夏祭りはヤマト村で 14
「疲れた〜、とんでもないラッシュだったね。こんなにお客さん捌いたの初めてだよ……それにしてもみーくんがお店やりたいとか言ってた理由がなんか分かった気がしたよ。キミってばあんなに口が回る人だったの?」
そうです、全盛期はもっといけましたぜ
「久しぶりだったからキレはイマイチな気もしたけどね」
「他を圧倒したこの感じ…みー様流石ぞよ!アチキ達の店も、楽しみぼぅぅん」
まゆもが興奮して目を輝かせている。流石ヤマト村の民、違いが分かっておる
「あまりの喋りに最初は萎縮しちゃいましたよ、でも良い経験しました。私ももっと口が回るようにしましょうかね」
おっと、メロニィはそのタイプではないな
「自分の持ち味を活かす方が良いからね、俺の真似は合う人合わない人が居るからこんなやり方もあるってくらいに思ってればいいと思うぜ。という訳で…この後お神輿担ぐのかぁ〜、ちょっと疲れたけど仕方無いかぁ。では行って来るのでせっかくだから神輿も見てってね」
「みーくん忙しいねぇ、気を付けてね」
本当に忙しいっす、楽しいから良いけど。
行き際にメロニィが回復魔法をかけてくれたのは助かるぜ。
先程頼まれた20食ものみーそばを一人では持てないのでまゆもとまゆもの友達のくるみちゃんが一緒に神社まで付き合ってくれた
「みーさんライブ超良かったですよ!またやって下さいよぅ」
くるみちゃん…本当はくみちゃんらしいのだがまゆもがくるみちゃんと言い出してから定着してしまったという過去を聞いたことがある
「次やったらそうでも無かったなぁってなっちゃいそうで怖いんだけどね」
「大丈夫ですって!私の周りの子も皆良かったって言ってたんですから」
やはりあのライブは出来過ぎていたのではないだろうか、とんでもない幸運を手にした気分だ。なんて話てたら神社に着いた
「来た来た、そばありがとね。良かったら冷え冷えのヤマト餅あるよ」
餡のたっぷりついたヤマト村の名物的なお菓子だ。
これが餡はあまり好きではなかった俺でも美味しいと言える絶品だったりする
「もしやこれはかえでさん…いや、巫女さん達が作ったなのか?」
「みーはどんだけ巫女さん好きなのさ!そうだよ、私達が作ったんだよ」
巫女さんの手作りだ!!うっひょ~
「んじゃ3つ、まゆもにくるみちゃんも食べるだろ?」
「うにゅ!食べるのでぇぇす!」
「良いんですか?ごちそうさまです!」
ひんやりしてて美味しい
「はいおまけ」
流石かえでさん、気前がよろしいです
「みー、ジュースも飲みなよ〜」
「分かったよ、じゃあお好きなのどうぞ」
かりんさんはジュースを売ってるようだ、果物を絞った本格派なやつっぽい
「これから神輿でしょ?みーが入れば今年は大丈夫だろうけど頑張ってね」
ん?何かあるのか?
「よく分からないけど頑張ります。そーいえばゆっこさんは?」
「出た!やっぱみーはゆっこの事が気になるんだね?後で血眼になって探してたって言っておくよ」
この子は何故そんなゆっこさんネタになるとこうなるのか
「かえでお姉さん、この子何とかして下さいよぉ〜」
「はは、ゆっこは向こうで色々書いてるんじゃないかな。そろそろこっちに来ると思うけど、そうだなぁ〜、変な事言われたくなかったら…今度家遊び行く時何か作って貰おうかなぁ」
「かえで姉さんお家遊び来るにゃのか?まゆもも作るぼぅぅん」
まゆもには何を作って貰うか
「それはもう言われるまでもなく作る流れになってるから任せたまへ。んじゃ俺はそろそろ神輿の方に行ってくる」
「頑張ってね〜」
何か少し気になるがこの世界の神輿はちょっと違うのか?
神輿の方に行くと巫女さんのような華やかさは消え、上半身裸のムサ苦しい男集団が見えて来た
「悪いね、ギリギリになっちまった」
「いや、大丈夫だ。まだすぐって訳では無いからな。それより…今のうちに例の件の話をだなぁ」
そう言うと主だった男連中が…というか全員集まり例の件の話を聞きに来た。
因みによしまそさん程の御方は当然生粋の引きこもりとなってるのでこのような場所には現れてはくれない。
そこは明日挨拶しに行くとして、皆には改めて現段階よ事業の流れを説明した
「期待以上の成果だな。さすがみーだぜ!ライオウをぶっ倒した事だけはある」
「魔石を気にしなくて良くなったのがかなりデカいな」
「ウチらのじゃない魔符も高品質のなら使えるって話じゃないか」
この件は万事上手く行ってはいる。なので次の段階に駒を進めたいと思っている我々なのだ
「しかしアレか…やはり声に関してはまだ現状維持が限界か」
「俺もそれとなく探してるんすけどね。まだそういった魔法を得意としてる人の話は聞及ばないっすね」
そう、声に関してはまだ改良の余地が見出だせていないのだ。
それとなく探しては居るが声をどうこうする魔法の持ち主の話は聞かないんだよね。
なんて話してると一瞬真っ暗になるような感覚…絶望にも近い感覚とでも言おうか、そんなレベルの殺気が背後から感じられ皆で振り返えると
「よう、久しぶりだな。皆元気してたか?」
「ヨウさん、久しぶりです」
「衰えてはおらんようだな」
ヨウさんとは、過去に2度ほど会った事があるヤマト村1の剣士だ。侍と言ったほうがいいか?腕は言うまでもなく刀を手にしただけで皆が振り返るほどの殺気的な物を発する程の猛者だ
「聞いたぞみー、あのライオウを倒したんだってな!お前ならやると思ってたぜ。それにしても何だお前ら、何悪巧みしてるんだ?」
当然この人もこの件の事は知っているので一通り話しておいた
「なんと?そこまで進んでたのか?スゲーな」
そういえばクリスの技をこの人に見せてみたいな
「ヨウさん、良かったら俺のパーティーのリーダークリスって子の必殺技見てやって下さいよ。何でも大元はヤマト村の剣士の居合い切りから生まれたとか言ってたので」
「お?そうなのか、それなら是非見せてもらおうか。それよりアレだ、もう少し魔石を分けてくれないかなぁ〜」
知ってた事ではあるがこのおっさんもまあエロ丸出しだったりする。一応妻子持ちだったよな?
「ふふふ、何やら面白そうな話をしておりまするなぁ」
「その声は?」
誰だろう?振り返るとそこには俺も初めての人が居た
「いなさん。お久しぶりっす!帰って来たんすね」
どうやらこの人は写真家らしい、魔道具でカメラのようなものは存在するが高価で希少性も高いカメラに対してこの人は見たものを好きな範囲で何にでも写す事が出来るという猛者だそうだ。
その力を利用し、世界各地に悠々自適に回りながら過ごしてるとかなんとか
「キミがライオウを倒したみーさんかい?よろしくね。良かったら一枚撮らせてよ」
この人はまだ例の件が大きく発展した事までは知らなかったようで
「な~んでそんな大事な話を教えてくれなかったのさ!僕の力を使えば色んな美人の記録だって思いのままだというのにぃぃ!」
この人もまあアレですね
「今後手伝ってくれれば……いや、いっそ写真家として紹介してそこからも儲けを得つつ美人の情報も得つつという一石二鳥作戦が脳内に巡らされた、私だよ。いなさん的にはどうすか?」
「何それ?キミって天才なの?良いじゃないか!いいよ、僕は転身も使えるから何処だって行けるさ。この名刺を渡しておくよ、これで貴族なんかにその話をしてくれたらいくらでも写してご覧に入れよう!報酬は任せるよ」
「んじゃその辺もせいらさんに話しつつ…」
「え!?せ、せせ、せいら様にも……話すでごじゃるか?」
なんだ?せいらさんの名前を出したら一転して口調までおかしくなったぞ
「いなさんは昔せいらさんにこっ酷くやられて以来すっかり苦手になっちまってんのさ」
なるほど、この人は何やらかしたのだろうか
「でもこの事業と貴族の橋渡しはせいらさんありきだからせいらさんを通さないのはちょっと無理が……」
「くっ、しかし僕は本当にせいら様だけは……あ、ああ、やめて、やめてぇぇぇぇ」
「ヤバい、トラウマが発症した。落ち着くんだ、せいら嬢はここには居ない」
それ程までトラウマになってるのか
「分かりました、ではもしせいらさんに通すまでもなく渡りをつけられそうな人が居たらひっそりと繋ぐって感じでやってみます」
「う、うん。そうしてくれると助かるよ。僕は野蛮な事には向かないからね」
この重要会議を進めていたらあっという間にお神輿の時間になった。
17時じゃなくて良かったのではないかというのは置いておこう
「よぉーし!今年は勝つぜ」
「ここ2年負けてるからな、今年こそは勝つ!」
「今年はみーが入ったからまず勝てる筈だよ!」
「だが今回はドンが参加して無いようだ。それに鍛冶屋のスケさんも腰やっちまって不参加だ。油断はするなよ」
ええっと…神輿担いで回るだけっすよね?
「トウ君、俺の居た世界のお神輿とはだいぶ違うように感じるんだけどヤマト村の神輿ってどんなの?」
「ああ、そういや言ってなかったな。なあに、神輿担いで村回って最後にドーンだ」
ドーンってなんだよ
「もう少しちゃんと説明してやれよ、担いであそこに見える所でドーンだ」
このバカ二人に聞いちゃ駄目だった
「みー、迷いなく行けば良いだけの簡単な話だよ」
三バカって言われるだけある
「お前ら何の説明も無しにみーを誘ったのか?まあやりゃわかるから気合入れてくぞ」
一瞬説明してくれるかと思ったらこれだよ。もう好きにするがいい
こうしてヤマト村の名物の神輿が始まった。お神輿……かなりデカいな




