0話 「トラックに跳ねられました」
調子に乗りました
世の中にはモテる男とモテない男の二種類が存在していることは一般男性の皆さんは遥か昔に熟知していることだろう。
そして出会いがなければ男性は悟るのだ。
自分は後者なんだと。
だがこの世界は僕を作り出した。そう僕は言うまでもなく前者。
誰もが羨ましがるほどのモテる男!一日一回は女の子に告白されるね。そしてその日のうちに親密度は溶け合いキスまで発展する。
だがお互いに体は求め合わない。それは超えられない壁という物が存在しているから。
「邪魔なんだよぉおおおおお!!!」
僕は自らが持っていたゲーム機のディスプレイを叩き割った。だが何も起きることはなく、息を荒げるだけだった。
荻野 和人という何処にでも存在していそうなありがちな名前を持っている僕は間違いなく後者に分類される人間だった。
「2階から飛び降りたら異世界とか行けないかな」
僕が先ほどまでプレイしたゲームが異世界ゲームなために僕はそんなない夢を見てしまう。だが所詮は作り物だ。
異世界という言葉そのものが人間から作り出された言葉なのだ。だから異世界なんて存在するわけがない。だけどそれでもあると願いたい。
だって人間だもん☆彡
「和人は学校今日も行かなかったね」
僕の部屋のノックもせずに入ってくるのは怒り狂った父親と寂しい目をした母親と幼馴染の里奈と相場は決まっている。
「行ったけど車に轢かれた」
「何処の和人の話をしてるんだい!?」
里奈は女なのだがどうも話し方は気さくな男子っぽいために女扱い出来ないのだ。
「まぁ明日は来なよ」
「暇だから行くわ」
ついに裏ルートまでクリアをしたために丁度暇になったところだ。学校で時間を潰すことにしよう。出席日数も稼がないとな。
「それだけじゃあね」
里奈は言い残して2階から飛び降りた。あいつはやっぱり女じゃない。
「適当に弄って寝るか」
僕はPCを開き如何わしいゲームをして夜を過ごした。そして太陽が昇り始めると僕は制服に着替えて外へ出る。
時刻は8時過ぎ。
中高一貫校に通っている僕は今年ついに高等部へ上がることが決まろうとしてる中学3年生だ。まだまだ発情期と青春期を謳歌している中学生だ。
だが僕は悟っているのだ。
僕はもうモテない男だと。
だって里奈しか女友達いないぜ?
話しかけることが怖くて話しかけられないヘタレな男とは僕のことだろう。
「しっかしオールはきついな。早く学校で寝よ」
大きな欠伸をした後に。
少し速いトラックが瞬間僕にぶち当たる。僕の体は上空を舞って地面に叩き付けられる。コンクリートが赤く染まっていく。通学中の女の子の悲鳴が聞こえる。
僕は虚ろな視点を上にあげる。悲鳴を上げる女の子のスカートの中を見る。
「たんぱ…ん…かよっ!!」
そして口からも血を吐いて痛みに耐えられず僕は意識を失った。
そしてそれが僕の最後の言葉に。
ならなかった。