マタタビジャンキー
◇
マタタビは子猫よりは大人の猫、メス猫よりはオス猫に効くと云われている。
人間で云えば酒みたいな効果があるようなのでそれは頷ける。
マタタビに酔うと豹変する猫様もいるので初めて食べさせる時は注意が必要だ。いつもおとなしいのにマタタビに酔うと狂暴になって下僕の手や顔をかじったりする猫様や、延々と愚痴を云ったり泣き上戸になる猫様もいる。
半分ウソだが。
因みにマタタビは人間も食べる事が出来る。マタタビを旅の途中で食べると元気が出て“また”“旅”を続ける事が出来る。というのが名前の由来らしい。これは駄洒落でもウソでもなく本当らしいので信用して頂いて差し支えないと思う。
どんな味かと云うと、バナナに唐辛子を混ぜたような味である。
どうしてこんなカオスな味の植物を猫様が好むのか理解に苦しむが、あくまでも好きなのは“味”でなく“匂い”だ。
Q太郎は食後にマタタビボールを二粒程食べる。一才になる前からやっているが、とくに酔っ払った様子もなく、“ちょっと良い匂いのするオヤツ”的な感覚で食べているようだ。
しかし、最近、Q太郎のマタタビを食べた時の反応が変わって来た。
別に絡むとか泣くとか吐くとかはしないが、ヨダレが凄いのだ。
マタタビボール2粒食べるだけなのにQ太郎の足元にはヨダレの水溜まりが出来る有り様だ。
当然私の手もヨダレでべちょべちょになる。
これは酔っ払っているのか、それとも早く欲しくてヨダレが出てしまうのか分かりかねるが、たまに2粒では満足しない時もある。
何か厭な事でもあって、“酔わなきゃやってらんねえ”状態なのか?
段々オヤジ臭くなってくる。
今度マタタビボールをやる時、演歌でも流してやろうか?
と、思う次第である。




