お気楽フリー下僕生活の突然の終焉・新章予告
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Q太郎が亡くなってから、心に決めた事がある。
それは“暫く猫は飼わない”と云う事だ。
もし、私が保護しなければ確実にその猫は死ぬと云う状況ならやぶさかでない。しかし、自らすすんで猫を貰ったり、ましてや買ったりなどはしない。
そう心に誓っていたし、何よりQ太郎を亡くしたばかりで別の猫と暮らすと云うのはあまりにも不実な気がしたからだ。
今居る猫は遊びに来ている他所の猫や半ノラだけだし、正式に仕える自分の猫様が居ないのは気楽にも思えた。
スーパーに行く度にマグロの中落ちを探さなくて良いのもこれとない解放感を感じる。
「猫様が亡くなったのに“解放感”だと? 鮎川は酷い奴だ」
読者諸氏はそうお思いになるだろう。
しかし、Q太郎が亡くなった悲しみや寂しさを何かに置き換えないとメンタルが潰れてしまう。
その“気楽さ”が日常になり始めた時、ある事件が起こった。
しかしそのある事件の事を詳細に書くのは今の所控えておく。
そして、その“ある事件”を切っ掛けに私の気楽な“フリーの下僕生活”は終りを告げた。
そう、我が家に、私が正式にお仕えしなければならない新しい“御主人様”がやって来たのである。
※次話に続く




