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猫様の下僕日記  作者: 鮎川 了
黒猫様の下僕日記
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悪人面の黒猫様


 熊吾郎がウチに来て、一ヶ月程の事である。

 

 その頃私は猛暑の中長時間の激務が続き疲労困憊で仕事中に失神するんでは無いか? いやいっその事失神してしまおう。上司や部下が右往左往する様が目に浮かぶ……ウケケ……困るがいい、そして私の苦労を思い知れ……と、訳の解らん事を思案するほどストレスも疲れも溜まりまくりだった。

 しかし、どういう訳かある日、かなり早い時間に仕事が終わり、帰宅して今まで溜まった疲れをとる為に惰眠を貪ろうと思った矢先、その事件は起こった。


 帰宅するなり寝室へ行き、布団に倒れ込む私に吾郎が何か云いたげに顔を覗きこんでいる。

「くまこ、一眠りしたら遊んでやるから、一緒にねんねしよう」

「んん、んんんん」

 熊吾郎は不満げな声を漏らしたが眠気と疲れに勝てない私は構わずに眠る事にした。

 暫く、枕元で鳴いたりウロチョロしていた熊吾郎だったが、死んだように動かない私を見て諦めたのか大人しくなった。


……が、大人しくなったのだが、何やら変な音がする。

 クチャクチャクチャクチャと、何かを咀嚼しているような音である。

 最初は、手持ち無沙汰な熊吾郎が毛繕いでもしているのかと思ったが、本気で何かを食べているような音だ。しかし、ここは寝室なので食べる物は置いていない。

 何か、変な物を食べてるんじゃ無いだろうか?

 そう思いつつも怠さに負けて目を閉じたままの私の耳にまたもや変な音が飛び込んで来た。


 クチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャ…………ポトッ!


 ポトッ?


 流石に目を開け、熊吾郎の方を見てみると、彼は“ポトッ”と音をさせたらしき物を凝視している。

 それは携帯の充電コードの先端だ。


「くまこー!!(泣)」

「んんんん、んん!」


 私は枕元に充電コードを置いてるのだが、それが無惨にも食い千切られていたのだ。幸いにも携帯には接続していなかったので熊吾郎は感電等はしなかったが当の携帯のバッテリーは残り僅かである。

 今日中に代わりの充電器を買って来ないと(受けたくもないが)会社からの連絡等が受けられない。


 眠い目をこじ開け、疲れた体を起こし、ケータイショップへと向かおうとしたら熊吾郎が心なしか悪人面をしているように思えたので、写真を撮った。


挿絵(By みてみん)


……いや、明るいから瞳孔が細くなっているだけなのだろうが。




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