猫様列伝・ぷー太郎
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ぶっちーの子でミケコの兄。Q太郎から見れば叔父にあたる。
ぶっちーが初産で取り乱し、臍の緒を付けたまま廊下に放置していたのがこのぷー太郎である。
毛色はぶっちーと同じキジトラのブチ。しかもぶっちーの模様の付き方とほぼ同じなので大きくなってからはたまに私も間違える程だった。
ぶっちーと決定的に違うのは尻尾で、ぶっちーは短いキンクステイルだがぷー太郎は真っ直ぐで信じられない程長い尻尾の持ち主だった。
妹のミケコとよく遊んでやっていたし、近所に子猫がいれば面倒を見ていた。子供好きらしい。
実はこの「猫様列伝」で今まで登場した猫は今はもうウチに居ない猫達で、このぷー太郎も一昨年天国に召された。
亡くなった時の事は思い出すと泣きそうになるので割愛させて頂くが、ぷー太郎の死後暫く経って夢をみた。
大きな家の前で、私はしきりに猫に話し掛けている。
どうやら引っ越しの最中らしい。
「ごめんね、○○、新しいウチにはお前を連れていけないんだよ」
するとその猫の思考が私は手に取るように解った。
「うん、俺待ってる。オマエが帰って来るまで。オマエが無理ならオマエの子供達が大きくなって帰って来るのをずっとずっと待ってるから」
そう、細部は違うが、拙作「家守りの猫」の冒頭部分である。
目覚めてから、「ぷー太郎が死んだのが悲しくてこんな夢を見たのだ。しかし、随分印象的な夢だな」と思い、文章ファイルに打ち込み、保存しておいた。あの作品を書くときも常にぷー太郎の事を思い出していた。
虎太郎は総キジトラの猫と設定したのにも関わらず、あの作品の中にのみ、ぷー太郎が生き返っていた。
猫に限らず生き物を飼うと云うことは常に“別れ”を覚悟しなければならない。
事故や病気で短い生涯を閉じてしまう事も勿論だが、天寿を全うしたとしても彼らは我々よりずっと寿命が短いのだ。
その短い生涯を“幸せだった”と感じてもらうか否かは私達下僕にかかっているのだ。ぷー太郎が幸せだったと思ってくれたかは解らないが。
湿っぽい話になってしまったが、次話からは通常通りQ太郎のおかしな日常を書くつもりだ。
そして、最後に私の一番好きなぷー太郎とミケコの写真を見ていただきたい。
画質は悪いが、仲の良い兄妹のある夏の日のひとコマである。
乳製品が好きなこの二匹は、特にアイスが大好きで食べかけのアイスをやると、このように仲良く食べていた。
私は、腹を壊さないだろうか? と心配しながらもこの姿が見たくて棒付きアイスを買ってきたものだ。




