第13話 そうなんだけど、そうじゃない。
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お時間を割いて読んでくださり、本当にありがとうございます。
複雑な気持ちを抱えながら、私は次の項目「原始人類種」の紹介を開いた。
深呼吸をひとつ。ついにこの元凶と向き合う時が来た。
原始人類種は大陸において体質に優れた強勢種族で、身長は160から180センチほど。
環境適応能力が非常に高く、身体能力の高い個体は毒耐性や耐寒性すら持つ。
地域ごとに多様な生活様式を発展させ、その結果、大陸で最も人口の多い種族の一つとなった。
さっき見た二種族の悲惨な扱いのせいで気分は最悪だった。
私はため息をつきながら写真を開いた。
きっと見慣れた姿が映っているはずだと思って……。
え?
緑色で粗い皮膚。
外に張り出すほどの筋肉。
口元からのぞく鋭い犬歯。
そしてあの荒々しい顔。
これ、半獣人じゃない?!
私が間違っていた。でも結論は変わらない。
人間、やっぱりひどい。
そうして私は、半ば予想通りに次の項目「猿人種」を開いた。
写真を見た瞬間、やっぱりと確信する。
これが私の記憶にある本来の人間の姿。
普通の肌色で、角もなく、翼もない。
とても弱い種族で、これといった特徴もない。
唯一得意なのは発明と道具作り。
過去十三年間の種族大戦では、脅威がないと判断され、人類から攻撃されることもなく、ほぼ無傷だった。
その後、平和期に急速に発展。
絶滅寸前だった集団は一気に大陸第二の規模へと成長し、商業で繁栄する「バツ国」を築いた。
さらに大陸の多種族共存の流れに乗り、合衆国を結成。
国名を「メツ国」へと改めた。
……これ、全然うれしくない。
大陸第二位になったと言われても、誇りなんて一欠けらも感じない。
しかも私は猿人種のはずだ。
どうしてバツ国がメツ国になったのか理解できず、私はメツ国の紹介を開いた。
気づけば一時間近く、万字に及ぶ経緯を真面目に読み込んでいた。
要約すると――
和平協定を締結し、他種族と連合王国を築いた。
名前を呼びやすくするため、王族のちゅうじびょう二世が国名を「メツ」国に変更した、ということらしい。
写真には、濃い隈をぶら下げた王族が写っていた。
マントは着ているが威厳はなく、カメラに向かって親指を立てている。
……もう何も言いたくない。
私は静かに画面を閉じ、ヘフィスに視線を向ける。
職業の説明をお願い、と合図した。
「調解官というのは、当事者が自分の傷と向き合い、それを調整できるよう導く役目だ。
俺が一番よく助けを求める者に伝える言葉がある。
新人の調解官にも、必ず覚えさせる真理だ。
自分の数値が低いなんて心配するな。
たとえ0でも問題ない。
だって……マイナスだってあるんだからな!」
「ありがとうございます。賢者という職業は少し考えてみます。
それと……プリーモス。あなたからどんな支援を受けられるのかも知りたいです。
さっき見たら、鳥人族の英雄なんですよね?すごいです。」
私はヘフィスの話を遮った。
ヘフィスは微笑みを保ったまま、ふっと顔を上げて深く息を吸う。
「その通りだ。
俺は創造と孕育の神、そして鳥人族の英雄だ!
ははっ!
元々は鳥人族にしか信仰がなかった。
だが種族大戦が終わってから、俺の信徒は激減した!
信仰が途絶えれば、俺に捧げられる『神力』も尽きる。
神力が使えなくなるわけだ。
だから俺は地上に降りた。
例外として鳥人族以外の種族にも手を貸し、新たな信仰の拠点を築くことにしたんだ。」
プリーモスの声には、不本意な妥協がにじんでいた。
本来の威厳ある顔にも、わずかな陰りが差している。
思い出したくない記憶に触れたようだった。
「はあ……。やっぱり俺は鳥人族の時代が一番懐かしい。
信徒の願いなんて『子どもが無事に生まれますように』とか、その程度だ。
俺も夜にこっそり祝福を授けてやったものだ。」
だが次の瞬間、口調が変わる。
目は光を失い、口元だけがゆっくり持ち上がる。
「最近の他種族の信徒の願いはな……はあ!
俺はもう……もうキレそうだ!
『七日間ぶっ通しで精力を維持したい』? まあ、それは百歩譲っていい。
だがな――
『セクシーな溶岩と触れ合いたい』って何だそれは?
は? はは!
へっ、へっ!
俺、ちょっと地上に降りたの後悔してる。
いっそ信仰なんて滅びればいい。」
プリーモスは私を見て、妙に明るい笑顔を浮かべた。
力の抜けた、どこか決壊寸前のような笑み。
「そうだな。はは……。
いっそ滅びればいい……。」
セクシーな溶岩がどれくらいセクシーかは聞かないでください。
感じて、想像するだけで大丈夫です。




