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大金は歴史的偉業で 20


 向こうのアパートでまた何日間か暮らすという事で食材もそれなりに買いつつ最低限の荷物を持って移動する俺達、気を利かせて荷物を持ってあげたら思った以上に多く、傍から見ると荷物持ちにしか見えないボクです。

 職人さん達の仕事が早く一週間もしたら戻れるそうだ。ついでにおかしな作りになっていた所も直してくれると言う事で至れり尽くせりだ。

 見積もりの方はそれなりに高くあったが大金が入って若干麻痺してた俺達は二つ返事でOKを出した。

 作業期間中に差し入れの一つでも持って行こうかな





 前のアパートへ行き部屋割の話をするとクリスが私は実家に帰ろうかなんて言い出したが、まだ魔物が奇襲を仕掛けてくるかも知れないという事で部屋割する事になった。1部屋足りないのだ



「じゃあ私とまゆもが同じ部屋で良いかな」


「うにゅ、クリス一緒なのでぇす」



「んじゃ俺も!」



ふざけて言ってみたら……


「どうぞどうぞ」



 クリスがいつものように罵倒して来ると思いきや……なんのコントだ。コイツ等レベルが上がってやがる



「じょ、冗談でぇぇす」



話は綺麗にまとまった



「随分仲良しだね。私みたいな異世界からの転生者って聞く限りとイメージじゃ少なくとも冒険者として上手くやってる人って居ないと思ったけど」



 そうなのか?という事で同郷のサキさんの話を聞いてみた。

 元の年齢は26で事故死だったと思うとの事。突然の事なので詳しくはわからないって話だが最後に受けた衝撃は何かにぶつかったと言うのが1番しっくり来るらしい。

 思い出させるのも悪いからその辺は聞くのを止め自分の話もそこそこに色々聞いてみたがどうやらもうこの世界に来て半年以上にはなるらしく俺よりも少し先輩だった。

 女性の転生者は珍しいらしく生き抜くのが困難と判断されたので即保護されたという経緯があるらしい。

 サキさんは戦いなんて無理という事でこの世界で何か仕事を探しつつどう立ち回るか悩んでた所、担当だったメロニィさんの付き人という感じで今の所は収まってるとの事。

 事務職とかいくつか候補はあったものの貴族達のいやらしい視線とか色々嫌だったらしくそこから逃れるべく色々模索してるという話だ。

 その一環として魔法を覚えようとしたら適正があったらしく過去類を見ない魔法を会得してる事からメロニィとしては冒険者的なのも考えて欲しいと思ってるそうだ、剣道を習ってたらしく剣が使えそうなのも大きい。

 それにしても貴族のいやらしい目って…確かアイドルをやろうとしてた的な話だったと記憶してるが見た目は上玉だ



「せっかくだしちょっと魔法見せてよ」




「それだったらまず…あなたの魔法見せて」



という事で定番のねばのーるくんを出してみた



「これ、ガムとゴムには出来なかったけどガムにっぽくは出来るんだぜ!硬質化から液体化まで出来るから最早別物だけど」




「ガムとゴムって…あなた漫画好きだったの?」




「定番のは大体読んでるよ。ただこういう異世界転生物とか夜中にやってそうなアニメはほぼ見てないからそっちの話はされても困るかも。DB世代って言えば分かる?」



26歳ってことは16個下、それなりに年齢差があるので話は合わないかも



「おっけー、何となく分かったわ!それじゃあ私の魔法見せるね。コピー」




そう言うとサキさんはねばのーるくんを出した



「おお!?誰も再現出来なかったねばのーるくんが再現されてるよ」



「これは凄い魔法にゃのでは?」



「そうなのですよ、サキさんは凄い魔法使いの素質があるんです。なので良いパーティーに巡り会えたら冒険者というのもアリかと思いましてね」



 確かに凄い素質はありそうだが…今話してる時点で分かるけどかなりサバサバしてるというか、そういうタイプでは無いのがよくわかる



「メロニィ、多分多少は聞いてると思うけど俺からも改めて話すわ。俺達がいた世界、特に日本って国は俺達の居た世界全体で見てもかなり平和な国で、それはもう平和ボケしてるって自他共に認めるレベルの国だったんだよ。だからサキさんを冒険者にってのは無い話と見るべきかな」



「そう…なのですね、分かりました。サキさん、何度も冒険者にって誘って申し訳無かったです」



「いえ、私の方こそ保護してもらってる身で希望に添えず申し訳無いです」



ちゃんとそういう謝罪が出来るならなんとかやってける気はするな



「みーくんってそんな平和な所から来たんだ?それであの強さはどういう理屈なのさ?」



「元々それくらいの素質があったのだとあちきは思うぼぅん」



 実際は最初に生死の境を彷徨ったりとヤバかったんだけどね。

 今にして思うと多分あれの成功率はかなり低いって分かるもの。

 後は生前アホな俺は割と本気で何か魔法的パワーが無いのか、体全体に力がどうとか、出来もしない観測をしようとしてたとかそんなのがここへ来て活きてるんだよね。

 でもこの世界に転生してなきゃただのアホでしたよ、そんなのを30代でもたまにやってたんだから



「上手い事やれちゃったってだけだよ。それよりせっかくだからなんか作るか?そうだ、同郷者が居るからそれっぽいの作っちゃおう」



ということで、肉じゃがと天ぷらを作った



「まさかこっちに来て天ぷらと肉じゃがが食べれるなんて…みーさんやるわね」



「美味いだろ?サキさんは料理とか出来るの?」



「無理よ、私料理全然わからないもの」



 キッパリ言い切った。多分まだ知り合って間もないので相応に取り繕ってるのだろうが何となくこの人の性格が垣間見えた気がする。結構性格キツめな気がするわ





「私天ぷら大好物さ、いつもみーくんが作ってるから今度私が作ってみよ」



クリスの作った天ぷら、食べてみたい



「あちきは肉じゃがつくるぼぅぅん」




「みーさん、私にも造り方教えて下さい」



メロニィも料理に興味を示したぞ、今度作ってもらおう



「よーし、改築出来たらお料理教室だ。そういえばサキさんでピンと来たことがあるんだが」



「なに?」



「俺達、いつかタイミング見てお店をやりつつなんて思ってるんだけどさ、俺達が冒険稼業やってる時に店番とかやるって立ち位置はどうかな?」



「それは悪くないですね、店の内容にもよると思いますが」



内容はまだ決まってない



「そうね、やれそうな事だったら手伝わない事も無いけど…お店とかやった事ないから多分無理だと思うわ」



まあ無理強いする事でも無いし人それぞれ色々あるから仕方ないか



「気が向いたら考えといてよ」



「そうね、私もやれそうな事で何かあれば良いけど……みーさん、ちょっと転生者同士2人で話したいんだけど良いかしら?」



なんだろう……何か悩みでもあるのか?



「良いよ、んじゃ外行くか。ちょっと外すね」



「了解、色々あるかもだろうからゆっくり話して来ると良いさ」



クリスのこういう時の気前の良さが素敵










「んで話って」




「アンタってさ、かなり馴染んでるというか仲良くしてるけど…なんかコツとかあるの?」




 アンタと来ましたか、別に悪い事では無いけど…多分この子なりに普段は気を使ってはいるんだろうな。

 感じ悪いとは捉えられないギリギリを行ってる感じが見受けられる。素だとこんな感じなのだろう



「コツって言われても分からんよ、それに良い仲間とか村の人には恵まれたのは確かだけどギルドとかバイトしてた頃とかでいうと結構酷い扱い受けてたりもするんだよ」



ギルドや他の冒険者、シオーニなんて酷いもんだったと思う



「そうなの、相応に苦労はしてんだ。はぁ〜〜、私ってさ、ガッツリ都会っ子だったのよ。

 正直携帯もネットも無いこの世界はつまらな過ぎて耐えらんないのよね。こんな世界に連れて来られても困るし戦いなんてありえないし、でも何もしないで居るのもそれはそれで耐えらんないのよね。

 かと言ってそんな話この世界の人に言ったって無駄でしょ?どうすれば良いと思う?」



 なるほど。最早転生した俺が言うのもおかしな話になるがこの子はガッツリ現代っ子な訳だ、確かに現代っ子にこの環境は厳しいと思う



「自分でなんか面白い事やってみるとか?」



「そういうの無しで」



 うわぁ~、そうだよねぇ〜現代っ子丸出しだ。なんちゃら世代って言うんだったよね確か。

 でもそれが悪いとかそういう話でも無い気がするから、ここは一回り以上上の俺が何とかしてやりたい所



「正直気持ちはわかるって反面、何かしら行動をしないと何もならんという当然の事しか浮かばないのも事実な訳だが……その辺を問答して行くと転生させた何かに対してどうこうって話になっちゃうんだよね。そしてそれは多分どうしようもない事だと」



「そうね、その位分かってるわよ」



「だからさ、何を言えるって訳でもないんだけど俺が歩んだ経緯だけ説明しとくよ。

 まずはまゆもやヤマト村の人達に助けてもらったりしたんだけどその中でバイトしたり自給自足したりしました。

 その後こっちに来てこの世界で生きてく為にバイトしました、って流れで今に至ります。

 何ていうか分からないけどとりあえず俺が上手くやってけてると思うなら俺のこの流れを真似して見ても良いんじゃないかな?

 俺が若かった頃は携帯やネットが普及してない時もあったから然程問題無く馴染めてるけど、生まれた時から携帯やネットが普及してる時代に生きた人からしたら多分辛いってのはなんか分かるし」




「そうね、参考にはして見ようかな。ありがと、ちょっと楽になったわ」



「良いですよ、同郷のよしみですからそういう悩みが出たらいつでも相談してください」



少しでも気が晴れてくれたなら良かったとしておこう



「それじゃあ、まだ分かんないけどもし店がどうとかやりだしたら一応私も協力出来るよう善処するわ。それにしてもアンタって…結構な歳なんじゃないの?」




「それは絶対タブーだからな!今は紛れもない17歳で通ってるつもりなんだから。第二の人生満喫するんだからね」



「ぷっ……分かったわよ、黙っといたあげるわ。そうね、それくらいで考えてた方が良いわよね。私なんか元の世界に戻る事とか生き返る方法とかそんな事ばっか考えてたけど、第二の人生って見方もするべきね」



 俺もそれは考えなかった訳じゃないし戻れるならやり残した事が…なんて思う事もある。

 人それぞれ、なのだろう。こういうのは人それぞれ



「いつか魔王を倒して元の世界に戻る方法とかそういうネタがありそうなら真っ先に報告するよ」



「そうして貰えると助かるわ。それなら私もアンタ達の応援しなきゃね。冒険者稼業頑張んなさいね」



 同郷者からの相談は多少なりとも力になれたと思う半面、考え方から視点は人それぞれなんだということが分かった。

 ここでそれを目の当たりに出来て良かったと思う。

 なんというか同郷者だから問答無用で仲間だと思ってしまいそうになったけど現実はそう単純でも無いのだろう。

 コレ知っておかないと後で思わぬ精神的ダメージを負いかねない系のネタだから本当良かったよ

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