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第2話 古龍遺跡の中は宝物が多すぎる

私は濃紺の岩でできた通路へと早足で入っていく。

数歩踏み出した瞬間、地面と壁から蛍光の青い触手が何本も噴き出した。

表面には、じりじりと音を立てる紫色の毒液が流れている。


正直、私はそれをまともに見る気もない。


危険なのは分かっている。でも、準備はできている。


触手が一斉に私へ襲いかかる頃には、私の杖からすでに黒い霧が広がっていた。

私は即座に「解体精霊」を放ち、毒液まみれの触手を包囲する。

維持している魔力を根こそぎ構造解体。


たった1秒。

群れをなしていた触手は乾ききり、地面に縮れ落ちた。


匂いも分解済み。

これで死骸から毒霧は出ないはず。



毒蔓は麻痺薬の材料になる。

量を増やせば、さっきの狼程度なら即死させられる……。



回収するか迷っていると、先行させていた「光の精霊」から報告が入った。

この洞窟内部の環境をすべて描写完了。

私の目の前に、黄色い光で描かれた重点地図が浮かび上がる。


こんなに治療草が自生していたなんて。


全部回収しないと。



ちょうど「高級治療薬」の調合練習にもなる。

失敗しすぎて、もう結構なお金を使っている。



光点の導きに従い、「風の加護」で身体を軽くする。

体に軽やかな気がまとわりつき、私は突風のような速度で駆け抜ける。


そして、あっという間に核心部へ辿り着いた。


秘宝を守る狼人王は、外にいた個体の二倍はある巨体だった。

全身の筋肉は、まるで完璧に彫られた石像みたいに盛り上がっている。


光の精霊が放つ明滅に気を取られ、私がその太い脚元に立っていることには気づいていない。


早く終わらせる。


私はさらに「風の加護」を強める。

身体が淡い緑の光に包まれ、羽のように軽くなる。

一気に跳躍し、狼人王の横顔の高さへ。


杖の先端に十倍の「力の加護」を重ね、さらに三層の「戦神の加護」で倍化。

最高速度で、側頭部へ叩き込む。


「ガキッ」


鈍い音。

頸椎が砕け、頭部が百八十度ねじ曲がる。

悲鳴を上げる暇もなく、巨体は崩れ落ちた。


私は一秒も無駄にしない。


杖から「岩石の精霊」を放ち、生命水晶の基部を脆化。

同時に「解体精霊」で周囲の薬草の根を乾燥処理。

そして「風の精霊」を呼び出す。


大風が吹き荒れ、宝物も素材も、巨大な狼人王の死体までも、

すべて私の異空間収納へと巻き込まれていく。


完了。


私は大きく息を吸う。



光に照らされた天使みたいな、満足の笑みが自然にこぼれる。



今回は本当に大収穫。


これでまた、欲しいものをいくらでも買える。


私は上機嫌で隠し通路を抜けた。

三十分もかからず効率よく回収完了。もう甘いものを食べることしか頭にない。


すぐに魔法で報告を送る。

呼び寄せていた魔獣もちょうど到着した。鋭い大きな牛角を持つ巨体が平地に立つ。


私は少しだけ弱ったふりをして、背に乗る協力者へお願いする。

仲間と、洞窟前半で手に入れた宝物を街まで運んでもらうためだ。


一時間ほどで城内へ帰還。

借りている部屋に戻ると、私はすぐに身支度を整える。


今夜は、あの毎月予約必須の高級菓子店へ行く。


皇城から派遣された菓子職人が作る食べ放題。

一人五十陽陰幣。安すぎる。


"口の中でとろけるカラメルブリュレ、香ばしいシュークリーム、そして夢の三段いちごタルト。"


生きる気力が一瞬で回復する。


どうしてLV93の私が、平均LV45の小隊に混ざっていたのか。

しかも彼らが壊滅寸前なのに、私だけ立っていた理由。


答えは単純。


私は転生者。

神から「自己数値改変」のスキルを授かった。

表示レベルも能力値も、自由に調整できる。


最も儲かる団体任務は、隊員のレベルと素質を加重計算して提示される依頼だ。


もちろん加入時には調査がある。

極端なレベル差を防ぐため。


調査のときは、数値を調整して自分を隊員と同じくらいに見せておくだけ。

そして任務を選ぶ瞬間に、こっそり本来の素質へ戻す。

まだ正式に組隊していないから、隊員には私の素質は見えない。


その状態で任務を確定すれば、今の私の素質で加重計算される。

選び終わったら、また近い数値に戻す。


それだけで、誰にも気づかれず難易度を操作できる。


それだけ。

だって彼らに、仲間の真の数値を調べる余裕の陽陰幣なんてないのだから。


任務難度が急に跳ね上がったと疑う小隊もあった。


「まさか、強者がレベルを偽装して俺たちの隊に紛れ込んでるとか?」


「バカかよ? それって自分が実はすごいって言いたいだけだろ?

そんな魔道具があるなら、高ランクの隊に潜り込んで経験値を吸うか、

上級の宝を分けてもらうに決まってる。

なんでわざわざ俺たちみたいな隊で、レベルに見合わない報酬を分け合うんだよ?」


「この地域は人の素質を強化する環境らしいですよ!」


でも私は軽く説明して、こっそり上級加護をかけて一時的に能力を底上げする。


そう言えば、だいたい納得する。

戦闘中も私はきちんと全体を制御する。


危なくなれば支援し、崩れそうなら立て直す。


全員が無事に王を倒せるように。

私は公会でも、かなり優秀な部類だと思う。

そして任務達成後。


仲間に体力が残っているかどうか?


宝物はすべて私のもの。


私が本領を発揮するだけの話だ。

隠し通路が開いたなら、それは私専用の探索時間。

さっきみたいに、単独行動なら好き放題できる。


魔獣は隊友の平均レベルに引き下げられているから、強すぎない。

効率よく狩って、必要な素材だけ回収。


負担も、競争もない。

静かで、快適で、そして一番儲かる時間。

これが私のやり方。

迷宮の奥での私の立ち回り、ちょっと怖かったかもしれません(笑)

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