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第19話 泰勇と梧慶

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ご理解いただけると嬉しいです。本当にありがとうございます。

私は村の中の砂利の近道を歩きながら、足取りを少し速めた。

さっきギルドでだいぶ時間を取られてしまったけど、

バツ奇仁が時間を作って励ましてくれたのは本当にありがたかった。

ギルドの大扉を出て報時魔法を使ってみると、もう午後一時を過ぎている。


「おっと!お嬢さん、大丈夫かい!」


石造りの家の角を曲がった瞬間、私は荷車を押す中年の男性とぶつかりそうになった。

荷車は小道の半分をふさいでいて、麻袋が山積みになっている。

空気の中には、塩漬け肉とチーズの匂いがふわりと漂っていた。


銀灰色の短く立った髪は風に乱れ、

男性は慌てて荷車の取っ手を離し、

左手で少しざらついた顎ひげを撫でながら、落ち着かない様子で私を見る。

どこかで見た顔だと思った瞬間、思い出した。

この前、「世ン点神店」の焼き肉店の割引券をくれた人だ。


「わあっ!玉秀様?本個体にご用ですか?」


横から、聞き覚えのある幼い声が響いた。

振り向くと、影の中でもはっきり分かる宝石のようなブルーのグラデーションの短髪が目に入った。


「泰勇?どうしてここにいるの?」


家で昼寝していそうなこの人が、まさかこんな場所にいるなんて。

私は思わず軽くにらんでしまう。


泰勇はにこにこと笑いながら、その大叔の隣に立っていた。

大叔は緋色の右目を細め、いったん泰勇を見てから、

今度は私を見る。何かを確認するような視線だった。


「梧慶!こっちが本個体の今の主人だよ!」


泰勇が沈黙を破り、得意げにたくましい胸を張る。

梧慶の表情は困惑から「なるほど」という理解の色に変わった。


私は日差しの中で少し固まり、そしてこの予想外の再会に、ぎこちなく笑った。

男が顔を上げる。右目から口元へと伸びる細い傷跡が、石造りの家の影の中でもかすかに見えた。


「はじめまして。本個体の名は儀太・梧慶。

『世ン点神店』の店長だ。お会いできて嬉しい。」


梧慶はわずかに笑い、ゆっくりと左手で荷車の握りをなで、

右手を胸元に添えて静かに立っている。

表情はあまり動かないが、声の調子は豊かで、決して冷たい響きではなかった。


私の記憶力、まだ落ちていないよね?


泰勇は普段かなり規則正しく動く。

家で掃除を終えたら、積み木で遊ぶか料理をするか、たまに路地の市場へ食材を買いに行くくらい。

確か、家から一キロも離れていない聖寧湖のあたりをうろつく程度だったはずだ。

今みたいに、十数キロも離れた場所まで来るなんて、まったくらしくない。


「はじめまして。私は泰勇のルームメイト、玉秀です。賢者をしています。

大丈夫です、心配ありがとうございます!」


私は慌てて手を振った。

でも目の前の梧慶の姿が、どこか不思議でならない。

猿人族にはあまり見えない。


「泰勇、ここで何してるの?」


「おっ!梧慶は本個体の旧知なんだ!前に食材を買いに行った時、偶然ぶつかった。

玫好村に定住するって言ってて、それからずっと会いに行きたかったんだ。


ちょうど最近時間ができてさ、店を見つけて焼き肉屋をやるって言うから、

本個体は手伝いに来た!

玉秀様、安心してくれ。家の掃除はもう終わらせてある!」


その違和感の正体に、私はやっと気づく。


梧慶は鍛えられた上半身をさらし、

黒く焼けた肌には無数の裂け目のような紋が走っている。

まるで長い年月、風砂に削られてきた古木の幹のようだった。


私がヘフィスから玄離大陸での身分を与えられた時、大陸全体の種族分布を一通り調べた。

その中で、七大種族のひとつに、目の前の梧慶とよく似た特徴を持つ種族がいた。


「分かった!泰勇、ありがとう!

梧慶店長、失礼ですが一つだけ。

あなたは骨人族ですか?」


「はい。本個体は骨人族です!

どうかお気になさらず、楽しく『世ン点神店』へお越しください!」


彼は私の妙な視線に気づいたのか、少しぎこちなく手を動かし、

黒紫色の作業ズボンを整えた。


「申し訳ありません。本個体が玉秀様に奇妙な印象を与えてしまいましたか?」


「少しだけね。普通、骨人族は地下に洞穴を掘って住むでしょう?

活動も夜が中心で、皮膚が熱を逃しにくいから、日中は避けるって聞いてる。

そのほうが熱中症の危険も減るはずだよね?」


私はできるだけ柔らかい笑みを浮かべた。変に警戒させたくはない。


「でも、この砕石だらけの地形で、

しかも年中ほんのり暖かい場所に住むなんて……ちょっと珍しいなって。」


「なるほど。」


梧慶は金色の左目を遠くへ向ける。まだ何か言いたそうだ。


……しまった、思い出した。


骨人族は他種族と衝突しやすいことで有名だった。

技術を極めすぎたあまり、医術研究では魔獣の再生細胞を人間の国王に応用してしまい、

大問題へと発展した。

しかも審判の場に立たされても、なお「これは科学的革新だ」と言い張っていた。

歴史書というより、まるで狂気に満ちた犯罪短編集を読んでいるようだった。


金属研究も一流で、多くの分野に専門家がいる。

あの権威ある「最もこの金属と恋に落ちたい」大賞も、二十回開催している。


私は資料を読み飛ばしすぎたせいで、

他種族と激しく言い争っていた記事まで、私は全部読んでしまった。



一位に選ばれた赤いダイヤモンドの、あの硬く引き締まった曲線。

そして内側に満ちる、あふれんばかりの力強いエネルギー……。



だめ、変な知識が蘇りそう。


落ち着け、もっと健全な話題を。


そうだ、料理だ。

骨人族は創作料理でも有名だと聞く。


以前、本場の骨人族レストランに行ったことがある。

主厨が険しい目で客をにらみつけていた。


「なぜケーキに肉の食感があってはいけない? 私の専門を疑うのか?」


……。


「どうしましたか?」


「すみません、梧慶店長!

ここで骨人族に会うのは初めてで、つい珍しくて。

決して失礼なつもりはありません!」


「問題ありません。こうして種族を見抜かれるのは、本個体にとって光栄です。」


梧慶は異色の瞳を同時に私へ向ける。

その風格ある顔立ちをよく見ると、猿人族の年齢感覚で言えば四十代の大人に見えた。


「そうだ、梧慶店長。今日の午後七時に伺います。

三人で一卓、予約できますか?」


店長に直接頼めば、待ち時間も減るかもしれない。


「もちろんです。本個体が記録します。」


次の瞬間、私は目を疑った。

梧慶は小刀を素早く抜き、左腕の内側の黒い皮膚に、

慣れた手つきで予約内容を刻み込む。


「玉秀 

午後七時 

一卓三名。

これで間違いありませんか?」


黒褐色の肌に、淡く白い文字の跡が浮かび上がる。


「はい、合っています!」


厚い角質をこんなふうに使うなんて。まるで削り板に書き留めるみたいだ。


「玉秀様、友達と来るのですか? 

本個体は食材処理を担当します。その時は本個体の腕をご覧ください!」


泰勇が影からにこやかに出てきた。

両手には、食材らしき袋がいくつもぶら下がっている。

私も一度でいいから、骨人族がああやって自分の皮膚に刻印する瞬間を、この目で見てみたい。

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