猫様の足音が猫じゃない件
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大体、猫の肉球と云うのは、足音を消すための役割もする筈だ。
闇に紛れて獲物を捕る為、又は他の動物から身を隠す為、足音を立てては命取りなのだ、その筈なのだ。
だがしかし、Q太郎の祖母ぶっちーと母ミケコは実に足音のウルサイ猫であった。
しかも、何故か“パカラッパカラッ”と音がする。
もはや猫の足音ではない。
馬の足音にそっくりなのだ。
二匹で遊んでいる時など騎兵隊が攻めて来たのかと思う程だった。
二匹とも肉球が異常に堅いとか、足の先に蹄が付いてるとか、そんな事は決してない。
ぷにぷにと柔らかい、ピンクや所々黒い斑のごく普通の肉球である。
それなのに、歩いても、走っても、馬の足音になるのだ。
長年猫と暮らして来て、足音のウルサイ猫はこの二匹だけだった。
猫なんて足音がしてもせいぜい“トテテテテ”とかそんなものだろう。
ピアノの音を猫の足音に例えた人がいたが、そんな風に可愛らしいものであるはずだ。
なのに何故、馬の足音。
ちなみにQ太郎の足音は“ドスドス”だ。
相撲取りが攻めて来たのかと思う様な音だ。
いや、単に体重が重いだけだが。




