4話 「ハーレムならとりあえず許されると聞きました」
この作品は安定のR-15です
「よぉ」
「目覚めがあんただと最悪だな」
僕は神の部屋にいた。またも六畳一間の部屋の中向かい合っている僕と神様。凄くシュールな光景だ。
「お前さんに言うべきことがあるからな。ちなみに向こう側のお前さんは仮死状態だよ」
「早く戻せ」
「慌てなさんな。言うべきことってのはあんさんの力のことだ」
「僕の力?」
「そう。『聖なる力』は調べただろ?」
「僕にもそれは与えられているのか?」
「ああ。お前さんの力は…」
そこで意識は途切れる。結局肝心なことは聞けないまま僕はハーレム世界でまた目が覚めた。
あれから一週間経った。
エルフの女王さん曰く。本日支度が整い次第僕は魔族の領地に踏み込まなくては行けなくなる。
僕自分の力を理解しないまま敵地へ行くのか。
そしてエルフの女王の前に僕はひれ伏していた。
「僕の護衛ですか?」
「はい。あなたに6人の護衛を付けて魔族の領地へ向かってもらいます」
「わかりました。そしてその6人は?」
「来なさい」
背後から足音が近づいてくる。これが6人の護衛なのだろう。僕は何の期待もせずに背後を振り向いた。
そこには色とりどりの美少女たちが。
そうだった!この世界はハーレムなんだ!
その6人の護衛の中に見知った顔が二人いた。いや三人いた。
一人は金髪の美少女。少し目を合わせるとすぐに目を逸らされる。しかし僕もあの時の光景を思い出してしまうために目を逸らしてしまう。
まるで喧嘩した次の日のカップルのようだ。
もう一人の見知った少女は僕的には文句なしな完全タイプであるルミリアさん。
目を合わせるとこちらは朗らかな笑顔で返してくれる。僕も思わず右手を挙げて振ってしまう。
かわええ。やっぱりかわええ。
最後は三日前くらいに僕を子機に使った幼女だった。目を合わせることはできないな。
凄まじい殺気が痛すぎる。
他の三人も始めてみたがとんでもない美少女ばかり。完全に僕のいた世界の女の子とは比べ物にならない美しさだ。
しかも男は僕だけ。
これ何てエロゲ?いやもしかするとギャルゲー?
「みんなよろしく」
僕は6人に近づきながら紳士の笑みを浮かべながら近づいていく。一人は明らかに嫌そうな顔をして退いている。
「君がこの世界にはいないはずの男性か。ほぉ!いい体をしている」
藍色の髪をポニーテールのように縛って簪を付けている女の子は僕の体をじろじろと見て頷いている。
この視線に僕は快感を覚えてしまう。
女の子視線ってなんかいい。
「私はローズだ。種族は強靭人だ。しっかし私よりしっかりした体をしてるなぁ」
凄いぞこの人。僕よりかなり男っぽい。腰に刀差してるし。
「だが私よりおっぱい小さいな」
「げほっ!げほっっ!!!」
思わず蒸せてしまう。この人は何を言った?
おっぱい?胸?最高?
そりゃあないよ。男にあったらそれこそ変態じゃないか。
「男ってのはおっぱいはないのか?」
「あ…ありますけど…」
この人には羞恥心がないのか。でかい笑い声でしかもおっぱいおっぱいって。
思わず僕はローズの胸を見てしまう。完全に成長しきったその胸。動いて揺れることを想像するだけで。
うぉおおお!!興奮してきた!!
早く戦闘をしたい。
「目が怪しい」
キョウにジト目で見られる。僕は咳払いをし話を戻す。
「わたしは撫子ですー」
まるで突拍子も脈絡もないところで自己紹介を始めたその女の子は長い茶髪にベールのようなものを被っている。
服は動きにくそうな和服だった。だが和もいい。
そう思えた。いや素がいいんだ。この子の見た目はほぼ完璧と言い表せるほど美しい顔作りだった。
多分この6人の中では一番綺麗な部類に入るだろう。でも話し方や見た目からどこかとろそうな雰囲気を漂わせていた。
「わたしーこう見えても森民人なんですよー」
「へぇー」
ちょっと移ってしまうその話し方。
撫子は僕に一礼すると一歩下がって大きく息を吐いた。
「きんちょうしましたー」
してたのかよっ!
「ごほんっ」
僕のように咳払いをする女の子がいた。
短髪で猫耳だと…。髪は赤色か。
猫耳だと…。
猫耳だと!?
大事なことなので三回言いました。
「私はクレアだ」
「よろしく。僕は和人だ」
凄い真面目そうな雰囲気だ。腰には左右に二本のナイフが差してある。ていうか元気系と見せかけて真面目かよ。
だがこの期待を裏切る感じが逆にいい!
僕のしたギャルゲーには存在しないタイプだ。もしかするといたかもだけど僕のしたゲームにはいなかった。
「改めてこんにちわ和人くん」
「ルミリア!」
「わぁあ…そんな大きな声で名前を呼ばないでください照れてしまいます///」
かわええ。完全にタイプだわ。ギャルゲーならこの子の選択肢は全部セーブするレベルだわ。
「それではこれから長い冒険になりますがよろしくです」
「こちらこそ!期待してるよルミリア!」
さすがに握手はしてもらえなかった。凄く照れてる。可愛すぎるぜ。
「よろしく」
「なんだよ素気ないなおい」
キョウはその四文字を言い終えるとすぐに何処かへ行こうという姿勢を見せた。
「あんたもよく平然としてるわね」
「男は未来しか見ないのさ」
「だからバカなのね」
「貴様さりげなく侮辱したな」
「うっさいこの童貞!」
「きさまぁああ!!何故乙女しかいない世界でその言葉を知っているぅううう!!!」
「本で見たのよっ!」
「この処女が!」
「この世界の女は大半処女よっ!」
顔を真っ赤にして叫んだ。
「最高か!」
「最高よ!あれ?」
キョウは僕の流れになっていることに気づいたようだ。まだまだ甘いな。
「よろしく」
声だけが聞こえる。まぁわかってるけどあえてのスルーで。
「三秒以内に下を見なかったら顎を砕くわ」
「やぁ!!!」
本気で下を向いてしまった。
「これからよろしくね」
「こちらこそ」
そんな感じで全員への挨拶を終えた僕は城を出て広大な高原に踏み込んだ。これからは長い冒険になりそうだ。
だけどハーレムだから文句なし。