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夏祭りはヤマト村で 18


 変な時間に目覚めせいらさんとのやり取りがあった事もありこの日の朝はちょっと遅くなってしまった



「みーさん、そろそろ起きてください」



 目覚めにリリィさん、本当に布団になってくれないかなぁ。

 まだ全然眠いというか疲れが残ってる気がするけど自宅じゃないからちゃんとしないとなので顔を洗って朝食へ



「おはよう、みーさん。今日もせいらが作ってくれたので沢山食べて下さいな」



 せいらさんは早起きしてくれてたのか。昨日の事でちょっと気恥ずかしい所だが



「おはようみー、今日も早く起きちまったから作っといたぜ」



 今の所普通だが…いかん、変に気を使うと気まずいからいつも通り行こう



「おはようございます、今日も朝食ありがとうございます。今度御礼にたこ焼き書いてみますね」



「書くんかい!朝から何アホな事言ってやがるんだ。ほら、結構残ってるからジャンジャン食え」



 良かった、どうやらいつも通りのせいらさんだ。俺の方こそ変に意識しないように気を付けねば



「今日はみーさんもゆっくり祭りを堪能出来そうですね」



「そうですよ~、やっと屋台で買い物したり色々見たり出来ますよ」



「ふふ、色々回りましょうね」



 皆とは昼食から合流する事になってるので午前中はゆっくりな時間だ。

 リリィさんはちょっと薬の材料を見たいとかでまた色々回るそうで、俺はちょうどフリーになったのでよしまそさんに挨拶に行った



 非常に有意義な話をしつつ昼頃になったので集合場所へ向かうと既に皆集まっていたようだ



「遅いぞみーくん!何してたのさ?」



いや、遅いって事は無い気がしますが



「ちょっと引きこもり気味なヤマト村の御方に挨拶しに行ってたのさ」



「引きこもり…という事はよしまそさんかえ?」



ヤマト村唯一の引き籠もりだから分かるか



「あの御方は祭りなんかある時には表に出る事なんて無いと聞いたからね」



「あの御方なんて大層なもんじゃねーだろ、あんなキモデブ」



 なんて言い草ですか、我等がよしまそさんにそんな…そう言えば



「クリス、良かったら昼の後にでも紹介したい人が居るんだけどいいかい?」



「紹介したい人?」



「前に言ってたじゃん、クリスの必殺技って元はヤマト村の侍さんの居合い切りから始まったって。ヤマト村1の剣士さんにクリスの事と必殺技の話をしたら是非ってなったの」 



「ヤマト村1の剣士だって?やだ、いいのぉ??一回見てもらいたかったんだよね〜、流石みーくん分かってるねぇ〜」



 クリスの必殺技は凄いから俺も気になってたりするのだ。

 ヤマト村随一の剣士がクリスの必殺技をどう見るか…てか俺的には侍さんなんだけど皆が言うと8割方剣士さんになるんだな、どういう基準だろ?



「ヨウのおっさんだろ、大丈夫か?多分昨日の事で奥さんに物凄く絞られてると思うぜ」



そういやそうだった



「そう言えば昨日とんでもない事が起きてましたね、物凄い音がしたので見てみれば大きな岩のような物が飛来してたり、それを打ち砕いてたりと…あれ砕いたのもみーさんですか?」



 やはりメロニィも、てか皆見てたか。物凄い音してたもんな



「皆で破壊したのさ。かえでさんの魔法だったわけだけどアレで手加減してたっていうから驚きだよ」



「それは驚きですね、流石ヤマト村です。あんなのポコポコ撃たれたら王都なんて一瞬で滅びますよ」



「アチキもかえで姉さんみたく天変地異やるぼぅぅん」



 まゆもさんの目標は天変地異なのか。この星さんが可哀想だからあんまり酷いのはやめてあげてね。

 今日は祭り最終日で前日からの流れというのもあり出店は昼前にはもうやってる状態なのでお昼は出店の物になった



「みー、買ってけよ。昨日お前さんが売りまくってたせいでこっちは出だし遅れちまったんだからよ。でも良いもん見させて貰ったからまけとくぜ」



 昨日やった店のお隣さんからクレームが来たのでせっかくだから買ってあげた。

 生前も似たような事を言われた時があったのが懐かしい



「この世界にもお好み焼きがあるのは嬉しいね。今度家でも作るか」



 厳密に言うとちょっと違う気がするがお好み焼きという解釈が言語的になされてるのでお好み焼きなのだろう。

 ここまで絶妙だと元からこの世界であるのか転生者が広めたのかは謎だな



「あれは確かみーさんと仲良しな…レンさんでしたっけ?何やらモメてますよ」



 なんと、レン君とドン君が喧嘩している。一体何があったというのか?とりあえず行ってみるか



「落ち着けって、悪気は無かったんだよ」



「それにしたってだ!死ぬ所だったんだぞ」



 どうやら昨日レン君が隕石の残骸を飛ばした方面でドン君は仲良しこよしタイムをやってたようだ



「だいたいそんな場所で何やってたんだよ?神輿にも参加しねーでよ」



「べ、別にいいだろ!そんな事よりもっと確実に人の居ない所に飛ばせってんだよ」



 何とも言えない事態だ、知らなかったレン君からすりゃ何も悪くないと言いたい所だが確かにもっと遠くに飛ばせと言われりゃそれは一理ある位の場所に飛ばしてるからなぁ。

 でもドン君は秘密にしてたから知らないのも仕方ないし



「お、みー来てたか。こいつ等アホだから喧嘩してんだよ。少しは俺のように落ち着きってもんを覚える必要が」



「「お前に言われたくないわ」」 



 トウ君が総ツッコミ入れられた。これには俺も同感だ。とりあえず一回くらいは止めとくか



「二人とも落ち着けって、ドン君ちょっと」



とりあえずドン君を呼んでヒソヒソ話



「なんだ?流石に今回の事はちょっと危なかったから止めないでくれ」



「だいたい事情は察せるけど、ところでお弟子さんとはどうだったのよ?まさか怪我したとか?」



「それはない、俺が必死になって何とかしたからな。でも本当にヤバかったんだぜ」



「てことは…そんな自分を守ってくれるカッコいい姿をお見せしちゃった訳ね?」



「た、確かに……その後凄い目をキラキラさせてた気もするが」



何青春しちゃってんだコイツ



「確かに命の危険があったから怒りはご尤もだがあれに関しちゃ本当に悪気は無かったからね。カッコいい所見せる機会を得たって事で何とかおさまらないかい?」



 ぶっちゃけ事情を説明すればこの件のみならレン君はそれはもう素直に謝りだすだろうよ。

 その代わりそのネタをとことん弄ってくるだろうが



「そ、それもそうだな。その後しれっと帰った俺ってもしかしてナイスしれっとだったりするか?」



3バカ括りされるだけある



「良い感じだと思うぜ。このままこの件が大っぴらになるとその限りでは無くなるやも」



「それはそうだ、あぶねーとこだった!みーサンキューな」



 何とか喧嘩をおさめつつヨウさんの所へ向かった。

 因みにこんなのは日常茶飯事なので余程でない限り大っぴらになることは無い





「確かあの家だったかな」



ドアをノックしようとすると



「で、ではダッシュで喜んで買い物に行ってきます」



なんとも情けない姿を晒すおっさんが居た



「ヨ…ヨウさん、こんにちは。昨日話した件でウチのパーティーのリーダーを連れて来ました」



「お、おう、みーか。ちょ、ちょっと待ってろ。今大事な任務があってな、すぐ戻るから」



「あら、みーさん一行にせいらちゃんも。久しぶりね、ウチのに何か用かしら?」



「お久しぶりっす。ちょっとヨウさんお借りしようと思って、忙しいなら後でで大丈夫っすよ」



せいらさんが後輩感を出しておる、レアだな



「あらあら、それだったらってもう行っちゃったみたいね。すぐ戻ると思うからちょっと待っててね」



 本当にダッシュで行ったのだろう、ヨウさんはすぐ戻ってきた



「ね、ねぇみーくん。この人がヤマト村随一の剣士さんなの?」



 クリスがひっそりと俺に聞いて来た。気持ちは分かるぞ。でも本当に凄い人な…筈なんだ



「ふ、待たせたな。して、リーダーのクリスさんは…キミかな?」



「はい、よろしくお願いします」



 せっかくという事でまずはヨウさんの剣技を軽く見せてもらった



「てい!!」



 所謂試し切りな訳だが流石だ。藁の巻いた木を切った訳だが微動だにしていない



「え!?ほ、本当に切れてる。少しもズレてないのに……凄いっす!!流石ヤマト村随一の剣士です!!」



クリスがここぞとばかりに目をキラキラさせている



「とんでもないですね、私は剣は全くやりませんが騎士達の立会なんかは見たりした事ありますけどこれ程の剣技は見た事も聞いたこともないですよ」



ゼストさんにも会わせてあげたい気もする



「メロニィちゃんだったか?君は確か王都勤務だったね。ゼストっていう指南役が居ると思うがアイツはそこそこやったと思うぞ、最近ちょっと指導してやったが筋が良かったからな」



 お前か!?あの謎のパワーアップの切っ掛けを与えたのは



「あ、あの、私の剣も少し見てもらっても良いですか?」



「ほう…これはまた面白そうな、良いぜ」



 ゼストさんの事を聞いたリリィさんが試し切りをする事に



「行きます」



 見事に切れたがヨウさんのようにその場に残るというような事は無かった



「流石凶魔戦士のリリィだけあるな。良い太刀筋をしている」



「リリィ様、仕込み杖なんて素敵だぜ」



 リリィさんにくっつくせいらさん、間に挟まりたい



「あ、ありがとうございます。でもヨウさんのようにはいかないですね」



「こればっかりは日々の鍛錬だったりするからな、俺は魔法は使えない事もない上で剣一本でやってるからこそって話だからそれ程の太刀筋を持ってりゃ戦闘には充分だと思うぜ。そういやゼストと同じパーティーだったんだよな?それならいっそ斬撃を飛ばしちゃえば面白いかもな」




 斬撃を飛ばすのにはいくつか種類があるらしい

まず一番ポピュラーなのが斬撃的な物を魔力で精製し飛ばす。

 これは言うなればその魔力で切れるレベルの刃物を飛ばすみたいなイメージだ。

 次にあるのが斬撃を転移させる訳だがこれは難易度が高く敵も動くので活用性は低いが上手く使えれば必殺にもなりうる。

 クリスの必殺技が少し似てる気がする



「ゼストさんが使用してた物は剣技に近いように見受けられました、ヨウさんがお教えしたのですか?」



「流石凶魔戦士リリィだ、よく見抜いてる。アレは極限まで斬撃を圧縮してるとでも言うのか…線を引いてるみたいな感じだな。よって剣技と変わらないレベルの斬撃を飛ばしてる感じだ、正直感覚みたいな所もあるから上手く説明は出来ないがね」



「そういう事でしたか、色々見えて来ました。ありがとうございます」



 リリィさんは何か納得したようだが正直俺にはイマイチ…いや、言わんとしてることは分かるけど



「ね、ねぇみーくんは分かった?」



 クリスも分からなかったようだが…そうなるとクリス様の必殺技は飛ばしてるという概念は無いと見受けられる。

 見れば分かる事だけどクリスの必殺技は本当に訳わからん所があるから何を言われても否定が出来ないんだよ



「せっかくだから説明してやるか、気軽に真似出来るって代物じゃねぇからそこんとこよろしくな」



 線を引く、と言ってたが理屈自体は簡単なもので斬撃レベルまで細く、あるいは鋭利にした魔力を極限まで圧縮して維持する、それを飛ばすだけだそうだ。

 通常だと空気抵抗とでも言うのか、飛ばした距離に比例して魔力は霧散してく感じだけどここまで圧縮してると結構な距離までその威力は維持されたまま飛ばせるそうな。

 言うだけなら簡単だが実際は非常に厳しいらしく常時剣の切先のみに魔力を圧縮し纏わせておく必要があり、その集中力は他の魔法の使用は不可能レベルらしい。

 頑張れば何とかという類いではなくある種の制約なのか分からないが他の魔法使おうかなんて意思を持つだけでこのクオリティは消えてしまうそうなのだ。

 そしてこれは10前後のストックが効くらしいが無の状態からの速射はほぼ無意味らしく、その後一定時間はその状態で維持しないとストックされないらしい。

 線と表現していたが俺的には物凄く切れる魔法で出来た細く強い刃を飛ばしてるだけみたいな感じがするがいずれにせよヨウさん的にこれは剣技なのか?っていう葛藤があったらしい。

 でも剣士の戦いで足技や魔法も使って戦う実戦を考えるとむしろより剣士っぽいんじゃなかろうかという事で正式に愛用する技となったようだ。

 確かにゼストさんが飛ばして来た斬撃は過去に戦った魔物の斬撃と異なって放ったでは無く、飛ばして来たとか投げて来たみたいな感じだったもんな



「剣技では私向きでは無いのでやめときますが新たな技が出来そうです。ありがとうございました」



「いいって事よ、これ使うにゃ剣士じゃなきゃデメリットだらけになるからな」



 他の魔法が使えなくなるという制約的な部分が物になって来れば分かるらしいがその辺も含め殆ど理解してる感じのリリィさん、やはり凄腕だ。 

 

 かなり専門的な話なので聞いてて興味はあるのだろうが何処か手を余してるまゆもが俺のバッグで何か遊んでる…いつもの事ではあるか何されてるんだろうか?ってメロニィも混ざっとる。

 今までスルーしてたけど、今更なんだけど本当に何やってるのか気になるな



「それではそろそろ我等がリーダーのクリス様の必殺技を見てもらいましょうかね」



何にしても目的はクリスの技を見てもらう事だ



「えぇ……何か凄いのばっかり見せられて不安だよぉ。私の技じゃ場違いな気がする」



 そんな事はまったく無いがとりあえずやってもらった


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