まずは、にらめっこ
ファンタジーと銘打っておけばなんとでもなると思った・・・・
じー
じー
じぃーじぃー
見つめたら、見つめ返される・・・
じー
じー
じぃーじぃーじぃー
「って、いつまでにらめっこしなきゃいけないんですか!!!」
我が子が顔を真っ赤にしてわめく。
うーむ、17歳になろうというのに落ち着きがない子だ
全く、どんな育てられ方をしたんだ?
「かあさんに言われたくない!!」
おや、心の中で思っただけのつもりが
いつの間にか言葉に出てたようだ。
これぐらいで怒るなんてまだまだだな!
でも、睨むことはやめないぞ!!
じー
じー
じぃーじぃーじぃー
「やめてください!!」
それでなくても赤い顔をさらに赤くさせて怒る。
短気なことだ、誰に似たのかな?
私でないことは確かだ!
何しろ、我が子が言うことを聞かなくても
見つめるだけで我慢してるからな!
「何をいってるんですか!
この街で誰よりも短気なくせに!!
この間だって、露出狂の痴漢に
ふざけるなっ!て怒鳴って蹴りいれてたでしょ!!」
むっ、痴漢被害にあっているところを見ていたらしい。
気が付かなかった。
頼みもしないのに服を脱いで粗末なものを見せる奴に蹴りを入れて何が悪い!
じゃなかった、
心細くて震えてる私を助けないとはなんと冷たい子だ・・・
「助ける前に!
助けに行く前に!!かあさんの蹴りが痴漢にヒットして
たまたま通りがかった巡回騎士に痴漢と一緒に詰所に連れて行かれたんじゃないですか!!」
また、心の声を口にしていたようだ。
怒られた。
「勘弁してくださいよ」と、力なく我が子はうつむいた。
街で一番の美人と有名なだけにうつむく姿も美しい。
この姿を見たら今の求婚者は倍になるな!
領主の息子(金髪碧眼、背も高く文官としての能力も高い)からも求婚されたみたいだし、
街一番の金持ちの息子(すでに跡取り修業を始めていてそれなりの実績あり)
からも求婚の申し込みがきたし・・・
うーむ。
老後は安泰だな♪
それなのに我が子は求婚を拒否する。
皆、持参金はいりません。(貧乏だから払えって言われても払えない)
逆に、お支払します!!って言ってくれる。
さらには同居も可!なんだぞ?
ほとんどの求婚者は地位もお金もあり、結構な人格者ばかりなのに、
我が子はなぜこんなに嫌がるのか。
理由説明を求めても「どうして説明しなきゃいけないんだ!」の一言だ。
確かに我が家は貧乏だ・・・
だが、我が子はこの春から正式に働き始め、給金を入れに入れてくれるようになったから
昔のようにパン一個を2人で分けて1日を過ごすこともなくなったし、
貯金もできるようになった。
順風満帆とはこのことだな!
後は、我が子を嫁に出して可愛い孫に囲まれて暮らしたい。
我ながら欲のない人間だ。
なのに、なのにだ、
我が子は私が選びに選んだ求婚者を全員却下。
「孫って歳でもないでしょう。
かあさんと私は10歳しか違わないんですよ!」
ひとまず、ここまで。
続きどうしよう?