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第02話 人形は 装備品を 手に入れたぞ!!


「へ?」


 間抜けな声が湖の辺で屈んでいる人形から広がる。

 待て! この人形が俺?いやいやまさか、だって昨日までちゃんと人間として生きてきたじゃないか、それがどうしていきなり人形になるんだよ、まず目も耳も無いのにどうやって見聞きしてるんだよ。

 そうかこれは夢だ、かなりリアル寄りで長い夢なんだ、目を閉じて5秒もすれば元に戻るさ。


 1…2…3…4…5……


「……人形がいる」


 ゆっくりと全身に焦りが広がってゆく。

 落ちッ落ち着け俺!!いや落ち着いてるのか?まず俺の元の体はどうなって、いやまず人形なのになんで意識があるんだよそもそもなんで動くんだ!?まず何処なんだよここ!!落ち着け俺、今は考えずにまずは深呼吸だ、すぅ〜はぁ〜、落ち着ける。

 一部言語化できない恐怖とパニックが押し寄せてきたが深呼吸で一旦落ち着く。


 1つづつ時系列順に思い出して整理していこう。

 まず俺の名前は三入ユウヤ、よしちゃんと覚えてる。

 昨日プラモデルを作り終えたあとそのまま机に突っ伏して寝た。

 そして次起きたら洞窟の中で人形になってて今は自然豊かな森にいる……

 ダメだなんにも繋がりが見えない…


「…とりあえず水飲むか」


 なんにもわかんない事がわかっただけでも良しとしよう。

 手で水を掬い上げて口まで運ぶ…ダメだ人形の手じゃ隙間が多すぎで水が掬えねぇ

 仕方ないから湖に顔を突っ込んで飲むか…

 少し深いところに移動してパチャリと音をたてながら顔を湖に突っ込む。


(これはたから見たら訳分からん光景だよな〜)


 湖の中でそんな事を考えながら水を飲み、ある程度水を飲みさっきまでいた湖のほとりに戻る。空腹はどうしようも無いが喉は潤った。

 ほとりで何か周りにないかじっと見渡す。

 ここは一体どこなのか、まずここは日本なのか、少しでもわかるものがないか軽く探してみる。



 15分ほど辺りを見渡して少しだけ歩いて探してみたが人どころか人のいた痕跡すら無い、マジで異世界に来ちゃった可能性も考えないと。

 ただ一つだけ発見があった。湖の近くに川が流れていたのだ!

 ここがどういう場所なのか見当もつかないが川、というか水が近くにあるところには今も昔も人が住んでいるものだ、うんきっと居るはず!!

 そう考え俺は川の下流に向かって歩き出した。


―――――――――


チャプチャプ

チャプチャプチャプチャプ


「いや〜それにしてもどこを見ても木しかない…」


 どうも先程意気揚々と川に行って現在川の流れに乗ってドンブラコしてる人形です。

 途中どうしても足場がなくて進めなくなった時に思いついたのです、そういえば今の俺木の人形なんだから浮くんじゃね?と

 いやまあ正直イケるとは思ってなかったよ?でも人形になったお陰で同じ体制でも体が痛くならないから首だけ曲げてあとは全身大の字、これで水に浮いて川を下れちゃったの。

 あとは周りを見ながら下流に向かってドンブラコ〜ドンブラコ〜、あぁ〜なんかないかな〜


 そんなふうにドンブラコしてると目の前の川岸に明らかに自然にあるものではない物が見えた。

 適当な石を掴んで減速し、川岸に上がる。


「おぉ!!これはファンタジー物でよく見るタイプの荷車!!」


 そうそこにはファンタジー物でお約束、ボロボロになっているが、何かの印がついた布の屋根のある四輪の荷車が横にぶっ倒れていた!!

 久しぶりの人の気配にウッキウキで近づこうとしてふとある考えが流れ立ち止まる。

 こんな森の中1つ残された馬車、ファンタジー物は多くは読んでなかったがこの感じ、物語なら何者かに襲われた後、つまりもしかしたらあれがあるかもしれない。

 そう、死体が


「……」


 無いはずの唾を飲み、感じられない心臓が鼓動する。

 ゆっくり近づき一瞬手を引っこめるが覚悟を決める。


「えぇい!!ままよ!!」


 バッと荷車の中を見るがそこには覚悟していた物も無く、2つの木箱と少し大きめのナップサックの様な皮袋があるだけだった。

 死体がなくてホッとしたのと同時に気張っていたため少し疲れてしまった。

 しかし今はへばってる場合ではない、死体は無くとも荷物はある!窃盗になるかもしれないが生きるためだ、今だけは見逃して欲しい。


「まずはこのナップサックから」


 少し重たいナップサックを持ち上げ荷車近くの石の上に座る。

 重さからして何かは入ってるはず、ちょっとドキドキする。


「ナップサックオープン!!」


 久しぶりの人工物と袋を開けるワクワクで少しテンションがおかしくなりながらサッ、と布の擦れる音と重さからの期待と共にナップサックが開かれる。

 中に入ってたものでまず目に入ったのは皮の鞘のついた大きなナイフだった、明らかに日本の銃刀法違反に引っかかるサイズのナイフ。

 そして次に目が行ったのは片手サイズの小さな袋、開けてみると中には見た事の無い4種類の硬貨が袋の3分の2ほど入っていた。

 そして袋に入っていた最後の物、前ふたつに気を取られていたが今の俺が最も欲しかったものが入っていた。そうそれは……


「干し肉だ!!」


 食料!!おそらく2日ぶりくらいの食料を手に入れたのだ!!

 嬉しさのあまり勢いよく噛み付いた!!


「かったい!!」


 干し肉がチョー硬い!!

 正確に言えば木の人形の体ゆえに歯がないし木だからそこまで硬くない。このふたつが噛み合った結果干し肉が噛み切れなかったのだ。


 少しシュン、となったが気を取り直して次は木箱だ。

 木箱と言ったが実際は木箱の形をした某クラフトなゲームのチェストの様な物で開け口には南京錠がついていた。

 荷車の中から2つの木箱を取り出してついでに鍵がないか探す。

 鍵は見つからなかったがギリギリ使えそうな深皿があったので物は試しに干し肉を水でふやかす事にし、ふやかすまでの待ち時間の間にチェストを開けることにした。


 まずパターンその1、鍵がかかってないことを祈る。南京錠がガタガタ鳴るだけ、現実は非常である。

 パターンその2、力でこじ開ける。開け口を持って全力で引っ張るが開かない、ただお腹を余計に空かせるだけだった。

 パターンその3、頑張ってピッキングする。たまたま落ちてたいい感じの枝でピッキング、枝が折れて取り出せなくなっちゃった( ´・ω・`)


「ダメだ全く開かない…」


 一旦開けるのを諦めて干し肉を見る、いい感じにふやけたのかさっきより明らかに柔らかい。


「これなら!いただきます!!…!?」


 干し肉を噛めた!そして水につけてたせいで水っぽさはあるが口に広がる。人形じゃなければボロッボロに泣いていただろう。

 久しぶりに食べた食べ物の味、たとえ絶食の日数が短くとも一人で心細い中ようやくありつけた食べ物は格段に美味しかった。


「ご馳走様でした」


 何気ない一声がここまで感慨深くなるとは思ってなかったがご飯を食べた事で1つのアイデアが思いついた。


 そうだ、南京錠ぶっ壊せばいいんだ、と。

 思いついたが吉日、そこそこの大きさの石を持って南京錠をぶっ叩く!全力でぶっく!


 ガギッ、と何かが壊れる音と共に南京錠がボトリと地面に落ちる、やっと開けれたのだ!


「木箱、オープン!!」


 ガチャリ、と空いた1つ目の木箱、その中には衣服が入っていた。

 ファンタジーでよく見る白?ベージュ?ぽい色のシャツにちょっとくすんだ茶色のズボンとベルト、そしてちょっと大きめの茶色のブーツが入っていた。

 さすがにファンタジーぽいとは言えど防具とかポーションみたいなのは入っていなかった。

 1つ目の木箱でこれなので期待を込めて、2つ目の木箱の南京錠もぶっ壊す。


「木箱2個目、オープン!!」


 2つ目の木箱、そこにあったのはもっと早く欲しかったもの。

 地図とコンパスである!!

 それだけじゃなくてさっきナップサックから出てきたナイフよりちょっと小さいものが3つ。

 そしてそこそこの量の果物と水筒?ぽいものが入った袋があった。


 早速地図を見てみる。見たことの無い文字だか何故か読めるが今は気にしないでおこう。あまり大きな地図では無いがいくつかの村がある事がわかる。

 次の目的地が決まった。地図を見ながら村へいざゆかん!!と言いたいがよくよく考えると現在地が分からない。

 ただ場所はわかった。それだけでも大きな収穫だ。


 地図や食べ物、3つのナイフと川の水を入れた水筒をナップサックに詰め込む。

 木箱に入っていた服と靴に着替えナイフをベルトに付ける。

 あとついでに布の屋根から印のところをナイフで切り取っておく、後でなにかに使えるかもしれないしね。ちょっと大きいのでスカーフのように首に巻くけど。


 荷物もまとめついにここを経つ時がきた。

 空腹を満たせる食料、おそらく異世界なここに人がいる可能性、とても大きな2つをくれたここも経たなければならない。

 俺にとっての原点になる場所、だからこう言わないと


「ありがとう、いってきます」


 そうして俺は歩み出す、まだ見ぬ人里を求めて!!





―――――――――

10分後 お外真っ暗な推定午後18時30分頃


「……帰ってきちゃった」


 締まらねぇ…

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