表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫様の下僕日記  作者: 鮎川 了
Q太郎様の下僕日記
PR
37/65

シャッターチャンスは突然に



 “猫鍋画像”と云うものがある。

 鍋と云ったって、猫様を鍋でグツグツ煮込んでポン酢で頂くとかそーゆーのじゃなくて、猫様が鍋に入って眠ったり寛いで居るところを写真に収めてネットや雑誌で公開するのである。

 鍋は土鍋が良いとされる。

 テキトーなホーローの鍋やら田舎のバーチャンちに必ずあるアルマイトのデカイ鍋ではなく、猫様の体にピッタリフィットする土鍋の形状が一番適して居るように思う。

 更に“土のぬくもり”を感じさせる。と、云う点に於いても土鍋が優れている事は否めない。

 “土のぬくもり”と“猫様の毛のぬくもり”でぬくぬくのこれとない癒し画像が出来上がるのだ。

 しかも、猫様を無理矢理鍋に詰め込んだのではなく、空の土鍋を置いといて猫様が自主的に入るのを待つのが正しい猫鍋画像の撮り方らしい。

 猫様の“狭いところが好き”と云う特性を熟知した猫の下僕のみが撮れる画像と云えよう。


 さて、そんな訳で我が家のQ太郎も狭い所が好きで、段ボール箱やスーパーのレジ袋を放置しておくと必ず入る。

 しかし、ウチには土鍋が“お一人様用”しか無いので“猫鍋画像”は断念するしか無い。てか、買えよ土鍋ぐらい。

 段ボール箱に入って得意気な顔のQ太郎もなかなか可愛いが、段ボールってのが何となく貧乏臭くて、写真に撮っても友人に見せるだけになってしまう。


 昨晩の事である。

 私が風呂から上がるとQ太郎が居ない。

 戸や窓は全部閉めてあるので、外へ行った訳では無いな、きっと先に布団へ行って寝ているのだろう。と思ったがそこにも居ない。

 はて、家の中で行方不明になるとは。

 仕方無いので寝支度を整え、布団へ向かうと部屋の隅に置いてあった洗面器が目に入った。

 と、云うか“部屋の隅に置いてあった洗面器に入ってるQ太郎”が目に入ったのだ。

 この洗面器は新品で、買ってきたまま何となく部屋の隅に放置してあった。

 いつも『あっ、洗面器仕舞って置かないと』と思うのだが、何故か忘れてそのままにしていた。

 別に私の家が雨漏りしていてそれを受ける為に置いといたのでは決してない。しかし、そんな事を力説すると今度は「この鮎川という奴は買ってきたものをそのままほっぽりだして置くだらしのない奴なのだな」と思われてしまう。

 貧乏人と思われるのと、だらしない奴と思われるのとどっちがマシだろう? と、どうでもいい事で悩んでみたが、話の趣旨から激しく逸脱してしまうので止めよう。

 ちなみに洗面器は百円ショップで買い求めたものだ。どうでもイイ情報である。


 洗面器の中にすっぽりと収まり、気持ち良さそうに寝ているQ太郎を写真に撮りたい衝動に駆られた。

 これを見せれば世の猫好き様達が萌え死にするに違いない。とさえ思った。

 しかし、すんでのところで思い止まった。

 何故ならば、Q太郎の収まってる洗面器の周りには取り込んだまま畳んでいない洗濯物が山積みになっていたからである。


 結局、私、鮎川はだらしない性格のようだ。

 しかもそのだらしない性格のせいで折角のシャッターチャンスを逃してしまった。

 そして、これを書いている今も件の洗面器を片付けていない。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ