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夏祭りはヤマト村で 21

 

 あの三人はたまたま一緒になっただけで各々同年代の友達とかと回る約束があるとの事でここで別れた



「全く、皆して俺をセクハラ男にしようとしやがって」


「バッチリセクハラしてるじゃないかぁ」



こんなやり取りをしていたらトウ君が現れた



「よう!みー、浴衣買ったのか?まさかこれを期にうちの村の誰か狙ってるんじゃ…」



 コイツは何を言ってるのだろうか?今そんな話したら色々面倒くさいのがツッコんで来そうだからやめて欲しい



「やっぱりそうだったのか、狙いは誰だい?かりんさんかな、でもゆっこさんの方が親しげだったね、それともかえでさんかい?うん、きっとかえでさんに違いない」



 クリスめ、自分はそんなネタ振ったら吹き出すくせに人には容赦無く聞いてきやがって



「やっぱりそうなんすか?いやぁ、流石リーダーさんだ。ちゃんと見抜いてる」



「みーくんの考えてる事なんて朝飯前さ」



 好き勝手言いやがって、下手に食いつくとめんどいから流すほうがいいな 



「そんなわけ無いだろ、さっきから弄られていじめられてるから勘弁してくれ。それよりトウ君は1人なのかい?」



別に女と居なくても他に仲間は居るだろうに



「俺は仕方無くだが祭りの治安維持に務める事にしたんだ。皆浮かれて治安維持を疎かにしてるからな」



「大方普段からつるんでるバカどもに女が居るとかでバツが悪いから彷徨ってるんだろ。それともナンパでもする気か?」



 せいらさんは容赦ねーな、その辺は触れないであげようぜ



「ふっ、それは誤解っすよせいらさん。俺はそもそも修行してる身、あんなハンパな連中と違って女にうつつ抜かしたりはしないんでさぁ」



「んじゃさっき可愛いネコミミの獣人が炎使いのトウさんって何処ですか?って聞いてきたのもスルーでいいな」



「マジっすか!?何処何処?俺の魅力に気付くそんな可愛いおっぱいの大きいネコミミお姉さんは何処っすか?」

 


うん、トウくんは安定のバカだ

 


「ウソだバカ」 



「………ち、ちくしょぉぉぉ、馬鹿にしやがってー!」



 せいらさんは本当に容赦ねーな。そのうち刺されるんじゃないか?



「落ち着けって、俺達もまだ回るから一緒にどうだ?」



「ふん、お、俺はお前等と違って祭なんぞにうつつ抜かしたりはしない!治安維持に務めるのさ」



 ついさっきウキウキになってたのは脳内から消し去ったようだ。なんか可哀想になって来た



「そ、そうか、頑張ってくれ。そうだ、今度皆で家遊び来いよ、歓迎するぜ」



「それは面白そうだな。さて俺は治安維持で忙しいからまたな」 



謎のプライドが彼を一人にしているようだ



「うーにゅ、去って行くトウ君に水龍さんという絵が見えてしまったアチキなのです」



 まて、それは色々マズい。100歩譲って祭りじゃなきゃアレだが今は人が多すぎる



「ここじゃ流石にマズいから人の居ない所行こうぜ」



川に行きまゆもの魔法タイム



「水龍しゃぁぁん〜」



 それはもう見事な水龍さんだ、ちょうど涼しくなったし夜にある盆踊り的なのまで時間もあるからちょっと休憩する事になった



「ヤマト村の人間は口が固い、なので多分言わなきゃ誰も口外はしないのだろうが秘密にしてる訳でもないしタブーがある奴みたいな扱いも嫌だから先に言っておこうか」



せいらさんが何か言いだした、さっきの話か



「それは先程の探し人の事ですか?」


「そうだ、まゆもは当然知ってる訳だが…アレだな、改めて自分で言うのもちょっとやっぱ恥ずかしいし、やっぱ無しで」


「えぇ~!?それはちょっと気になりますよ、姐御〜」


「そうですよ、そこまで言われると気になってしまいます」



 確かにそこまで言われると気になるが…ギンさんとか言ってたな、なんだろう



「アチキからチラッと言うぽん?」



「……そうだな、一応デリケートな話になるから変な誤解されそうな言い方はやめてくれよ」



そういう話なのか



「では、発表するぽぅん。せいら姐さんは……」



「「姐さんは?」」











「バツイチじゃ」



なんと!?また凄いのぶっ込んで来たな



「「ええーー!?」」



「た、確かにそうなんだが、なんというか的確過ぎる一言で戸惑っちまうわ」



「せいらさんはご結婚してた経験があるのですか?」



「子も居たって言ったら驚くだろ?」



「「ええぇーーーー!!?」」


 ここでせいらさんがその辺の話をしてくれた。

 同年代で幼馴染とも言える近所のギンさんという男と過去に結婚したそうだ。

 子供も1人授かり傍から見る分には順風満帆にも見えたそうだが…どうやらギンさんという男は同じくヤマト村の女と関係を持ってしまいそのまま子供も連れて消えてしまったらしい



「という事はお子さんを取り返したいとかそういう話になるんですかね?」



「いや、もう5年も経ってるからな。ちゃんと育ててくれては居るだろうから余程でもない限りはそのまま責任は取ってもらおうと思ってる。ひと目見たいとか思うのは確かだがその辺の色んな事はもう過去に散々悩んで結論を出してるからな」



「それにしたって、姐御を捨てるなんてありえないですよ!」



 クリスがせいらさんにくっつきなから怒っておる



「ありがとな、だが私はヤマト村の者だ。これを相手のせいにだけして怒り狂ったままという事は無いのさ」



「みーくんがライブやったあの草木の生えてない不自然な広場はかつて怒りに怒った姐御の必殺技の跡地なのじゃよ。あの時結界で抑えてなかったらきっと村はぴょーってなってたのじゃ」



そんな必殺技があるんすか?



「アレは仕方ないだろ、あの怒りばっかりは放出しないとどっかの国滅ぼしてたかも知れねーからな」



 サラッととんでもない事言ってやがる。この姐御マジでやべぇな、ヤマト村の皆のせいらさんへの対応がああなるのも納得だ



「今も探してると言う事は、何かケジメをつけるおつもりですか?」



 メロニィが仕事スイッチ入ったかのような感じで聞いとる、メロニィなら貴族パワーで探せたりするのかな?



「いや、まあそうとも言えるけどな。ただもういちいち干渉はしないから変に隠れて暮らすなって事だけ伝えたくてここを出て活動してるヤマト村の奴にはそれとなく言伝を頼んでる訳だがまだ見つかったという報告は聴かないんだよ」



「せいらさん凄いです。私だったらきっとそんなふうに許せたりはしないかと思います」



 リリィさんはその辺凄く執念深そうだもんなぁ。喰い下がり方とか凄いもん



「私自身にも問題があったってのは分かってるるからな、あの時ゃ若かったし。

 それにギンも一緒に逃げたサチも、色々思う所があったんだろうよ。

 あの時私が怒り狂って無けりゃ子供は置いていったのかも知れん。

 多分、勘にはなるが私の怒りっぷりに怯えて子供を置いてくとかも出来ないくらいに逃げたのだろう。最もあの時の私の前に子供だけほっぽって置いて逃げたなんて現実を目の当たりにさせられてたらどうしてたか分かったもんじゃないがな」



「こんな色々思慮深い姐御を捨てて他の女のところに行くなんて…姐御が許しても私は許さないんだい!」



 クリス様が怒ってらっしゃる、せいらさんにくっつきながら。

 多分暑くて困ってるんだろうが自分の事で怒ってくれてるクリスにそれが言えないちょっと困り顔のせいらさん、俺もちょっと聞いてみるか



「ギンさんって人は…そのサチさんって人もだけど子供の事はちゃんとしてくれそうな人なんすか?」



「そうだな、その時の環境次第でどうなるかなんて分かったもんじゃないが私の知る限りのあの2人の性格なら子供を疎かにするような奴等ではないと思うぜ」



 だから探してたのか、いちいち干渉しないから隠れるなって。

 この人本当、暴君だけど出来た人だ



「何か探すにあたって分かりやすい物とかあったりしますか?可能性は低いかもですが俺達パーティーでも気にかけときますよ」



「アチキがすぐわかるから大丈夫やでぇ」



「でも…なんというか私的にはちゃんと謝罪させたい気持ちもあるかな。姐御がいいって言うなら余計な事はしないけどさ」



「特徴とか教えて頂けたら微力ながら私の方でも貴族パワーで多少…でもそれは既にせいらさんならやってそうですかね」



 そういやメロニィさんは貴族視点側、王宮勤め側から見たせいらさんの事を多少なり知ってるのか



「私も微力ながら協力しますよ」



 リリィさんが俺の方見ながらそう言った。何かありそうだな



「ありがとな、でも本当言伝だけでいいぜ。村の皆には言うまでもないが、これはハッキリ言っておこう。

 サチにも言えるがギンのヤツも、ヤマト村の中では決して腕が立つ何かを持ってた訳ではなかったんだ。

 私とはガキの頃から一緒でよく振り回してたんだけど、そういう感じで良く見えちゃった時があって結婚した訳だが…私が配慮に欠けちまってたんだな、多分劣等感とか嫉妬心とかその辺りの感情をずっと抱えてたに違いない。

 そういう奴等はだいたい出て行っちまったりするんだが私が変に縛り付けてしまってたのかもな、 確かにギンとサチは割と若い頃から仲良かったし。

 それに私なりに気配りはしてたつもりだったがギンからしたら私に何か意見するなんて出来なかったのかも知れない。

 夫婦になった以上そんなの気にしなくて良いと私は勝手に思ってただけでギンはそうは出来なかったのだろうよ。

 最も、こんなのはある程度怒り狂って時が経ったから言える事なんだけど…だから本当にあいつ等にとやかく言うつもりはもはや無い、仮に見つけたとしても言伝だけでいいぜ」



 せいらさんが実は色々思慮深かったりするのもこういう経験があっての事か。

 生前の俺なんかよりずっと立派過ぎて普通に絡むのが申し訳無い気がして来た



「姐御の心の広さには感服ですよ!分かりました、ここはリーダーとして最重要事項としてこの件を頭に入れておきます」



「あんがとよ、ギンが歴史的偉業を達成するような、それこそ魔王を倒すなんてレベルの偉業を達成するならこの話も色々変わったんだろうが、だからこそなんだろうよ」



「そうなのですか?偉業を達成すれば不義も許されると?」



 メロニィが不思議そうに聞いているが確かに気になるな



「ヤマト村の伝説でな、伝説というか史実なのだろうが今では神とされる創始者の武蔵様はその鬼神のごとし強さで村を確立させ他国にも顔を利かせるに至った偉人なのだがそのあまりの偉大さゆえ当時村人となった女の殆どが武蔵様の子を宿したとされてるんだ。

 つまり、ヤマト村ではそれ程の偉業を達成する男なら一夫多妻婚も許されるようなもんだって事よ」



 そうだったの?それは羨ましい……のか分からないがそんな掟があるのか



「1000年位前の話なのじゃよ、ゆえにそれ以降そのような事があった事はにゃいとされておる」



 ちょっと待て、今何か色々重要な気がする話を聞いた気がするぜ



「まゆも先生、それって1000年も前なんすか?」



「うにゅ?そうやでぇ。そういえばみーくんは武蔵様と同郷だと言う話じゃったにょ」



「何だと?それは…どうなんだ?凄い事な気はするが」



 ここで俺が知る宮本武蔵の話や時系列なんかも話しておいた



「そういう事か。そうなるとアレだな、お前が…というよりその世界から転生して来た奴等の理由ってのが何なのか気になってくるな」



「サキさんって人から聞く分には時系列はそんなに変わらない感じがしたので…データが少ないので何とも言えませんがもしかしたら必ずしも同じ時空という訳では無いのかも知れないっすね。

 多少なりともこの世界には慣れて来たのでこれからはその辺の調査もしようとは思います、帰りたがってる人も居ますからね」



「「え?」」



何、皆して?そんな驚く話?



「みー、お前帰る気なのか?」



「いや、俺は一回死んでるから何となくだけど帰れる気はしないし今の所そんなつもりは無いけど」



 ここで俺の居た方の世界の文明とかの話をちょっと事細かに話しておいた



「なるほど、武蔵様が居た世界だと安直に考えてはいけなさそうだな。普通に来ようもんならまず環境的にも合わないって事か」



「そういう事です。なのでサキさんなんかはバッチリ帰りたがってたし今来てるであろう人なんかも帰りたがってる可能性はあるかもですね。多分皆一度死んでるから戻れるとは思えないですが」



「………せっかくなので、良い機会ですから言う必要も無かった話ですが今しますね。少なくともこの国では今現在その転生者で生存してる方はサキさんを除くと0ですよ」 



 マジっすか?結構来てる的な話じゃ無かったっけ?



「そ、そうなの?み、みーくんは大丈夫だよね??」



「大丈夫かと思いますよ、他の方々は冒険者として殉職してしまいました。過去には冒険者を拒否して生きてく人も居ましたが今は居ないですね、悲しい話ですが自害してしまう人も結構居るようです」



 何となく気持ちは分かる。ライブ前で俺もあったがふとした時に物凄く怖くなる時があるんだよ、過去の転生者もそれに耐えられなかったのかも知れない



「……大丈夫とは思うがお前は簡単にくたばるんじゃねーぞ」



「みーさんなら大丈夫でしょう、冒険者としてでは無く貢献してる人なんかも過去には居ましたしそういう方々では天寿を全うしてる人もちゃんとおりますからね。

 私も全ては知りませんが正直言いますと冒険者として活動する転生者は殆どがちょっと問題あり過ぎでしたのなるべくしてなった結果と言わざる得ないと思ってます」



 確かにアニメやゲームのイメージで来ると簡単に詰むだろうな。

 少し考えれば分かる事だが俺の居た世界の人間でも5歳くらいのガキがナイフで刺せばどんなに屈強で鍛え上げた大人だって殺される可能性があるのと一緒でこの世界の魔物も雑魚と分類されるヤツだって相手を殺すだけの何かを持ってるのが殆どだ。

 悪ゴブリンの石器での殴打だって不意に当たりどころが悪けりゃライオウを倒した俺だって死ぬ可能性がある訳だから



「なんか悪いな、楽しいお祭りの時にちょっと重い話になっちまった。そんなつもりは無かったんだが」



ここは助け舟を出しとこう



「掻い摘んで言うとせいらさんのおっぱいはデカいって事だという事で」



あら皆さん、残念な人を見る目ですね



「みーさんがグラマーな女性に欲情してるのは分かります。ですがそれは将来の嫁たる私に対する嫌味ですか?確かに私のは小さいですがそんなに大きいのに目を引いてる姿を見せつけて来るなら私にだって考えがあります!」



 メロニィが訳の分からん絡みをして来た、ここは分からせてやらないとだな



「誰が将来の嫁だ!メロニィよ、キミは一つ大きな勘違いをしている…因みにメロニィの考えって何?」



「勘違い…ですか?私の考えというのは胸を大きくする魔法の開発にこれからの魔法の修行にすべて費やします。例え今会得してる魔法を全て失おうともです!」



 正気か?だがメロニィならやりかねん。この子は下手するとある意味ヤマト村の人間以上に我が道を行くタイプだったりするからな



「正気の沙汰とは思えない解答にびっくりだがそれは置いといて」



「うわっ、出たよ」



 何を言うか分かったクリスが軽蔑するかのように言ってきた。

 そういや3人で住んでた時にも言った時あったな



「俺はおっぱいが好きなのであって必ずしも大小が重要では無いという事を理解して貰いたい」



「はぁ」



なんとも腑抜けた返事を、大事な話だと言うのに



「つまりメロニィのにはメロニィの良さが詰まってて素敵だぜって話だ!大事なのは……ロマン、だぜ!」



「……メロニィはこんな男に嫁ぐ気かい?」



クリスめ、なんて無礼な言い方だ



「うっ…ちょっとアレですが…みーさん若干キモいです」



キモいはやめて下さい、キズつきます



「これ以上ツッコまれると今夜の俺の枕がびしょびしょになるのでこの辺にしとこうぜ。せいらさん、そんな話してくれてありがとうございます、せいらさんの素敵さがより分かって良かったです。という事でそろそろ暗くなって来ましたし踊りに行きましょう」



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