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夏祭りはヤマト村で 13


 クリスは飲食経験があるので話が早い。段取りを伝えつつ一つ作ってあげよう



「みーくんの所でなんか食べる流れを予想した私は昼はそこそこにしておいたのさ。スタミナの方がメインなんだね」



「うむ、ただにんにくが効いてるから売り文句に匂い注意をあえて入れようと思ってる、私だよ」



食欲は唆るから刺さる人には刺さるはず



「ターゲットが限られてくるね〜、そう聞くとなんか私もスタミナの方は食べ辛い気がして来た」



 そうだ、クリスもヤマト村で良い男と出会う事もあるかも知れん。

 それなら塩焼きそばか…良い男なんて見つけたら妨害してやる!なんて感情がチラホラ出てしまいそうなのは抑えなければ



「塩焼きそばという逃げ道もあるから安心したまへ、後はカップルとかなら一緒に食べれば気にならないって落とし文句もあるにはあるのだよ」



「そういう問題なのかな…みーくんはもう食べたのかい?」



「俺は味見でちょいちょいつまんでるからね〜、いかんせんついさっき出来た即席の新メニューだから味付けが不安なんだよ。んじゃ塩焼きそばの方で良いかい?」



それに残った時に嫌でも食べる事になるのだ。限度はあるが



「それじゃあ…メインのスタミナで良いよ。即席の新メニューとやらを見せてもらおうか」



流石クリス、メインを攻めてくれるとは分かってるねぇ



「うん、おいしい。これはやるね!即席だって考えたらバッチリだよ。食べ終わったら私も手伝うね」



「ありがとうございますクリス様!今度お礼にどっかで巫女服手に入れてプレゼントするです」


「それって私じゃなくてキミのご褒美になってないかい?」


「気のせいです。あ、いらっしゃいませ」



 皆にも巫女服着せてみたい。これは何とか入手経路を確保せねば



「やってるなぁ〜調子はどうよ?」



今度はトウ君達が来た



「スタミナ4つで良いかい?」


「うおーい!?まだ何も言ってねーよ!でも美味そうだな」


一応忠告しとくか


「今日女と過ごすとか回るとかの予定だったり願望があったりするヤツはにんにくが効いてるからあまりオススメは出来ないけど、どうしてもという手段でカップルなら2人一緒に食べればなんとかなるという手もあるのだよ。後は塩焼きそばだね」



「それだったらせっかくだから俺は一緒に食べる事にするからスタミナ2つ頼むよ」



まて、彼女さん今居ないのに勝手に決めて良いのか?



「知らねーぞ、勝手に持ってって…いつもそんな感じでキレられてるじゃねーかよ。俺はトウやドンみたいにゃいかないから塩焼きそばくれ」



 煽るな、店先で喧嘩始めんなよ……ってまさかドン君、キミは女ネタの事まだ秘密なのか?



「ちょっと女が居るからって調子にのるなよ、まあ俺も念の為塩焼きそばにしておこうかな」



「うむ、俺も今はスタミナの気分では無いから塩焼きそばにしとこうかな」



てかドン君以外神輿って考えたら別に気にしないで良くねーか?まあいいか



「んじゃちょっと待ってて」



一応肉多めサービス



「17時になったら神社来いよ〜」



 何だかんだともう10個以上売れてる。これはもしかしたら捌ききれるのでは?



「ごちそうさま、美味しかったよ。今度家でも作ってね!それじゃあ手伝っちゃうクリスちゃんだよ」



クリスには麺部門を任せる事にした



「ここで麺を茹で置きしてるんだけど上手い事等分に分けて頑張る作戦です。少な目よりは多めにしたいので10玉で9.5皿位のノリで大丈夫です」



「オッケーって…それにしても熱いね、鉄板なんて初めてだよ」



 分かります、俺もガチなのは初めてです。なんてクリスの慣らしをみてたらお隣さんが声をかけてきた



「そろそろ転身からの観光客が来るから準備しといたほうがいいよ」



結構来そうな雰囲気です、周りの店も何やら動き出した



「ありがとうございます。良かったら一皿要ります?」



「残るようなら貰うよ」



 ではちょっと多めに麺を茹でといてこちらもスタミナ仕込みを始めようか





 遠くから見えてきた人の塊、かなり来るんですね。

 これは予想外…だがこんだけ人が来るならチャンスだ。

 売り込むぞって事で火力を上げて匂いをまき散らしつつ、まずはあの団体を足止めして注目させる所からだ



「ようこそヤマト村の祭りへ!こちらは本日新たに生まれた新メニューをやってる焼きそば屋でぇぇす!!お腹が空いてる人はとりあえず1皿、気になる人も1皿、全く興味ない人は1皿、食べてみちゃってください!出来たてちゃ〜んす!」



よし、見てる見てる



「ただ〜し、一つ注意点があるのでお聞きください。コイツはスタミナ餡かけ焼きそば、略してみーそば!

 こやつはスタミナ重視ゆえ、にんにくが効いております!なので今日恋人とどーこーする予定ならこちらの塩焼きそば、または恋人と一緒に食べる事をおすすめします!

 それも微妙だって人は見なかったことにして下さい、でも見て下さい!そこのおねーさんなんかはもう既にお腹空いてるとお見受けしますがどうですか?」



 我が販売力をナメてはいけない。こういう声掛けに反応しそうな人を見つけるのくらい朝飯前よ



「お腹は…空いてますけどどうしよっかなぁ〜」



「早くしないと残り290食切ってしまってるのでぇす、今ならみーポイントが30ポイントつくかもしれないチャンスがあるよーなないよーな」



自分で言ってて意味わからん



「どーしよっかなぁ〜」



「わかりました!そこまで言うならお姉さんの一昨日のラッキーカラー当てましょう」


「それなんか良いことあるの?」


 30代後半位のお姉さんだ。にんにくをそこまで気にしない方に賭けるがここは話してくれてる事が重要、ここで


「あるかもしれないです。そこのお兄さん、あなたにはパワーが必要です!今こそみーそばを食べて、元気100倍みーそばマンだ!」



 他の見てる人も弄る。まずは足止めからです。人が止まって見てる所に人は興味を持つのです



「んじゃ元気100倍貰おうかな、みーそば一つ」



「あるるるるるりがとうございまぁぁぁぁす!本当は102倍なんだけど一応慎ましく行きたいと思って100倍です」



 巻き舌でアピールしつつここで技の一つ、後乗せを発動。勿論計算ずくです



「おお!こんな盛り盛りに?」



これを見たら買うやつは買う



「景気いいなぁあんちゃん、俺にもくれ」



「へいまいど!さぁ…この流れで最初のお姉さまは果たして、果たしてぇぇ」



スルーなんてしませんぞ



「しょうがないなぁ〜それじゃあみーそば1つ」




「あるるるるるりがとうございまぁぁぁぁす!!」



よしよし、並んで来たぞ



「クリス様、皿の用意を」


「は、はい!あ、そばが」


「まかせたまへ〜」


 麺の方も注目を集めるべく何かしたい所だが…意味は無いけどフランベ出来るかな…



「「おおー!」」



よし出来た。今回の場合ほぼ意味のないパフォーマンスだけど



「お皿持ってきたよ」 



あらかた麺をスープで絡めて炒める終えたのでまたフライパンへ


「みーそば4つ」


「まいどあるるるるりぃぃ」



ここで餡が尽きるがここからが本番



「しまったぁぁぁ!スタミナの餡が尽きてしまった…作るためには少し時間を待たせねば……こんな退屈させてしまっては皆行ってしまう…だがしかし!私はこんな事では退屈させませんぜ!これからコイツの作り方を説明する2分54秒クッキングのお時間になりますがよろしいですか?」



反応が弱い

だが新たな人の塊が、あれが狙いだ



「くっ、では始めます!まず油をしいてこのにんにくさんを焼きます」



良い香りを漂わせる



「ここでひき肉とネギを入れて炒めます。この時食材が茶色くなる状態が一番美味しいタイミングなのでここ要チェックやでぇ」



 返事こそ無かったがそれなりに見てくれてる。匂いも良い感じで団体さんがまた注目してくれてる

 


「ここにスープをぶちこみアレとアレを入れて混ぜます」


「アレとアレってなんだ?」


「そこ大事じゃない?」



 勿論わざとです。興味を持たせるには時として分からないを与えるのが肝



「これが豆板醤で後は塩と隠し味の砂糖を少々、それから醤油を適量、略してアレとアレです」



仄かな笑いが取れたので良し



「煮立ってきたらアクを取りとき片栗でトロ味をつけて最後に何とか作った旨味成分を混ぜて完成だい!さあこれが今日生まれたみーそばだい!みなさんどうかな?今なら元気102倍」 


「それじゃあ2つ」


「私は3つ」


「にんにく無きゃなぁ〜」


今回はにんにくを入れてるのを見せてるのでカップル云々は省略


「塩、焼きそばが、待ってますぜ」


「わかったよ、んじゃそれで」


 よそろうとしたら、麺が上がりそうだ。あの量はちょっと熱いので俺がやろう



「クリス様、麺はオイラに任せてよそっておいて下さい。後乗せ忘れずに」



「うん、分かったよ。お買い上げありがとうございます、少々お待ち下さい」



よーし、それじゃあバンバン行くという事でさらに投入だ



「クリス様ありがとう。後は変わるから麺頼むやでぇ。それと味見ね、ほい」



「おおぅ!?うん、美味しいね。了解、まかせて!」



このお客さんの数を相手に2人でよくやってる気がする



「あんらぁ〜仲良いわねぇ、おたくら夫婦かい?若いのによくやるねぇ〜」 



夫婦に見えたのか?様付けしてるんですが



「夫婦では無いんですなぁ〜、このお方が僕のリーダーなんですよ」



「あらそうなの?じゃあこれからね」



 クリスが奥さんねぇ〜、いや、同じパーティーだからそういうのはあまり考えない方がいいな



「わわ、私達はそういうんじゃ無いから〜!本業は冒険者なんですよぉ」



 ここでまたスタミナ餡かけが切れそうだ。早めにスタンバっとくか



「くっそぉ〜鍋が、鍋が足りぬ!だがまた先程やった2:54秒クッキングを再開するのだ。皆さんご覧いただけたらきっと家でもこれを作れるようになるで、アロー」



「皆さん、このみーそばを生んだ店主、みーくんがこれの作り方を見せるから気になる事があったらドンドン質問するといいですよ!」


 今回は結構見てくれてるぜ、ってクリスがなんか無茶ぶりをしてる気がするがそれは悪くない。

 店主はクリスが良い気がするがなんかやる気満々になってるクリス様の邪魔はしない方がいいな



「順番って大事なの?」


「麺はどんなのが良いんだ?」


 質問が来てしまったが華麗に返して作り続ける俺。

 良き、最初に行列を作ったのがデカかった。この流れを潰さぬように続けよう。

 と、思ったらメロニィがやって来た



「酷いですよクリス!私を置いて行ってしまうなんてって…今お忙しいのですか?」



「ごめんよ、前に私も捕まって色々聞かれたりしたから今回はメロニィかなって思ってね。それより今忙しいからまた後で」



 多分シン君の彼女さんグループだな。前にクリスが捕まってたのを見掛けたし



「何言ってるんですか?私も手伝いますよ。みーさんどうすれば良いですか?」



これは助かる



「んじゃお客さんに渡す役目とお会計を任せたぞよ。後オーダーも取れたら頼みます」



「承知しました、流れでやっちゃいますので」



 メロニィは中ではなく外で動く形にした。服装が変わってるのでせっかくだから汚れたりニオイがつかないように



「さあ、これよりもう一人仲間が加わったのでより早く提供出来る事を……目指したい!

 もう作りっぱなしだから見てわかっちゃうかも知れないけどにんにくが効いてるから匂いには注意だ。

 これから恋人となんて人は塩焼きそばにするか恋人と一緒に食べるかが推奨されるけど……この中で今日好きな人に告白するって人は居ますか!?」



流石に居ないようだ



「売ってる身でなんだけどそんな奴が居たら俺は必死で止めるね。塩焼きそばなら良いけど」



程々の笑いが取れたので良しとして



「こ、こちらを渡せば」



 メロニィが手にした時に後乗せをする事により大盛りアピールする形にしよう。

 この無駄に見える一手間がお得感をより生むようになる



「こうしてから渡すんやでぇ」



 念の為ねばのーるくんで作ったお盆を渡してあげた。

 皿はちゃんと受け止められる形状だが万が一溢れても手にかからないようにの配慮、

 そんなこんなで何とか回してたら今度はまゆも達がやって来た


「美味しそー!まゆもまゆも、食べちゃおうよ」


「うにゅ、みーくん助けいるかえ?」


「まゆもが居なきゃ、はじまらんよ」


「ぴにゃ!」



 まゆもにはクリスがスープを絡めて炒めた麺を等分に分けて皿によそる担当に。

パーティー全員集合したという事で先程よりもより多く喋りまくる俺。

 商人よろしくオーダーも値段も全て暗記で攻めます



「決まってたら並んでる順に出すから遠慮無く言って良いですぜぇぇ」


「みーそば2つ」


「みーそば」


「塩焼きそば、みーそば」


「みーそば大盛りできる?」


「俺餡かけ大盛り出来たら」



 おうおう、値段決めて無かったぜ。てかこれ屋台じゃなくて定食屋になってね?



「まかせるのだ!我々は、屋台でも対応してしまうぜ、大盛りは100円プラスで半玉、餡かけ大盛りは200円ね、はい、みーそば3つ塩焼きそば、みーそば1、みーそば2、塩焼きそば2お待ち!1900円、500円、1000円、800円…あるるるるるりがとうございまぁぁぁぁす!!」



ここの暗記と計算は地味にお客さんの評価を上げるのだ



「み、みーくん次のオーダー覚えてる?」



 こればかりは慣れだから無理があるのでちゃんと指示するのも腕の見せ所



「クリス様、まゆも、次はみーそば4の塩焼きそばよろしく」



「了解ぼぅん」



ここが攻め時なのでこんな時も道行くお客さんをスルーしたりはしませんぜ



「ヤマト村へようこそ!この後他の店の物を食べる為に今のうちにみーそばを食べる事をオススメしますぜ〜、今なら並んでるとコイツの作り方が分かるサービスがついてたりついてなかったり、後、一昨日のラッキーカラーを当てるというサービスも一応ありまぁす」



 よしよし、こっち見て笑ってる。一回りして来るかも知れない人も見逃しませんぞ



「みーくん、麺上げお願い!茹でるのはやっておくよ」


「ほいきた、ちょっと後ろに下がる、私だよ」


「みーさん、会計はええっと……」


「順にみーそば2が1000円、みーそば1、500円、みーそばと塩が900円、大盛り600円、餡かけ大盛り700円あるるるりがとぅございまぁぁす!」


 

 マックス忙しいけど皆来てくれたおかげで助かるぜ。こんなの一人じゃ無理あったわ



「みー随分はしゃいでるね〜、そう言えば元は商人だとか言ってたっけ」


「本領発揮してやがるな」

 

なんとまた巫女組さんが来た、せいらさんも


「巫女服だぁぁぁ!!うわぁぁい!!っと、イカン。仕事中だから自重せねば」



「みー、落ち着いたらでいいから20食程お願いね、みーそばの方で。神社来る時に持って来て。ここに入れ物と蓋置いとくから」



「あるるるるるりがとうございまぁぁぁぁす!!大口入りました!気付くと残り100食位な気がします。クリス様…後どれくらいかな?」



もしや神社行く前に完売するか?時間は15:30……行けるか



「今の20を抜くとちょうど100玉だよ」



よぉーし、上々!どーせなら終わらせたい



「みーさん、残りの量とか何か言ったほうが良いですかね?」



「残り100食でぇぇすって言ってしまえば良いと思います」




 塩焼きそばの方が少し食材を余す事になりそうだが……そう都合良くは行かぬか。もやしは後でナムルでも作るかな



「んじゃ私は他んとこ行ってるからまた後でな」




 せいらさんは何処かへ行ってしまった。せいらさんの調理姿も見たかった…というかせいらさんの巫女服見たい








ヤマト村へようこそ


 この単語を要所要所でちゃんと言っていたのが肝だ。

 ヤマト村の定番とでもイメージさせられてたらデカい。人は異世界だろうと日本だろうとやはり公式的な物に行く傾向にあるからだ。

 実際には俺の屋台なんて色物な訳だがそれを堂々とヤマト村の定番の屋台と思わせられれば選択肢に入るようになり後はそこを突くトークでこちらに寄せる。

 そうなればこれだけの人入りで他の屋台が売り込みをして無ければここで売り切ると言うのも決して不可能では無いという事だ。

 普段のヤマト村に買い物に来る人は明確に買い物する意思がある人しか来ないので0から売り込むという手法が必要無かったのも大きい、そうでなくては周りにも持ってかれてしまっていただろう。

 何にせよ16:40、無事売り切ったのだった



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