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ノスタルジー

 まだ僕らより

 背の高いススキの向こうには

 穏やかな川が流れ

 その先に田園が広がっていた


 ススキとススキの狭間を

 君と手を繋いで歩く

 明日への不安と

 未来への希望

 握り合う手の熱はその一部だと信じていた


 ススキは途切れ

 僕と君は別れて家路へ

 昭和がもうすぐ終わるとも

 その後始まる平成はそれほど長く続かないのも

 まだ知らなかった




 もう僕より

 背の低いススキの向こうは

 堤防に覆われ

 その先は新興住宅地になってしまった


 静寂と静寂の狭間は

 きっと誰にも気付かれない

 明日出て行く人々

 ここに骨を埋める人々

 担い手としてこの町で生きる覚悟


 好きだったあの(ひと)かと

 向かいから来る人は他人

 潮が引くように気持ちは冷めた

 今日がもうすぐ終わるけど

 その後来る明日のために

 家路へと




 心の中に薄く深い空間があって

 いつも切なく軋むけど

 長い人生の中で

 その気持ちを制御できることを学んだから

 顔を上げて進もう


 背の低いススキの向こうにも

 明日への不安と

 未来への希望を信じる人たちがいる

 顔を上げて進もう

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野廃る爺「……ショウワか……何もかもが懐かしい」 
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