第5話 夢の中の生活の幻滅
「みんな、その……しばらくは各自でパーティーを組んでほしい。
僕は龍根公会に緊急申請を出した!補償金も出る。
うちの主力剣士、王岳が……行方不明になった!」
私が見ると、武僧隊長の曾広が慌てて公会の豪華な金属製の鋼門を押し開け、
息を切らしながら走ってきて、公会小屋に集まっていた皆に向かって叫んだ。
公会の門はよく壊される。前は確か、魔法使いの魔道具人形がうっかり爆発したせいだったはずだ。
しかも犯人は見つからなかった。
だから会長は対策として、どんな衝撃にも耐えられる素材に取り替えた。
私は驚いて皆を見回した。困惑よりも恐怖の色が濃い。
あの妹頭の魔法使い、曾宝は、まるで剣狐のように取り乱しながら、
「隊長、誘拐事件じゃないですか!?」と泣き叫んだ。
剣狐。
哀れな目で獲物の感情を探り、親しげに近づき、
油断した瞬間に剣のような尾で貫き、精気を吸い取る可愛い魔獣。
見た目は狐みたいで愛らしい。でも本質は殺戮そのもの。
初見の冒険者なら、とっくに命を落としている。
でも私は事前に「全面」の加護をかけていた。
あの致命的な尾に気づいた瞬間、あの連中をまとめて私の黒霧の中に閉じ込めた。
隊長は銀色の短髪を揺らしながら首を振るだけだった。
王岳がどこへ行ったのか、誰も分からない。
皆が泣き崩れ、もし王岳が戻ってきたら、
また同じメンバーで組もうと約束して、ひとまず解散となった。
武僧の曾廣は皇城へ戦闘修練に行くと決め、
魔法使いの曾宝はもう新しいパーティーを見つけたと言い、うちの盾役の騎士まで誘っていた。
王岳の失踪騒ぎから、"まだ二時間しか経っていない"。
もうそれぞれ進む道を決めている。
みんな本当に成長したんだと思う。
前は昼ごはんを決めるだけで一時間もかかっていたのに、今回はまったく無駄がない。
私は仲間一人一人に別れを告げ、公会の木椅子に一人で座り、解散金を数え直した。
公会の基金補助も合わせて、
六千陽陰貨。
多くの職業の中間くらい、一か月半分の給料。
悪くない額だ。
気持ちを整えてから、公会中央のドリンクバーで紅茶を一杯買い、人の来ない隅の席へ移動した。
しばらく我慢していた、勝ちを確信した笑みが漏れそうになるのを必死に抑える。
私はとっくに「風の精霊」で会話を拾っていた。
王岳は離脱して剣術の師匠を探し、実力を磨くつもりだ。
しかも違約金まで隊長に支払っている。
あの生々しい声は、録音の魔道具でもう一度再生できる。
「僕は実力不足だと分かってる。だから違約金は払うよ。ちゃんと修練してくる。
曾……のために――」
王岳のまっすぐな声に、私の胸は少し痛んだ。
でも最後の言葉を聞いた瞬間、
頭の中に墨を流し込まれたみたいな"黒い衝動"が広がる。
……前パーティーの魔法使いとは、ちゃんと話さないと。
「いや!みんなのためだ!玉秀が僕の指示を聞いてくれなかったら、
全滅してたかもしれない。
だから僕も戦闘中の判断力を鍛えないと、生存率は上がらない。
玉秀には言わないでくれる?彼女、自分の火力が足りないって自責しそうだから。
補助役なんだし!
みんな本当にいい仲間なんだ。頼むよ!」
その柔らかい口調は、前の会社でお世話になった先輩を思い出させた。
最後に漏れた小さな笑い声まで、私の好感度を静かに押し上げる。
「光の精霊」はもう彼の移動経路を描いてくれている。
巨大な虎のような魔獣に乗れば、一時間もあれば徒歩の彼に追いつける。
……ロマンチックな偶然を演出する?
プレゼントも用意する?
でも、それって尾行みたいじゃない?
通りがかったふりをする?
理由は?
あの道は、有名な剣士修練の村へ続く唯一の道。
実戦も知識も学べる場所だ。
"補助系のか弱い"私が、ふらっと現れる理由なんて……転職希望でもないのに。
そこで、昨日から考えていたことを思い出す。
王岳が戻ってきたら。
私はきっと、勇気を出して告白する。
その先の安定した生活のために、ちゃんと貯金もしよう。
決意を固めた私は、カップを公会の鉄製回収台に軽く置き、静かに下宿へ歩き出した。
今日は特にやることもないから、私はベッドにごろんと横になって休むことにした。
前回の任務ではずっと野宿だった。
寝袋も毛布も用意していたけど、物をふかふかにする魔法までは習得していない。
起きたら腰も背中もばきばき。
だから今回は、三日以上はだらだらすると決めている。
パーティーも解散したし、王岳も無言で離れたことくらい、私の寂しさを分かってくれるはず。
さて。
公会には他にどんなパーティーがあったっけ。
できれば……イケメンがいるところ。
こんな過酷な旅なんだから、目の保養くらいないとやる気が出ない。
そういえば、時々ほんとうに、墨をこぼしたみたいに心の奥から黒い衝動がふっと湧いてくることがありますね。




