またいつか一緒に【第11話】
この話は聖魔光闇先生の企画したリレー小説の第10話です。
下記設定事項に従って記述しています。
★全40話
★一話2000文字以上
★登場人物数制限なし
★ファンタジー要素無し
★SF要素無し
★地の文は主人公視点
★重複執筆可
★ジャンルはその他
★執筆予約制廃止(予約を入れてくださる著者様を拒みはしませんが、
ある程度の執筆予約が入ってからの執筆開始はしません。
執筆予約を入れられた著者様に関しては、活動報告に掲示させていただきます)
★執筆著者様は、執筆前にご連絡ください
★執筆投稿後、必ず御一報ください
★あらすじは、前話までの要約を明記
★全ての物語を聖魔光闇がお気に入り登録します
★後書きに執筆著者様募集広告を添付
一話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n1590t/
二話:日下部良介先生 http://ncode.syosetu.com/n2296t/
三話:ふぇにもーる先生 http://ncode.syosetu.com/n3991t/
四話:koyak http://ncode.syosetu.com/n4630t/
五話:創離先生 http://ncode.syosetu.com/n8318t/
六話:蟻塚つかっちゃん先生 http://ncode.syosetu.com/n9612t/
七話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n1100u/
八話:伝次郎先生 http://ncode.syosetu.com/n2759u/
九話:koyak先生 http://ncode.syosetu.com/n4425u/
十話:このはな さくら http://ncode.syosetu.com/n4766u/
十一話:鳩麦
宜しくお願い致します。
どう言う事だ……
来栖の部屋の中で、車いすの上で俺は必死に思考を巡らせていた。
勝俊は遥に連絡を入れに電話の所へ。黒崎はお茶を入れると言って台所だ(人ん家の茶だが、そこは気にするな)
来栖付き合っていたのが八草椎名だった?どうなってるんだ……
じゃあ椎名は来栖を刺した後、能面と付き合ったってのか?
何のために……乗換?早すぎるだろ。そもそも、仮にも人を刺しといてあんなに早くあんな笑顔で居られるのか……?
いやそれ以前に警察は?何で逮捕されてない?
来栖を刺しておいて、あの笑顔。演技ならともかく……演技?
待て、そもそもこの事件の犯人は誰だ?あ俺達はあのホームレスのおっさんだと思っている。だが、断言はできない。
いや、そもそも……あの事件のせいで俺達を恨んでいるのがあのオッサンだけだと誰が決めた?たとえばおっさんの身にあれのせいで何か有ったと仮定すれば肉親とか知り合いだって…………
「……馬鹿か俺は。」
そもそもこの事態を招いたのは俺じゃないか。今更別の可能性なんて──
「おーい、智哉ぁ?」
そんな事を考えていると、勝俊がワイヤレスの受話器を持って入って来た。
「どした?」
「遥がお前に変われってさ。」
何だろう?
「遥か?どした?」
「智哉君?ううん、別に。ただ、私が居なくて大丈夫かなー?って思っただけ。」
「子供か俺は……」
遥は本当に良い娘だと心から思う。たとえ業者以外の仕業でも、こいつだけは守ってやりたい。
「……なぁ、遥」
「え?何?」
「お前、椎名さんと結構喋仲良く喋ってたよな?」
「う、うん。どうして?」
「いや。どんな人だったのかなー?と思ってさ。」
無いと思いつつも、確かめたくなってしまう。細かい事が気になる、悪い癖でも付いたか?俺。
「……浮気?」
「ちげえよ!なんでそうなる!?」
「あはは……だよね。冗談冗談」
「声が真剣だったんだが……」
いやほんとに。
そんな談笑を交えつつ、遥がぽつ、ぽつとしゃべり始める。
「椎名かぁ……とっても元気な子だったのは確かよ。明るくて、人当たりが良いって言うのかな?誰とでもすぐ仲良くなれそうな感じだった。」
「確かになぁ、他には?」
「そう言えば、大学に行ってるって言ってたよ?」
「大学?」
「うん。確か……心理学かなんか、勉強してるって。」
「心……理学?」
「うん。なんだっけ?えーと、確か……プロファイリングがどうとか。」
「な…………」
プロファイリング。それは、犯罪捜査に置いて、犯人の犯行の方法や、その後の処理等から、犯人の人物像を洗い出し、行動を予測するなどする手法だ。
まさか、それで俺や皆の行動を予測して……
いや、だがあれは完全な物ではなったはず。それか俺がものすごく分かりやすい奴だったのか?
「智哉君?」
遥の不安げな声に俺は我に帰る。
「ん、ああ、悪い悪い。ちょっと考え事してた。」
「大丈夫なの?」
未だに声からは不安げな響きが抜けない。俺は安心させようと、わざと明るい声を出す。
「
ああ、大丈夫大丈夫、問題ないよ。」
「そう?ならいいけ────え?あ、」
ゴトン、と、何かが床に落ちる様な音が受話器の向こう側から響く。
「遥?」
「クスッ「バキッ!ツーツーツー」」
何かが砕ける様な音と共に、通話が切れた。最後の声の様な音は、女の……!?
──ゾワリ、と
背筋が震える。身体から血が抜け、代わりになんだか分からない様な物が俺の中に足元から這い上がって来る!
「遥?おい、遥!?遥!!遥っ!!?」
「おい!どうした!?」
勝俊が怒鳴って来る。
「わかんねぇけど、急に通話が!」
「なっ!黒崎さん車頼む!智哉行くぞ!」
「あ、ああ!」
やっぱり、椎名は生きている!?でも……どうやって。
いずれにせよ、初めは下半身不随。は刺殺未遂。自殺未遂。放火!
段々と死ぬ確率が高くなって来ているこの状況は、俺に否応なく最悪の事態を想定させる。
来栖も気になるけど今は…………頼む遥!どうか無事でいてくれ!
俺と勝俊は車へと転がり込むように乗り込んだ。
急ぐ車の中で、勝俊が唐突に口を開く。
「そう言えば黒崎さん。例の事、調べてもらえましたか?」
「ええ、貴方方の事件の被害者の方のその後ついてですね?」
な、そんなことまで調べてたのか。何時の間に……
「すまん智哉。こんな時になんだけど、取りあえず状況が状況だ。解る事は全部分かってた方がいいだろ?」
「あ、ああ。確かにな……いいよ。続けてくれ。」
「解った。黒崎さん」
言われた黒崎さんは、車の助手席の収納(ダッシュボードだったか?)を開くように言う。
そこには、黒崎さんが会館爆破の時のもいじっていた、パソコンが収まっていた。
「山中君に言われ、調べて見たのですがね、被害者の方のお名前は、石谷 健人。事件の三か月前に、自身の経営していた工場を失い、妻とも離婚。路頭に迷っていた所で、あの事件に遭ったようですね。」
「ふーむ、って五年前に死んでるじゃんか!この人!」
「ええ、よって彼が犯人だと言う可能性は消えました。」
「そんな……じゃあ一体誰が……」
そう言いながら、手渡された石谷氏のプロフィール。簡単な経歴や、家族構成などが乗っている。
…………どうやって調べたんだこれ?
「ん?」
その中で、一つの項目が俺の目を引いた。
家族構成。妻と、双子の娘(親権は母方)
名前は、
石谷 陽子
石谷 優菜
石谷 咲奈
「…………さくな?」
何故だろう。この名前に、何処か強烈な違和感を俺は覚えた。
「石谷咲奈……いしやさくな……これって!」
そこまで思った所で、車は遥の住むマンションの前へと慌ただしく到着した。
いかがでしたか?
これはリレー小説です。
リレー小説とは、複数の著者様による合同執筆(合作)の事をいいます。
執筆にご参加いただける著者様は
事前に聖魔光闇先生(http://mypage.syosetu.com/107085/)までご一報、
そして投稿後にもご一報ください。
よろしくお願いいたします。