドを求めてさ迷っているのだろうが、近所に外出自由なメス猫は前話に登場した“チビ”しか居ない筈だ。

 

 実は熊吾郎の“外出デビュー”はかなり遅かったので、そのブランクを埋める為に外に出まくっているのかもしれない。

 メスだろうがオスだろうがめっきり外出自由の猫が居なくなったのに何が楽しくて外に出るのかと思っていたら、その謎はひょんな事で解けた。


 ある日、町内の会合でM氏と、彼が飼っている犬の話で盛り上がっていた。

「今のゴールデンは二匹目なんです。前のが死んでからもう飼わないって決めてたんですが、ゴールデンの居ない生活って味気なくて……」

「ああ、解ります。不思議な魅力がありますよね。ゴールデンって」

 昔、猫屋敷の中で飼っていたゴールデンレトリバーのらっ太を思い出し、話題は尽きる事が無かった。


「ところで、鮎川さん所は今は猫ちゃんだけなんですか?」

「ええ、何だか今の家に越してから猫が絶える事が無いんですよ」

「猫も可愛いですよね。ウチの隣のKさんが、猫を拾って飼い始めたんですが、これがまた可愛いんですよ」

「へえ、Kさんが」

「最近は友達も出来たみたいですよ、黒猫が来て一日中仲良さそうに遊んでるんですよね」

「え?」

「え」

「あ、それ、ウチの猫です。いつも出掛けると戻って来ないと思ったら……」

「あ、あの黒猫ちゃん、鮎川さんちの猫でしたか(笑)」


 御迷惑を掛けていないかと心配しつつも、友達が出来て良かった。と安心した。

 今までずっと熊吾郎は、当てもなく一人で田んぼの畦道をさ迷い歩き、所在無く草むらで寝たりするだけかと思ってたので。

 

 でも、たまには家に居て欲しいんだが……

 いや、寂しい訳では……ないやいっ!

 

 

 



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