第01話 人形になりました
何か変な夢を見る
自分も含めた10人の■■■■がナニカを作っている、これは骨?わからない
ひとつわかることは他の9人が自分の弟、または妹である事、自分は一人っ子のはず……
誰かが後ろから近づいてくる足音が聞こえ、振り向いたところで夢は終わった。
ゆっくりと意識が覚醒する。
変な夢を見た気がするがまぁいいだろう。そういえば昨日?いや今日か、プラモ作ったあと椅子でそのまま寝たんだっけ?
にしても暗いな、電気は消したがこんなに暗かったか?それとも夜明け前なのか?
机の上に置いてある時計を見ようと机に手を置いて気づく、確かに整理整頓は苦手だがこんなにもゴツゴツしてたっけ?というかこれ岩肌じゃね!!なんで!!
慌てて立ち上がって周りを見る、真っ暗でほとんど何も見えないが足裏の感覚、手をついている壁の感覚、空洞特有の反響音、暗闇の中機能する五感が俺にここが洞窟である事を訴えかける。
出なければ、人間は元々太陽の下で動く昼行性の生物、暗闇に閉ざされた空間に閉じ込められると本能的に恐怖を感じる。人間は恐怖を感じると大声を出すか声が出なくなるかの2択、俺は後者だった。
つま先から頭のてっぺんまでサァっと恐怖が押し寄せてくる。落ち着け、落ち着くのだ。ここでパニックになってしまえばどうしようも無い。深呼吸、冷静に…よし少しマシになった。
ただ五感が機能することは幸いだ、風の動きから出口を探せる。
こういうのは風上に向かえばいい、風の向きを感じろ、集中…
瞬間、脳内に突然出口までの道が出てくる。まるでその道を目指して進んでいたかの様に…
なんだ今の?
まぁなんだか知らないけど出口がわかったのはデカい!これで外に出られる!!
そこそこ遠いけどこれくらいなら問題ない、と言っても暗すぎて前は見えないから慎重に…
―――――――――
28時間経過ッ!!
ゴールは近いのに…あとちょっとなのにたどり着けない……洞窟を舐めてた。
漫画とかアニメ見たいな洞窟じゃないマジモンの洞窟、狭い場所をほふく前進で通ったり人一人分の幅をどうにか進んだりとかなり過酷であった。
喉が乾いた…お腹がすいた…でも進まなきゃ…
気合いで岩肌をよじ登った時、希望が見えた。
今まで全くと言っていいほどに無かった光、その光が登った先にある曲がり角から漏れている。
光、光だ!やっとこの何も見えない洞窟から脱出できる!!
俺は走った、喉の乾きや空腹も忘れ全力で走る
そしてついに俺は洞窟から脱出することができた!!
やっとの思いで脱出した洞窟の外には森が広がっていた。植林した人の手が入った森ではなく各々の植物が縛られずのびのび成長した森、そしてその横にはギリギリ対岸が見える大きさの湖があった。
安堵、そして圧倒的喉の乾き、ヤバいマジで喉が乾いた。
近くに湖があってよかった。俺は小走りで湖に向かった。
乾いた喉を潤すために水を手で掬い上げようとして気づく、俺の手が木で作られたデッサン人形の様になっている事に。
その時、さっきまで吹いていた風が止み湖の波が収まって湖が凪いた。すると湖がまるで鏡のようになり俺の全身を映し出す。
少し白い木で精巧に作られた糸の無い操り人形
人間の形に合わせて作られてた球体関節人形
腹や首などが細かく動き形となる立体感のあるデッサン人形
極めつけに目も耳も鼻もない、ただくるみ割り人形や腹話術人形の様な口のあるウッドマネキン
そんな人形が美しく反射する湖に写っているのであった。
「へ?」
これが人形となった三入ユウヤ、もとい■■■の最初の言葉であった。




