猫様列伝・ぶっちー
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ミケコの母でQ太郎の祖母である。
毛色はキジトラのブチ。なのでぶっちー。
ミケコの話で色々と引き合いに出してしまったが、ぶっちーはぶっちーで良い所もある。
というか猫様はおバカな方がかわいいのである。
(なんのフォローにもなっていない)
仕事中、ふと国道を見て、私は奇声を上げた。さっきまで何も無かった筈のそこに子猫が踞っていたのだ、このままでは車に轢かれてしまう。きっと近所の家で飼われている子猫が迷い出て来たのだ。そのうち飼い主が探しに来る筈だ。そう思った私は子猫を保護する事にした。
子猫は何かに脅えて動けないにもかかわらず、私が近付くといっちょまえに威嚇した。
さて、保護したはいいが、どうしよう? 仕事中である。
飼い主が探しに来たらすぐ渡せるようにと云うのもあったが、良い考えが浮かばない私は、取り合えず昼まで子猫を抱いたまま業務をこなした。
子猫は抱かれたまま威嚇するし、逃げようとジタバタするし、大変やりづらかった。しかしここでこの子猫を手放して車に轢かれたりしたら私は今晩寝られないだろう。
子猫の為と云うよりも自分の安眠の為に頑張った。
飼い主が現れぬまま昼休みとなり、やっと自分の車の中に子猫を離し、弁当に入っていた牛肉と卵焼きを分けてやったら一心不乱に食べたので全部やった。トホホ。
仕事が終わる段になっても、飼い主が現れないので、ボスに「猫を探しに来た人が居たら教えてください。私の家で保護してますので」と伝え、そのまま子猫を連れて家に帰った。
待てども待てども、飼い主は現れない。もしかしたら“近所の家から迷い出て来た”のではなく、国道を走る車から捨てられたのかも……?
だったら公明正大にウチで飼ってもいいだろう。と、いつしかウチの飼い猫となった。
子猫の頃のぶっちーは可愛いかったので、ブログに画像を貼りまくっていた。
でもこんなに可愛いのに割りと凶暴で、私が自分の手でじゃらして遊んでやっていると、かじって来る。子猫にかじられたって、痛くも痒くもないわい。と、そのままにしておいたら……
メリッ! ガキ! ゴリッ! 等と、骨が砕ける音と共に耐え難い痛みが私を襲う。
ぶっちーを見ると鬼のような形相で私の手を噛み砕いてやろうとしてる。
怖いけど……痛いけど……面白い。
それに音は凄かったが、実際骨は砕けなかった。引っ掻き傷や噛み傷は無数に付いたが。
その模様をブログにしたためたら、読者様から冗談混じりに「ぶっちーは猫の子供ではなくシベリアンタイガーの子供に違いない(笑)」とコメントを頂いた。なんだか私はそのコメントが凄く気に入ってしまった。
しかし、成長するにしたがって凶暴性は薄れ、フツーの猫になってしまった。
さて、お産や子育てが異常な程下手だったぶっちーだが、Q太郎はぶっちーによくなついていた。
人間でも“孫の可愛いさは子供とはまた別格”と、お祖父さんお祖母さんが云ってるし、“お祖母ちゃんとお祖父ちゃんは優しいから好き”と子供が云うのをよく聞く。
猫の世界でもそうなのかも知れない。
ぶっちーと孫のQ太郎




