表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫様の下僕日記  作者: 鮎川 了
Q太郎様の下僕日記
46/65

回復……したはずなのに



 そんな訳で、一週間程家に引き籠って寝てばかり居たQ太郎だったが、血の混じった目ヤニも出なくなり、体調も良くなったのだろう。私が休みの日に外で日向ぼっこをしたり、更に夜外出出来るようになった。

 更に、鱈の煮付けやイワシの刺身や焼いたもの、柔らかい赤イカなども食べていたので、もうすっかり良くなった。と、思っていたのだ。

 しかし、日向ぼっこも外出もその一回きりで、あとは寝ている事が多かった。

 ずっと家に居たから体力がなくなってしんどいんだろう。と、寝たいだけ寝させてやったが、Q太郎の背中を撫でて愕然とした。

 肉が無くなって、背骨が浮き出ていたのである。

 食べているのに何故? 

 クロぶっちゃんと二匹でマグロをねだり、仲良く食べていたじゃないか。

 気になって、食べる所を見ていると、Q太郎は“ねだり”はするが食べていないのだ。

 マグロの臭いを嗅ぎ、なんだか落胆した様子で顔を上げ、既に自分の分を食べ終わったクロぶっちゃんが

「要らないなら貰うよ」と、ワンパクに食べているのを眺めているだけだった。

 最初は、クロぶっちゃんに気を遣っているのかと思ったが、子猫の食事まで盗み食いする程食い意地の張ったQ太郎が、今更そんな事をするはずがない。

 マグロに飽きてしまったのかと、色々な種類のウェットフード、高級ドライフードなどを与えたが、そのどれもが、Q太の腹に納まる事は無かった。


 いつからこの状態だったのだろう?

 回復したのでは無かったのか?

 何で私は気がつかなかったのだろう?

 私が不安と後悔を感じた時にはもう既に遅く、“その日”がやって来てしまったのだ。


※次話に続く

 








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ