罰ゲームはハードル高くて 9
今日は久し振りのクエストに出ている。
まゆもとせいらさんが帰宅してヤマト村の祭りがちょうど1ヶ月後に決まったと聞き、祭りまでこれといった予定は無いので旅行でも行こうなんて話もしたのだが今はこの世界も所謂梅雨時という事でオススメではないとか。
確かに雨率が多くなり次第に籠もる事が増えてきたが俺達パーティーは家の中でも各々修行を勝手にしてるので籠もっても問題ないように思えたが段々とダラけて行くのも目に見えて来たのでそれなりなクエストをやろうと奮起し今に至る。
ハッキリ言ってお金はもうある。なので冒険者のくせにクエストに行こうという概念すら消えてた訳だけどたまたま俺がクエストなんて台詞を言ったらメロニィが思い出したようにクエストでも受けようと言い出したのだ。
意外なのかそうでもないのか、この中で1番ダラけてたのはメロニィだったりする。
メロニィの部屋はモフモフクッションが多く、それに埋もれる様にメロニィが座ってよく本を読んでいるので何か勉強とか仕事でもしてると思い何の気無しに聞いて見てみると…ファッション雑誌的な物から漫画、小説等趣味満載のものを読んでいたのだ。
家事なんかは面倒臭がったりしないので多分オン・オフの切り替えがキッチリしてる子なのだろう、その堂々たるダラけ姿はある意味最年長者の風格を出していた
で、今回のクエストはアンデッドの討伐だ。そこそこ良い報酬にそれなりな高難易度で良い運動になるかなといったところ
「アンデッドって、実は殆ど戦った経験ないんだよね。大丈夫かなぁ?ちょっと怖いんだけど」
アンデッドという事で今は夜です。アンデッド以前にちょっと怖いです。
だって場所は大昔墓地だったとされる廃校になったいかにもな場所なんだもん。
何故そんな所に学校を建てたんだって思うがそれはもう今更か。
ここはリムール村といってコネクトの街から歩いて1日はかからないくらいの場所にある小さな村だ。
実はここの存在自体は俺は知ってたりする、この村はリリィさんの故郷らしいので話に出た事があるのだ。
特に何かある訳ではないので話はそんな広がる事は無かったが数少ない友達の幼馴染が喫茶店的な物をやってるなんて言っていた。
寄ってみたい気もしたけどこの距離なので俺達は馬車で来ていたが到着時点で夕方だったので今回はやめといた。
リリィさんの転身で行こうとも思ったがこれは一応俺達の仕事なので下手に頼るのは良くないという事で自力で来ました。
転身以外でのここまでの長距離移動、馬車が俺には初めてだったのでこれはこれで意外と楽しめた
「ところで簡単に受けちゃったけど、アンデッドってどうやって退治するの?俺の居た世界のゲームとかだと聖水とか聖なる光とかで退治出来るって感じだったからそういうイメージがあるんだけど」
「そうなのですか?それはまあそういう手はありますけど…聖なる光というのは魔法に該当するのであればその通りとも言えますね。
聖水と言うのは…可能ではありますけどアンデッドを浄化する程の聖水ともなりますと多分ちょっとした家なら建つレベルの高貴な聖水になりますね。コスパを考えるとそんな選択肢を選ぶ事は無いと思います。聖水はどちらかと言うと避けられるようにする為の物かと思います」
そういうもんなのか
「アンデッドに効く魔法を考えるなのでぇぇす」
まゆもは今からその魔法を作るようだ
「大丈夫です、私は分類的には聖職者に当たりますしそういう魔法は一通り使えますので問題無く対処致しましょう」
それは頼もしい。一方リーダーのクリスは俺の服の端を掴んで離さない。
クリス様はこういう怖いのは苦手なようです
「みーサーチに反応が…何かいきなり出た感じがするんだがまさか転身とか使ってくるのか?」
「も、もしくはぽるもん的な……それだと嫌だなぁ」
「もしかするとネクロマンサー的なのが居るかも知れませんね、気を付けましょう。高ランクの冒険者が難易度的に問題なさそうなのにクエストでやられてしまうパターンで一番多いのがアンデッド絡みだったりしますので」
何それ?つまりアレか、高ランクの冒険者はアンデッドにやられてる率が高いってことか?これは油断禁物だな
「あれ、アイツじゃない?何アレ、鬼みたいな姿してない?」
「初めて見ますね、知る限りの記録にもあのような魔物は無いですよ。鬼っぽいですが鬼のアンデッドなのでしょうか?」
「あ!あれは多分仮面なのじゃぞよ。仮面が、本体なのでぇす」
仮面の魔物ってわけか、仮面なら壊せば勝ちか
「みーくん逃げるなのでぇす」
え?なんて?
「に、逃げるんですか?そんなに強い魔物なのですか?」
「うんにゃ、単純に倒せぬのです。それでじわじわと近付かれて仮面が取り憑かれたら最後、乗っ取られるのでぇぇす」
「何それ超怖い!逃げよ、早く逃げよう!」
クリスはまゆもにしがみつき逃げる気満々です。まゆもはたまにとんでもなく頼りになる時がある
「まゆもが言うならその通りなのでしょうね。ただ何も対策しないと言うのも……何か魔法を放ってから即逃げると言うのはアリでしょうか?」
「うにゅ、それくらいなら大丈夫なのでぇす。ただ…目をつけられたらじわじわと追って、来るんじゃぁあぁぁ」
「ひぃぃ〜、嫌だよぉ〜!夜寝れなくなっちゃうぅ」
それ超怖いヤツじゃん、察するに物理的破壊は無理そうって事だから…もしかして無敵じゃないのかそれ?
「それは恐ろしいですね、ではアレが呼び出したアンデッド達は浄化したいので強力なやつを放ちます。なのでみーさん、足止め的な技をぶっ放して貰ってもよろしいで」
と言い終わる前にまゆもが魔法を放った
「ぐらびとぅーん」
物凄い勢いで地面に押し潰されてくアンデッド達、ぐらびとぅーんの威力がかなり上がってますねぇ
「今のうちにゃ」
「は、はい!では……極浄化、円!」
おお!これはすごい魔法だというのがよく分かるぜ。これで全部消し去れてそうじゃねぇかな?
「メロニィ魔法すごーぼん!これならしばらく大丈夫だと思われるのでぇす」
「ふ、私の浄化魔法は……それなりには……」
フラついてるので支えてあげた。結構な魔力を使うようだ
「メロニィ大丈夫?とりあえず一旦引こうか。でもこう暗いと道が分からなくなっちゃうよ、みーくん何とか出来る?」
明かりが一切無い田舎の夜道、それだけで怖いものがあるがなんとか俺のなんちゃって火魔法で灯りを作って村のひらけた場所に戻ってきたので作戦会議を始めた
「あの仮面は専用の魔符を貼ってちょちょいと魔法を放てば良いなのじゃ」
その魔符とはヤマト村で作られてるらしい
「んじゃ今度祭りに行く時にでも貰うか…ってそれまでは大丈夫かな?」
「何とも言えぬぽん……10日位なら何も出来ぬ気がするなり」
こういうのをサラッと見抜いてるまゆもさん凄いっす
「それでしたらまた10日後に来て浄化すれば良いですね」
俺におんぶされながらメロニィがそう言った
「うにゅ、今度からは昼間に行く事をオススメするーぼん。多分あそこから動けなくなってるからあの辺に放てば昼間でも良いの」
「それは助かるね、夜のあんな場所は怖いもん」
「何より、目をつけられたらイカンなのでぇぇす。昼間はアチキ等からも見えぬ分向こうも見えぬのでぇす」
それにしてもやけに詳しいな
「まゆもっこさんかなり詳しいけど、ヤマト村にも出たりするのかい?」
「うにゅ、ヤマト村の夏にはちょくちょく見かけるなのでぇす」
「どちらかというとヤマト村特有の魔物といった側面が強いのかも知れませんね。
私は仕事柄魔物、特にアンデッド系なんかには詳しいと言いますか資料がありますので大体記憶してるつもりでは居ましたがそのような魔物は聞いたことが無いです。
物なんかに憑依したり擬態する魔物自体は居ますがみーさんという火力持ちが居た上で倒せないなんて魔物は有名になりそうなものですからね」
ヤマト村特有か、そう聞くと一気に厄介な魔物な気がして来た
「魔符って事は…そうだな、ゆっこさんにでも頼もうか」
「うにゅ、それが良いなのじゃ。アチキ等はあの仮面に対してはどちらかと言うと魔物というより呪いの類として見てるなのでぇぇぇす」
何それ超怖い……このクエストやめない?
「の、呪いねぇ……みーくん、私はこのクエスト失敗って事でもう関わらない方が良いなんて思えて来てるんだけどどう思う?」
「奇遇だねぇクリス、俺もちょうどそんな事を思っていた所だよ」
相変わらずこういう所ではよく気が合うクリス様。
クリス様はリーダーなんだから皆も指示に従って
「それはあまりオススメ出来ないですね、私達はA級なので私達が失敗となると事は大きくなって来ちゃいます。対処法はおそらく知られてないのでそれ相応な数のA級パーティーが犠牲になるかと予想されます」
今なんて?
「ちょっと待った!落ち着こう、ちょっと落ち着こうか…はい、まゆもちゃん挙手早かった!」
「アチキ等は、いつA級になったのか?」
「はいよく出来ました。そうです、それです!め、メロニィさん私達っていつA級になったんですか?」
「勲章貰った時です。確かにあれは分かりにくいですよね。王の言葉の中にA級とサラッと入ってただけですからね」
なんだよそれ。でもA級…確か俺が知る限りでは別にどうという事も無かったと記憶してるが…何が飛び出してくるか分からないから後でメロニィに確認しておこう
「随分と軽くA級にするもんだねぇ、困ったもんだよ。まあ悪い気はしない事も無いけど…も、もしかして私達って王都の貴族とかに取り立てられちゃったりするのかなぁ?」
「そう言えばそうでした、説明不足でしたね。王から直接勲章を貰う時点でA級は約束されたようなものですよ。
外聞もありますからね、それとこれも改めて説明しておきますが勲章授与前日の大臣との話で私達は逆に王都の貴族や王宮から取り立てられるような事は無くなったと見て良いと思いますよ。
我々が国に深く関わると魔王軍からすると戦争の意思表明となってしまいかねないですからね」
すっかり気にしなくなってたがそういう話だった
「なるほど、そういう事なんだね。でも良かった、貴族とか王宮に取り立てられてってなるのはちょっと色々…ねぇ?」
「うにゅ、自由が無くなりそうなのはぴにゃぁぁなのでぇす」
「でもよく考えたらアレじゃない?もしかしてそれって私達はある意味国から見捨てられてるっぽいんじゃない?」
あら、気付いちゃいましたか
「にゃんと?でもアチキはヤマト村の者だからあまり関係にゃいか」
ヤマト村は半分くらい、いやもっとか?独立してるレベルなので確かに関係無いか。
少なくともヤマト村の人に無礼にあたる事はしないだろうし
「そうか、まゆもちゃんはヤマト村の人だから良いとして、メロニィは根本的に王宮の組織の人だとして……あれ?私とみーくんは何ていうか魔王軍に対しての国からの安全保障的なのが無い感じだったりする?」
深読みするとそうなるよね
「大丈夫ですよ、冒険者としてですとそもそも守る側になるので置いとくとしまして、そうでないとなった場合でもちゃんとクリスは国民としての安全の保証はされるようみーさんが大臣に掛け合ってましたので」
出来れば言って欲しくなかったなぁ、こういうのはしれっとがカッコ良かったりするのにぃ
「そうなのかい、みーくん?」
「そうなんだよ、あの後大臣と話してる時にそれに気付いたのさ。
まゆもはヤマト村の人だからぞんざいに扱うなんてありえないし、メロニィは国の組織の人間じゃん。んで俺とクリスはそんな風に使い捨て扱いされたらもしもの時困っちゃうって事でその辺はちゃんと国民として守ってねって話をしといたのさ」
テキトーに誤魔化そう。この時の話ぶり返されると恥ずかしいので
「うんうん、さすが抜け目ないね。みーくんやるなぁ」
「そういう事にしておきますかね」
やめろよメロニィ、ぶり返すなよ?と、思ってたらメロニィが耳元で囁いて来た
「ふふふ、みーさんはあの時のやり取りを余程秘密にしておきたいようですね、良いでしょう。但し条件があります」
うわっ……嫌な予感
「な、なんだよぉ」
「結婚して下さい!」
「断わる!!」
「何でですかぁ!!せめてもう少し考えて下さいよ!」
「黙れ!人の弱味に漬け込んでそんな事言う奴はこうだ」
おんぶしてるので秘技、背面ほペのばしを敢行。どんな姿をしてるか見えないのが難点な大技だ
「や、やめて下さい。そんなに引っ張らないで下さい〜」
「君達、何をいきなりイチャイチャしてるんだい?それは何のプレイだい?」
「みーくんとメロニィがイチャイチャぼぅん」
ふと正気に戻る俺、普段のほぺみにょーんなら今となってはイチャイチャなんて言われたりはしないが…おんぶしてる相手にほぺみにょーんをして、されてる側のメロニィは落ちない様にしがみつく…あ、これイチャついてるようにしか見えませんね
「わ、私は将来の旦那にちゃんと結婚の約束をしようとしただけです。そこにこの人はほっぺを引っ張って来たので抵抗してただけですよ」
言い訳になってるのか分からない言い分だ
「このメロニィが人の弱味というか断り辛い所で結婚を要求してきたからお仕置きしてるんですぅ。みーくんは悪くないんですぅ」
「この男開き直ったよ、あんまりやってるとセクハラ男の汚名がいつまでも取れなくなるよ?」
「みーくんセクハラぼぅぅん」
まゆものストレートな言い方にはちょっとくるものはあるが
「どうしよう、姿は見えないんだけど…それはそれでなんというか想像が膨らんで……メロニィも良いほぺをお持ちなせいでやめるにやめれないのだが」
「何言ってるのさ、キミってやつは本当にどうしょうもないなぁ」
「エロみーなのでぇぇす」
2人が俺を引き剥がそうとして来るが微動だにしない俺。
静かにアエテックスパワーを発動してます
「み、みーさん。そろそろ大丈夫ですのでほぺもそうですが降ろして貰って大丈夫ですよ」
「いや、まだまだ休んでないとだよ。魔力切れは体に応えるからね。それに俺も筋トレになるほぺ」
「みーくんの語尾がほぺに!?これは早い事何とかしないと今後気軽にほぺをみにょーんされかねなくなるよ」
そんな事は無い…無いが、それも悪くない
「うにゅ……こうなったら」
うわっ、やめろ!!俺の弱点なんだよ、くすぐりは
「みーさん、くすぐりが苦手だったのですね?」
「前の反応を見た時からそうじゃないかとは思ってたんだよ」
「ぴきゃっきゃっ!みーくぅぅぅん」
うわぁ……まゆもが一番怖い。この子多分属性ドSだな
この後一斉に攻められ、俺もほぺ応戦を繰り広げるも健闘虚しく白旗を上げる事になり、一通り遊んだ後残り少ない転身の魔石で家に帰った。




