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始まりはヤマト村で 6

飲み会の日以降、俺はまず魔法もとい魔力の解析したり試したりしつつ、仕事をさせてもらったりして小銭を得て過ごしていた。

この村を一通り回って仕事等で知り合いを増やしつつ色んな人の修行なんかを見ている訳だが、この村の人達は基本的に結構リッチなのか生き方なのかは分からないが各々が仕事はそこそこに修行ばっかりしている。それは庭だったり広場だったりと色んな所で多種多様な修行をしているのだ。どれも初見ながらに凄いと分からせられるものばかりでそれはもう達人なんだなと納得のいくものだが、この世界ではこれが普通…という事はないよね?

そんなこんなで小屋に戻り俺も修行してる、といった流れだ





まず魔法をどう使うか…何か出せるもんなのか?雷系が良いなとか思いつつ、手取り早く強くなれるものは無いかと考える。まずは解析および観測が必要だと思った俺は目を凝らして魔力も目に集中させてみる。より鮮明に色々見えてくるからこれも技として使えそうだな、みーサーチとでも名付けよう。こういうのを瞬時に出来てかつこのクオリティにするのも大事だ。規模を広げれば見えない所の動きも察知できるなんてことも…いいね、夢が膨らんできた。ほうほう、この魔力とは違うモヤ…これは生命エネルギー的なものか。コイツを上手く扱えたら凄い力が発揮できそうだしちょっとやってみるか



数時間後



出来る、これ纏えるわ。そんで魔力のように出力……いや待て。これって生命エネルギーだと仮定すると使い切ったら死ぬ系ではなかろうか?常に生成されてるのかな?いずれにせよ安易に使ってはイケナイ感じがする。疲れるってだけなら良いけど……試しに少しだけ使ってみるか。そうだな、ここはベタにこの力を込めてパンチを打ってみよう、てい!




何も無い所にジャブ程度にパンチを放った訳だがその威力は凄まじく離れた壁から大きな音がするほどの衝撃を与えていた。決して飛び道具的に使ったつもりではないので拳圧だけでこの衝撃を生んでた事になる。これは凄いが……ヤバいな。人間の本能とでも言うのかこの力、このエネルギーは多分寿命に直結してる気がする。生成されてるかとかは分からないけど都合良く寝て回復とかするような代物では無いのが何となく解った。だって体に一気に疲れが来たというか削られた感覚がするもの。とりあえずこれは危険だしかなり疲れたから寝るとしよう



次の日



やはり回復してる気はしない、体はいつも通りに戻ったが何か削られたものが戻ったって気はしない。かなり微量だったからこれで済んでるというのが何となく分かるがこの力を上手く利用できたらと思ったけどあれ程の力はそう都合良くはいかないものなのだろう。と思った矢先、これを魔力で生成して補填できるなら寿命を削ることなく使えるのではなかろうか?と閃いた。ものは試しだ、今日は特に予定もないし思い切ってやってみるか



半日後



難しい……が、出来ないこともない。今日はまゆもが遊びに来ないので集中して修行が出来る。まゆもはその自身の特徴から修行がやり辛く時間を持て余すので小さい頃から一人で居ることが多くなっていたらしい。今もそんな感じなので暇となれば結構な頻度でここに来ていたのだ。まゆもなりに気を遣ってたのかお友達が居ないわけではないが修行の邪魔にならないようにという事で友達のところに行く頻度は少かったと思われる。そんな訳なのでこういう修行は一人でのほうが集中出来るから今がやり時だ



夕方



やりすぎて頭が痛い……が見えてきた。ここは攻めどころだ。まずこの生命エネルギー的なものをそれとなく手に集中させ、その分減ったようなところに魔力で作ったこの生命エネルギー的なものを補填させる。これだと補填された気もするがこの手に集中させたものをどの道戻すのでわかりにくい。なので手に集中したらそこに魔力を更に集め魔力でこの生命エネルギー的なものを作り合体させてひとつにしてみる……よし、出来た!後はそれを戻す。よし、問題なさそうだ。そしたら今度は魔力で作った生命エネルギーを常時纏った上で生命エネルギーを手に集中させ、あのパンチを打つ!その時に魔力で作った生命エネルギーでその分を補填する、これは意外と簡単に出来る。最初から魔力だけで生命エネルギーを作りつつ練って拳に集中しても良い筈なのだが何故かそれだと大してパワーは帯びないのでこの方法にしている。慣れたらこの一手間を無くしてやれそうな気もするけどまずは形にしよう。では早速ジャブを打ってみよう



同じような威力が出た、これは凄い。今度は削られた感覚もなく体力も問題ない、これは使えるぞ!単純な火力だけなら相当なものになりうるはずだ






ヤバい……何この感じ、熱……もあるかも知れないし頭痛いしダルいし目が回るし……やっぱりヤバい事やっちまってたのか、でもこれを乗り越えれば…



夜中



無理無理無理無理何これ、魔力に当った時と似てるけどどうすれば……魔力とか極限まで抑えてみるか、そうすれば何か変わるはず……



10分後



駄目だ、余計酷くなった。これは逆に魔力で生命エネルギーを生成し全体的に練りまくるか…



10分後



何も変わらん……魔法の質は何か変わった気がするけど俺の症状はなんら良くならん。もう駄目だ、とりあえず寝まくろう












翌日昼間



水……水…か?



「みーくん目覚めた大丈夫?」



まゆもが水を飲ませてくれてたらしい、心配そうに見ている。ここは……小屋のままだ



「…………」



うまく声が出せない、肌の感覚で分かったがとんでもない汗を流してる。体は渇ききってるのか、げっそりしている感じがする



「水、もっと飲むのでぇす」



ああ……水って偉大、どんどん潤う感じがする。まだダルさや頭の重さはあるが峠は超えた気がするよ



「ありがとね、まゆもちゃん」



「お母さん、呼んでくるのです」



「待って、今回のはちょっと違うというか…俺なりに修行した結果でまだそれに達してない状態だからここで中断するとこの苦行が台無しになるかも知れぬのだ」



驚き気味のまゆもが心配そうにしつつ



「そういう事なのですね。でも心配ぽん……しかしヤマト村のアチキはそういう事なら黙ってるなのじゃ」



「ありがとね、これ上手く行ったら凄いことになる気がするぜ。その暁にはお礼に美味しい物ご馳走するのだよ」



「うわーい、早く良くなーれ」



こうしてこの日も寝て過ごし二日目、まだあまり体調は変わらず寝ているとまゆもが食べ物も持って来てくれた。この子超良い子じゃね?と思ったら何枚か紙を持って来ていた。どうやら食べたい物のある店のリストだ



「これらの店に、ご馳走様なのでぇぇす」



「ふふ、金貯まったら連れてくよ」



その紙はどうやらその店の宣伝のようなものらしく値段がチラッと見えた。アレ?目が霞んでるのかな…いや、ちょっと待て!待て待て待て!それ二桁万円行ってないかい?


「あの、まゆもさん?これってその……」



「このオススメのディナーコースというのがにゃんと半額なのでぇぇす!!これはチャスンなのでぇぇす」



やっぱりその二桁万円のやつかーーー!13歳にしてそんな物を、末恐ろしい子だ



「お、落ち着こうか。これはちょっと……そう、まゆもさんはまだお酒を飲めないからもう少しその」



「お酒はみーくんが飲むのでぇす。アチキはオレンジジュースで良いのでぇぇす」



アカン、目がキラキラしとる。これは何とかしなくては。だって俺今働いてる所の日当は奮発して7000円ですよ?まあ半日くらいだから奮発してもらってるのも分かりますけど、それが何日分よ?やべぇ、いずれ旅立ちする時下手すりゃ文無しに



「よ、よーし!みーくん頑張って回復するぞぉ〜だからまゆもさんは気にせず自分の修行とかをするのだ」



「まゆも、看病もがんばるぞよ」



駄目だ、もう目が肉になってる気がする。なまじ本当に助けられてる分無理とは言い辛いし……本当の年齢的に見ると相手は子供だから何と言うか無理って断りづらいんです。とりあえずいち早く治して仕事せねば、ええぃまどろっこしいからこうなったら魔力全開で生命エネルギーを満たしきってくれる



「みーさんパワー全開!!とぅ」



アレ?



「おお!?なんじゃそら?みーくん凄いぼぅぅん!」



治った?スッキリした、こんな事で良かったのか。これは……イケる!かなり強くなれたのではないか?とりあえず小出しで様子見



「なるほど、これはアレだ。魔力というより気、だね。という事は……いや、まずは落ち着こう。まゆもちゃん、ありがとね。あの時の水に助けられたよ、アレがなきゃ正直起きないままだったかも知れん。2度も助けられちまったな」


「みーくん覚醒した!凄いぽん。これは本当に魔王討伐出来てしまうぞよ」


よく考えたらまだ具体的な物は何も見せてないのにこれが覚醒したと分かるまゆもはやはり異端なレベルなのか



「その、お礼のご飯は……少し待ってね。言うまでも無いかもだけどお金がその、単純に無いので……出来ればちゃんと稼げたらで」


「うんにゅ、その代わり魔王退治に一緒行くなのじゃ」



え?



「い、いや嬉しいけどそれは……流石にまだ13歳だし両親も許さないだろうしねぇ?何年かして大人的な年頃になったらその時はよろしく頼むってことで」



「大人的な年頃になったら行くなのじゃ」



この時まだ深くは考えず安心していた

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