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夏祭りはヤマト村で 17


 夜中、月明かりが射してふと目覚めるてしまった。

 時間は…まだ2時か、随分熟睡してしまったようだ。

 物凄く寝た感覚だ……って誰かいる?



「お、起きちゃったか……」



 せいらさんが忍び込んでた。まさかの夜這いか!?そんなに持て余してるのか?



「せいらさん何やってるんすか?」



とりあえず聞いてみる



「いや、その、なんだ…ちょっと話したい事があってな。もし起きてたらと思って部屋に入ってみただけだ」



「実家で夜這いはちょっとハードル高くないっすか?」



「な、何言ってやがる!このバカ、夜這なんてするわけないだろ」



これは日頃の恨みが晴らせるやも



「皆にはちゃんとありのまま伝えるみーくんなのです」



「ば、バカ!やめろ、本当にそんなんじゃないんだからな」



それはそれでちょっと残念です



「分かりましたよ、それで話ってなんすか?あまり聞かれたくない事だったりします?」



「その…なんだ……ちゃんと…………」



何やら歯切れが悪い。何かあったっけ?



「せいらさんらしくないっすね、何かあったんすか?」



「コホン、不意に入ったのがバレてちょっと慌てただけだ。大丈夫、えっと……その……謝ろうと思ってな」


何を?


 普段の弄りか?確かにここ最近の俺はどんどんセクハラ男なんて身に覚えの無い事を言われるようになってるがそんな改まって謝られる事でも無い気がするが……まさか知らぬ間にとんでもない事されてたとか無いよな?



「ええっと…全く身に覚えのない所で怖いのぶち込んでこないで下さいね?なんか怖いっすよ」



「ライブの事だよ」



ライブの事?むしろ感謝したい位なのだが



「それはむしろ感謝したい位なんですが」



 一言で済む話ではないのか、俺のベッドに座って話してきた



「ただの罰ゲームになる事は無いと思ってたんだ、お前なら何かしらやらかしてくれるってな。でも流石に無茶振りだっただろうからどっかでギブするか慌てふためくかななんて半分位はふざけてたんだよ」



 そりゃそうでしょ、真剣にやらされてたらそれはそれで困っちゃいます



「それは別に良いんじゃないすか?そのお陰で気楽にやれたってのもありますしね」



「蓋を開けてみたらどうだ、お前は自分で下手だ音痴だなんて言ってたが元を知らないから何とも言えないけどそんなふうには思わなかったし堂々とやってのけたじゃないか。こっちの悪ふざけなんか歯牙に止める事もなく圧倒した姿は爽快だった、胸のすく思いだったよ」



 何これ褒められてるの?なんか恥ずかしいからやめてくれないっすかね。

 新たな嫌がらせを身に着けたか



「ありがとうございます…なんか恥ずかしいからこの辺で良いっすか?」



そう言うと笑みを浮かべるせいらさん



「格好良かったぜ。圧巻なパフォーマンスしてくれてありがとな」



 照れるからやめて!それにしても見えて来ない、良い話って事でそれでおしまいではないのか?



「これは俺っていうよりそのバンドの曲が良いって事なんてすよ。なので俺なんて大した事はしてないですって。それと謝罪に何の関係があるんすか?悪ふざけしたからって所?」



「そうだ、お前の歌を聞いて多分皆も途中からそう感じたとは思うが歌がどうというより、お前のなんていうんだろうな……魂の叫びとでも言うのか、お前の生前の人生をぶつけられた感じがしたんだ。

 それに心打たれたっていうのがしっくり来る気がするんだよ。最後の方にやったバラードなんかにゃ私も泣いちゃったしな」



そうだ、この人も泣いてた



「それは演者冥利に尽きる話だから謝る事なんてないですって」



「みーはさ、相応な年数の人生を相応に苦しみながらも歩んで死んでるんだろ?たまにぽそっとしょうもない人生だったとかクソヤローだったとか言ってたじゃないか。

 みーの魂をぶつけられた感覚があった時感じたのは後悔とか懺悔とか、感謝とか慈愛だったりもあっただろうが……やはり悔いてはいるんだろ?ライオウも倒すような強さを持ってる程の猛者であるみーから感じたのはやれる事はこれしかないって感じの物だった」



 確かにそうだったと思うけど……そんな感受性が豊かだと俺の方が返答に困る



「概ねその通りかなとは思う。でもせいらさんが謝るような事は何も無いっすよ?」



「どんなのであれ人の人生の全てをぶつける様な事に対して悪ふざけを交えてしまったんだ。そんなつもりは全く無かったがそういう悪ふざけをするなんて自分が許せなくなるんだよ。だからごめん……ごめんなさい」



 ヤダちょっとやめて。そもそも寝起きでこの流れはキツいって



「頭上げて下さいよ、そんなの俺が勝手にガチったってだけでせいらさんに非はないですからね」



「私はみーにとって嫌なヤツにはなりたくないしそんな事はしたくない」



 ど、どうしよ……この雰囲気はアレじゃないすか?真夜中に二人きりだし、でもせいらさんとどうこうなっちゃうのは後々色々と気まずいよな



「俺は、むしろ感謝してるからこの件はトントンって事で良いんじゃないかと思いますよ。後はほぺ放題って事で」



俺も何言っちゃってるんだろう



「いいよ、好きにして」



 落ち着け俺、多分これこのまま最後まで行けちゃうヤツだが……駄目だ。

 何よりせいらさんが気に病んでる所を突くっていうのが俺のスタイルではないしそういう弱みを突くみたいなのは嫌だ。

 俺は自分から来てくれるような同意ある感じでは無いとそんな事はしないのだ。

 

なので


「んじゃ遠慮なくほぺ放題」



そう言ってちょっと多めに弄ってやめといた



「これでこの件はおしまいです。夜も遅いからもう寝ましょうね」



 まだ元気無さそうにするせいらさん、どうしたものか



「そうだな、そろそろ寝るか。夜中に悪かったな」



 後ろを向いたせいらさんにねばのーるくんを放って拘束してベッドに寝転がらせた



「きゃっ…」



さてと、どうしたものか



「いつもの元気で凛々しくてなんやかんやと優しいせいらさんに戻らないとぉ、お仕置きしちゃいますぅ」



「ふっ、それなら私は黙ってれば良いって訳だな」



「お仕置きとして皆に夜這いされたって言っちゃいますからねぇ〜」



「そ、それは卑怯だろ!お前というやつは…」



「自分から喜んでテーブルや椅子になったって言っちゃうでぇぇす」



「な、何言ってやがる……この鬼畜め!お前はそうだったな、変態で鬼畜なセクハラ男だった」



 変態度合いならいい勝負してるんじゃないすかね?



「ほらぁ〜、それが嫌ならいつもの調子のせいらさんに戻って下さいよぉ」



ここでくすぐりを実行



「くっ、や、やめろぉぉぉ〜」



 ヤバい、かなり体が密着しちゃってます……でも駄目だ。

 ここで変な事したら逆転満塁ホームランで俺が一生せいらさんに頭が上がらなくなる



「ちゃんといつものせいらさんになるのでぇぇす」



「くっ、上等だ!そんなに言うならいつも通りにしてやる、くらえ!」



「うぎゃっ、こ、こら噛みつくな」



 まさか噛み付いてくるとは、でもちょっと良い……イカン、これ以上はマズい



「とうだ、参ったか!私がやられっぱなしだなんて思わない事だ」



「くっ、やはりせいらさんにはテーブルにでもなってもらわないとだ」



俺は何を言ってるのだろう



「くっ……あくまで道具扱いとは……だが私は屈したりはしないぞ」



 とりあえずそろそろ一線超えが現実的になりそうなのでねばのーるくんを解いた。

 いやもう超えちゃって良いかな?



「元気になりましたね、いやぁ、まさか噛みついてくるなんて流石せいらさんっす」



 ねばのーるくんを解かれて少し体の距離を置いた事によって素になったせいらさんは何やら凄く顔が赤くなってる気がする、照れてるのか?



「か、噛み付いたのはご褒美だと思えよ!……夜中に悪かったな、後ごめんなさいっていうのと……」



「せいらさんは何やかんやと凄く優しい人なんだって事で、俺からも少し。

 せいらさんありがとうございます。こればっかりは俺個人的な感情というか生前の話にもなってくるんですけど、せいらさんが俺に絡んでくれて、色々話してくれたりする一言一句に俺は凄い救われてたりするんですよ。

 最早言い訳にしかならないけどせいらさんみたいな人に生前出会って今みたく付き合えてたらきっと色んな後悔も消し飛んでただろうなって。

 だからせいらさんが俺に構ってくれてるだけでも感謝しかないです。ありがとう、せいら」



 両肩に手を添えてせいらさんの目を見てキチンと伝えた。

 せいらさんもキチンと謝ってきたのだから俺もキチンと感謝を伝える事にしたのだ



「は、はい」



 あら素直な返事。たまに素でまともな返答するせいらさんはなんか可愛い



「んじゃ今度こそおやすみ、また今日だけど明日」



「うん……おやすみなさい」



そういうギャップ見せられるとドキッとしちゃいます


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