勇気の最期
………ブロロロロロロ……………
一台の大きいバンが
山路を下って行く
「街の方、大丈夫かな…」
智子がふと口にした言葉
「大丈夫だろ、てか
大丈夫じゃなきゃ困る」
怪我を負った勇気も
なんとか笑顔を作っている
そう僕らは今街に向かっている
「パパとママ大丈夫だよね?」
明日香が泣きそうな顔で
智子に答えを求めている
「大丈夫だよきっと……」
弱々しく智子が答える
「何処に向かうんですか?
翔さん」
「まず学校だ、なんかあったら
必ず皆学校にくるはずだ」
「わかりました」
ブゥゥゥン
バンは進行方向を変えて
学校に向かった
「学校までまだあるな…
少し休むか」
…と、気を抜いて
一休みしようとしたとき
「翔さん!!!
前方から奴らが来ます!!」
「なに!?」
確かに前方から
数え切れない大群が
こっちへと向かってくる
「優里香!!!突っ切れ!!!!!!」
「わかりました!!!!!」
ブゥゥゥゥゥゥゥン!!!!!!!!!
バンが一気に加速する
ガンッガスッゴンッガシャンッ
次々とはねのけて行く
フロントガラスが紅に染まった
ブゥゥゥン
大群を跳ね飛ばし
バンは学校へと続く道路を
走っていた
さっきはゾンビに気を取られていたが
街は酷い有様だ
店のショーウィンドーは粉々
所々に一般人かゾンビか
よくわからない死体が
ゴロゴロ転がっている
「ひでぇなこれ……
もしかしたら学校も……」
弱気になりながらも
無事学校に辿り着いた
バンッ
僕と智子が車から降りた
「着いた、誰かいるのか?」
「パッとみいなさそうだぜ?」
「うーん…どうするかなぁ」
キャァァァァァァ!!!
キャァ?
ハッとしてバンを見ると
バンが
ゾンビの大群に囲まれている
バンの中には
明日香と優里香
怪我を負った勇気がいる
「ヤバイッ!!!」
その瞬間ドアがぶち破られた
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
勇気の叫び声だった
ベリッメキメキッベキッゴリッ
グシャッメリッグジャッ
肉の引き裂かれる音
骨の砕ける音
「痛い痛い痛い痛い!!!!!
助けてくれぇぇぇぇぇ!!
翔!!翔助けて…たすけ……
ぎ…ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ゾンビの大群の間から
少しだけ見える勇気の手
その手は空を掴んで
大群の中に引きずり込まれた
「勇気!!!!」
走ってバンに近づき
ゾンビの頭を片っ端から
潰して行く
「勇気!!!勇気!!!
今助けるからな!!!!
もう少しだ!!!!頑張れ勇気!!!!」
「翔!!後ろ!!!」
智子に怒鳴られ振り返ると
1体のゾンビが襲いかかって来た
翔は目の前が真っ白になった
あー、
なんかノリで勇気殺してしまった……
でも、もしかしたら後半に……