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罰ゲームはハードル高くて 7


なんやかんやと夜更かししてしまった俺達はいつもより遅い朝になった



「楽しみにしてるぜ。無制限耐久弾き語りライブ…じゃなかった、前夜祭ライブだったな」



 今無制限耐久とか言いましたよね?酔った勢いでは無く本当にやらせる気だな。

 俺を玩具にしてやがる…きっとシラケてお手上げになる様を見て笑いものにする気だ。なんとかせねば



「それ本気でやらせる気っすか?」



「私達一同は楽しみにしてるぜ!なあ?」


「「はい!」」



 何その良い返事…そう言えば今日は俺が朝一番早かった。

 まさかコイツらまたパジャマパーティーでもしてたんじゃなかろうか



「耐久って言ったって普通に喉が持たないっすからね?それにギター一本の弾き語りで知らない曲を延々と流されたって聞く方も辛いから誰も居なくなるのが目に見えてますよ。この企画はやめましょうよ」



「いやいや、そこをお前がどうするか……じゃなくてライオウも討伐するような猛者のみー様ならきっと大成功させるに違いないだろ?そうだ、その辺りも込みでヤマト村に帰っとくか。まゆももそろそろ帰るだろ?」



「うにゅ、一緒帰るぼぅん」



 本気なのかな…確かにほんの少し挑戦してみたい気持ちも無いと言えば嘘になるけど俺は経験してるんだよ、なんの興味もないバンド達の音楽を1日フルで見せられのを。

 そう、付き合いで行ったフェスでだ。結構辛いものがあるんだよ。

 楽器をやるからまだ見れる所もあったがそうでもない人なんてすぐに飽きるし去って行くのは目に見えてる。

 仮に俺が相応に腕があったってそうだ、神がかった歌唱力とかで魅了出来るなら或いはって所だがそれでも全く知らない歌を聞き続けるというのは厳しいと思う。

 それに謙遜とかで無く本当に俺は歌唱力は高くないのだ。

 ずっと聞いてた曲を弾き語ってなんとかそれなりにってレベルがやっとなんですよ。

 考え改まってくれまいか…



「確かに喉のことがあるからな、いいだろう。上限30曲耐久にしといてやるよ」



「もう耐久の所隠さなくなりやがった!ただの罰ゲームじゃねーか」



「ははは、期待してるぜ!んじゃまゆも、明日でいいか?」



「うにゅ」



「じゃあまた明日な」




くっそー……と、とりあえず練習しとくか




 翌日、まゆもとせいらさんはヤマト村に帰り、メロニィも定期的報告とついでに実家にも泊まってくと言って帰って行った。

 そしてクリスは今日ちょうど友達と飲み会なのだそうな、偉業達成のお祝いをあの友人達がしてくれるとかで。

 各々結界の魔石と転身は渡してあるから何かあったとしても大丈夫だろう。

 そうなると今夜は俺一人か、ちょっと例の店にも顔出そうかな…でもゴロゴロしてるのも悪く無いかなんて思っていたら誰か来た、多分クリスのお友達だろう



「アンタ、こんな良さ気な家買ったの?」



「アレだよ、みーくんと同棲だよ、これは秒読みだね」



「流石魔王軍の将軍討伐するようなパーティーは羽振りが良いですね」



いつものメンバーってヤツだね



「な、何言ってるのさ!ここは皆で買った家だからね、皆で住んでるんだよぅ」



そんな慌てて否定すると余計に怪しく見えますぜ、リーダー



「みーくん以外は……居ないのかな?もしかして私達お邪魔だった?」



「だ、だからそんなんじゃないって!!ついさっき皆出掛けたんだよぉ」



そろそろ助け舟出さないととばっちり喰らいそうだな


「ほらほらクリス様、そんな慌てると余計に怪しく見えちゃいますよ」



「みーさん…いえ、みー様お久しぶりです。メイレンです、良かったら今度王都にお出掛けでも」



この人は確か金に目がないお姉さんだったな



「ほら、メイレンが唾付けようとしているよ……ってそうだ!魔王軍の将軍を倒して金持ちの優良物件だった!私の事ちゃんと覚えてますか?私こう見えて尽くすタイプだと思うんです」



思うなんだ、現実はどうなのだろうか?



「ちょ、ちょっと!皆して何してるのさ?」



「そうよ、みーさん困ってるじゃない。あ、私で良かったら色々悩みとか聞きますので遠慮無く言ってね」



 うーん、若い子にチヤホヤされてるのは嬉しいのだが……あからさまに金の匂いを嗅ぎ付けた系だから手放しで喜べないです。

 家の中が気になる様子なので少しご案内する事にした



「結構広いね〜、良いところじゃんかよ。クリスいいなぁ、~ここで毎夜みーくんと愛を育んでるんだね」 



「何凄いこと言っちゃってるのさ!みーくんも何とか言ってよ」



 余計な事言いたい気持ちでいっぱいだが…色々面倒になりそうなので自重しておこう



「僕が変な事言うとクリスはパーティーメンバーとかその関係者にあること無い事言ってすぐセクハラ男に仕立て上げるので、だからクリス様は皆が言うような事はしていませんでぇす」



「クリス……あんたって子はもうここまでみーくんを仕込んでたのか」



「せーの、クリス様はとっても良いリーダーです!」



「ああ、可哀想なみーくん。きっとそう言わないと理不尽にいじめられちゃうからクリスに絶対服従するようになっちゃったんだね」



「せーの、クリス様は偉大!」



「ちょっとみーくん。やめてよね!なんか私が凄い悪い奴みたいじゃないかよ」



 背中をバンバン叩いて来るクリス。すぐにセクハラ男に仕立て上げる所とか考えるとそんなに間違っても無いような気がします






家を一通り回った所で飲みに行く皆を見送った



「そうだ、23時になっても帰らなかったら迎えに来てあげてね。この子酔い潰れてる可能性があるから」



 よく分かってらっしゃる。クリスは酒強いのだが結構ムラがあって酔い潰れる時がある



「何言ってるのさ、子供じゃないんだから大丈夫だよ」



「お店の場所は……」



 前にクリスと行った事ある場所だ。流石にわざわざ迎えに行くことは…無いよな?文字通り子供じゃないんだし








 結局この日はちょっと店に寄って、夜は外食で済ませ、散歩しつつ家に戻った。

 てか暇だ、万が一酔い潰れてる所を魔物に襲われたらヤバいかも…なんて心配になって来たので23時になって戻って来ないようならクリスを迎えに行くか




23時



 戻って来ない、行くか。でももしやこれは過保護ってやつかな?……大丈夫だよね?逆にウザがられたりしないよね?

 暇だからってのもあるから暇だから行くってテイで行こう。






店に着くとクリスは案の定酔い潰れていた



「あらみーさん、来てくれたんですね」



「ほら、みーくん来たよ」



 良かった、普通に受け入れられた。ここで引かれようものならトラウマになりかねないです



「みーくん遅いじゃないかよぉ〜」



 酔っぱらいめ……確かに少しまごまごして遅れたが23時丁度に着くのは変な話なので誤差の範囲のはず




「お迎えありがとうございます、本当に来てくれるなんてクリスは幸せ者ですね。なんかクリスはクリスで悩んでる事もあるみたいだから気が向いたらみーさん聞いてやって下さいね」



 なんか悩みでもあるのか?一瞬 ちょっと何か考え込んでるのかな?なんて感じる時はあったけど一瞬だったから気のせい判定してしまってたな。

 何か悩みがあるのかもしれん、今度聞いてみるか



「どんな悩みかは分かりませんが皆さんに色々聞いてもらったみたいで助かったと思いますよ、ありがとうございます」



「アレだね、もうアレだよ」



 アレってなんだ?そういうのは言わなくても分かりきる事で言ってくれないか



「ほら、王子様が来たんだからそろそろお開きですよ~」



 王子様ってまさか俺か?どちらかと言うと召使いみたいな扱いされる気がするが



「みーくんが王子様……ぷぷ、はぁ〜い。みーくん帰るよぉ〜、肩貸して〜」



失礼な、この飲んだくれめ



「クリスが男に肩借りてるよ〜、普段は近付かれるだけで引くようなクリスが……成長したなぁ」



 そうなのか?…まあ俺とクリスは最初に無駄に濃くつるんでたからなぁ、抵抗が無くなってるんだろ



「ルシアぁ〜、なに余計な事言ってるのさ〜変なころ言ったら許さんのろよぉ」



ろれつが回ってないレベルだ



「んじゃ皆さんありがとうございました。皆さんも気を付けて帰って下さい。家にも遠慮無く遊び来て下さいね」





 店を出て皆と挨拶を済ませ連れて帰るが結構なフラフラ具合だな。よし、クリスおんぶだ!



「クリスおんぶだ!搭乗してくれ」



「えぇ〜、大丈夫だよぉ〜歩けるよぉ〜」



「過去に2回俺の背中にゲロってるのは誰だ?今更遠慮する事も無いだろ」




 という事でクリスおんぶを敢行……静かになったが眠っちゃったか。

 ちょうど良いか、それならゲロの心配は無い筈だし。


 暫く歩くとクリスが話し掛けてきた



「迎え来てくれてありがと」



「起きちゃった?気にすることないさ、暇だったしね。遠慮無く眠ってるが良い」



 首がちょっとくすぐったいのが心地良いというか…駄目だ、変な感情はイカンぞ俺。なんてったって今日は俺とクリスしか居ないから…なんて考えるのもやめた方がいいな



「キミの事だから実は可愛いクリスちゃんが心配で、でも本当に迎えに行くと引かれちゃうか心配で葛藤してたんじゃないかと思ってね」



 何この子、怖い。何でこの子は俺の考えてる事をそこそこな割合で当ててくるんだよ



「はは、そんな訳無いだろ〜、それよりアレだ、何か悩みでもあるんならいつでも言ってよ。リーダーの悩みを聞くのも手下の醍醐味なのさ」



「さてはマリの奴だなぁ〜、余計な事言ってぇ〜別に悩みってほどの事じゃないから大丈夫さ」



 メイレンさんなんすけどね。だがそうだ、彼女等程クリスと付き合いが長い訳では無いがこれだけは分かる。

 クリスは人に心配かける事を良しとしない性格だからきっとまた明るく振る舞うんだろうな、その応対の時点で結構悩んでると言うのがわかる。

 ここはクリス様の悩みを聞いて…って素直に話すタマじゃないからなろよし!あの手で行くか



「それじゃ明日、デート行こうぜ」



 ヤバっ!言葉間違えちゃった、略し過ぎて言葉の選択誤った



「はぁ!?え!?い、いきなり、何さ?」



ヤバい、取り乱してる。俺も焦ってきた……落ち着け



「ごめん、言葉間違えた。軽くお出掛けしよって意味ね。あの社の所に散歩にでも行こうぜって言おうとしたのを脳内変換して略し過ぎたら…言葉間違えました」



「キミってやつは……でも前に私も変な言い間違いしたから人の事言えないね。良いよ、そう言えば最近行ってなかったからね、ピクニックにでもするかい?」



「弁当作って行くってなると相応に早起きと準備が必要だからなぁ、軽食だけ持って気軽に行こうぜ。夕陽とか見れたらあそこは最高そうだし」




「分かってるじゃないか〜、やるねぇ。じゃあおやつ時位に行くようにしようか」



「そうだな、多分遅くとも夜には皆帰って来るだろうから夕食の仕込みだけはしておこうかね」



クリスはすっかり酔いが冷めたようだ。良かった、ゲロは吐かれずに済んだ

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