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猫様の下僕日記  作者: 鮎川 了
Q太郎様の下僕日記
17/65

猫様の復讐(グロ描写有り)



 また前話の続きになるが、Q太郎はやはりあの一件を根に持っていたらしい。


 夜、外へ出て父親のシロスケと一緒にドタバタと家に駆け込んで来たので、また喧嘩か? と思い、シロスケを追い出した。が、

 その時目の隅にネズミが見えた。

 御丁寧にQ太郎とシロスケは其々一匹づつネズミをくわえてきたのだ。

 私に追い払われたシロスケが、驚いてネズミを離してしまい、そのネズミは家の中の何処かへ隠れてしまったし、Q太郎も「ほらほら見るがよい、こんなに大きなネズミをとったぞ」と、得意げに私に見せたはいいが、その隙にそのネズミも逃げてしまった。


 ちらりと見えたそのネズミはむっちりと大きく、毛並みも黒々としてネズミと云うよりはミニチュアの月ノ輪熊のようだった。

 いつも虫のような、生まれたばかりの極小仔ネズミしか捕って来なかったQ太郎にしては格段の進歩だが、こんなミニチュア熊みたいなネズミを家の中に放されたんじゃたまらない。

 備蓄している食材を殆ど食い散らかされるに違いないし、なんと云っても私の唯一嫌いな哺乳類がネズミである。

 寝ている間に私自身が齧られやしないかと、びくびくしながら爆睡した。


 さて、翌朝、起床していつものように朝食の仕度やらなにやらしていると、何か柔らかいものを踏んだ。

 因みに私は目が悪い。特に起床したばかりだと、殆ど物が霞んで見える。

 しかも東北の薄暗い明け方の、更に薄暗い自宅の台所である。

 何か踏んだのは判っていても、台所の床の何処に何が転がっていても判らない。

 それに“なんちゃってガテン系”の私の朝は忙しい。

 何か踏んだなど気にしていられないのである。


 一通り朝の仕度が終り、大分明るくなり、私の視力も回復してきた頃、何気無く床を見てその“柔らかい物”の正体を見て愕然とした。


――――――――――――――

 ※【作者注】ここから先は鮎川の十八番のグロ描写が炸裂します。食前食後直ぐ又は体調の悪い方の閲覧はおすすめ出来ません。

―――――――――――――――


 先程私が踏み潰した形そのままに、ピンクというかベージュの物体が其処に在った。

 踏み潰した後あちこち動き回ったものだから、台所の床あちこちにその物体が付着していた。

 一見すると、ペースト状のキャットフードか、魚のすり身に見えなくも無い。しかし、長年猫の下僕として生きて来た私にはその物体が何なのか、判りたくもないが判ってしまったのだ。

 そう、これは、あのミニチュア熊の様なネズミのなれの果てだ。 

 ペースト状になっているのはまだいい。

 見回すと、まるで内臓標本の様に内臓が丸ごと残り、体の中に収まっていた順番のまま吐き出されているのもある。

 ペーストになっているのは先に食われたネズミで、内臓標本は後で食われたネズミだろう。

 あろうことかQ太郎は、シロスケが捕ったネズミも食ってしまったのだ。

 Q太郎はネズミを食うと必ず吐く。

 飼い猫として生まれ育ったので生きた獲物を丸ごと食って消化出来る程胃腸が丈夫では無いらしい。

 今まで何回も食っては吐いてきたのだ。自分でも判っている筈だ。

 ネズミだって、吐くための為に食われたんじゃ浮かばれない。

 いくら嫌いな生き物とは云え、命が在るものには違いないのだ。勿論、生きる為の捕食なら自然の摂理で仕方ないが、ただ吐くための為にってなんだそりゃ。

 しかもQ太郎はネズミなんか食わんでもしこたま食うものがあるじゃないか。マグロとかマグロとかマグロとか。


 ……これは、昨日の仕返しか?


 私自身が吐きそうになりながらネズゲロを片付け、そう思っていると、風呂場のバスマットが変な具合に折り畳んであるのに気付いた。

 爽やかな筈の朝が絶望に染まる。

 Q太郎は機嫌が悪いとトイレ以外の場所に用を足す。

 上から下から出しまくって、さぞかし気が晴れたろう、Q太郎。

 

 



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