大金は歴史的偉業で 12
真夜中、戦闘後に帰って来て熟睡してしまった事や先程フラついた事で念の為多めに回復魔法を掛けられたり回復ポーションを飲まされた事で微妙に元気になってる俺は寝付けずに居た。
ボーッとしながら結構な偉業を達成した事に改めて一人で浸っていると何やら屋根から物音がした。
それ自体は特別な事では無いがこういう時みーサーチを使い原因は何なのか探るのが癖になっている俺は何の気無しにみーサーチを掛けると…違和感が。
初めての感覚だが多分これは……そう思うと一気に血の気が引いた。
これは不審者だ。こういうのはいざ発覚すると相手の強弱に関わらず怖い。
今回のコレは一筋縄ではいかなそうなのは明白でこの違和感は…何も無いのではなく何も探知出来ないでいるのだ。
つまり探知されないように何かしてるのだろう、みーサーチは決して万能ではなくむしろサーチとしては精度は低い……そうなのだ。
個人的には高性能と思ってはいたがどうやらサーチ系の魔法は本来もっと高性能らしい。ただそのお陰で違和感がダイレクトに伝わるのは助かる。
違和感の理由が分からないのは精度の低さって事だがこの場合は関係無い。
さて、何者がこの家に来てるのか?ついでにもっと範囲を広めようと思った時動き出した。
よーく観察しておこう、それにしても誰が……魔王軍か?……あり得る。かなりの重鎮をやっちまったんだ、それが冒険者の仕業とわかってれば戦闘後に満身創痍の可能性は高く、そこを狙うのは当然っちゃ当然の話だし。あくまで可能性だがここは確実に捕まえる必要があるな。
普通に侵入して来やがったか、音を鳴らさぬよう静かに窓を開け…そしてこちらに向かって来ている。
狙いは……どうやら俺の部屋のようだ。という事は狙いは俺か?尚更魔王軍の可能性が高まって来たな。
布団に膨らみをつけておいて俺はドア横の死角に隠れつつねばのーるくんの準備を。
普通に入って来た、心臓バクバク物だよこれは。
姿形からして人間でないのは分かるがかなり不気味な雰囲気を醸し出しておる。死神か何かか?暗いのもあるがそれを抜きにしても何やら悍ましい奴だな。
俺の布団の前で止まるとなんの躊躇もなく剣で刺してきた。しかし感触で人が居ない事に気付いたようでその瞬間にねばのーるくんを掛け問答してみた
「お前何者だ?」
流石に驚いたのか一瞬体をこわばらせた所でねばのーるくん拘束を敢行したが何か魔法を唱えたと思ったらねばのーるくんの効力が消えてしまった
「殺す」
襲い掛かって来たので即座にアエテックスパワーで反撃する。
どうやらライオウ程の手練れではないようだ、なんて思ったら後ろからロープの様な物が首に掛かったのでかつて無いくらいの反応を全力で行い後ろから来たやつを殴り飛ばした。
ヤバい、家ちょっと壊しちゃった。気を付けないと
「気をつけろ、真っ向からは分が悪い」
「分かってるよ、本気出される前に殺そう」
どうするか、とりあえず退治はするとして念の為皆を起こさねば
「て、敵襲ぅぅぅ!!ぷおぉ〜ん」
割と大声で言ったつもりだが……
「無駄だ、このあたりは消音魔法をかけてある。狙いは貴様一人だ。大人しくくたばれ」
クソッ!先言ってくれよ、苦戦を醸し出しつつほら貝の音まで模してみたのが恥ずかしくなってきたではないか。
しかし俺一人なら良かった。ふと過ったけどもしかしたらリリィさんの所にも行ってるとなったら心配だし。
まあリリィさんを心配するなんておこがましい気もするけど
「音消してるなら丁度良い、ある程度力入れても大丈夫かな」
とはいえ家は壊したくないから何とかここから出したいな。なんて思っているとデカいハンマーで襲い掛かって来やがった
「隙を見て首を刈り取れ、それでおしまいだ」
「分かってるわ!俺に命令するな」
勘弁してくれないか?俺の部屋ボロボロじゃないっすか、コイツ等許せん
「六切円」
何やらヤバ気な斬撃が放たれた。とりあえず躱して……って思ったら床が抜けて下の部屋に落ちてしまった。
マジふざけんなよっ!この家買ったばっかなのに
「テメェら……もう許さねぇ」
とは言えまだ本調子ではない、多分全力を出したらをすぐガス欠になるだろう。
だが時間掛けると同じ事なので一瞬ガチって瞬殺する事にした
「氷乱舞」
死神じゃない方はどうやら魔法も力技も得意なようだ。
それにしてもどんどん家が壊れてく…一階だから皆には被害がまだ無いと思うけどもしかしたら何か当たっちゃうかも知れないので、瞬殺だ!!っと飛びかかろうとした時、せいらさんが現れた
音が消されてるせいか何言ってるかは分からないけどジェスチャーで理解した。
コイツは任せろって事だね、それなら俺は上を攻めよう。
という事で上に行くと音が聞こえるようになった…あれ?まさかもうやったの?
「オーソドックスなタイプで助かったよ。魔物は確実にやるならコアを潰せばいい訳だがたまに2つ持ってるクソが居るからな〜」
「か、か、返せぇぇぇ」
「ほらよ、還すぜ」
せいらさんがコアを適当に投げ返したが時すでに遅し。あの魔物は力なく崩れ去った
「抜いて戻すなんて安直な代物じゃねーからな、取られた時点で終わりだよ」
そう言ってコアを踏み潰した。せいらさんマジおっかねぇ…お、俺も瞬殺するか
「な、なんて奴だ!?マルゴが瞬殺だと!?な、何者なんだ?」
「次はお前だ」
俺はこの死神っぽいのを空に弾いてアエテックスパワー全開で猛攻撃を仕掛けてやった
「ば、化け物共めぇ〜〜」
瀕死になったであろう死神モドキが何か技を放とうとしてるが、これ以上空を飛ぶのはしんどいのできゃめはめはでトドメを刺すことにした
「おーいみーよ、何かやって来そうだぞ」
「まとめて消し飛ばしますよ!きゃめはめはーーー」
「切り裂け、一死」
かなりの斬撃が来たと見受けて焦ったが何とか出力を上げて押し切って死神モドキを倒した。
何やら仮面が落ちて来たがとことん死神気取りだったのだろうよ
「お前既に人間辞めてるなぁ〜あんな技まであったか」
この人は自分の恐ろしさをわかっていらっしゃらないようだ
「いやぁ~魔物のコアだけを抜き取り瞬殺するような恐ろしい人に言われたくないっすわ〜、今まで無礼な態度とってすんませんです」
冗談でもあるが少し本気で言ってます。臓器抜かれたく無いです
「や、やめろ!変によそよそしくするんじゃねーよ!それより体は大丈夫か?」
「大丈夫っす……いや、姐御様から心配の言葉なんて滅相もないのでぇす」
「さてはおちょくってやがるな!あんまりおちょくると……って大丈夫か?本当、無理すんなよ。ほら、肩貸すから…それともおぶった方が良いか?」
なんの事はない、まだ血の足りない俺はまたしてもフラついてしまった。
それにしてもおんぶ……されたいけどいざされたら恥ずかしいから肩で
「すいませんね、んじゃ肩を」
と言うと有無を言わせずおんぶして来た。俺よりは低いとはいえ似たような身長のせいらさんは俺をおぶるのに無理がない位の体型なのだ。
でも真夜中だからまだ良いけどやっぱ恥ずかしいです
「全く、世話が焼けるなぁ〜、よりによっておんぶしろなんてなぁ〜?私は優しいからしてやるけどよ、おとなちく良い子にするんでちゅよ〜」
このアマ…ここぞとばかりに馬鹿にしてきやがる。こうなったら
「ひゃっ!?な、何しやがるんだ」
耳に息吹き掛けてやった
「何もしてないよ?何かあったのかな?」
「コイツ……知ら切りやがって!いいおっさんがこんな美人におんぶをぉぉぉぅ、や、やめろぉ〜、そんな息吹き掛けるな!このセクハラ大魔王が」
ここらで懲らしめないといいように言われてしまうのでちょっとお仕置き
「僕は何もしてないのにせいらお姉さん酷いや!こうなったら……」
耳からうなじに息を吹き掛けて攻め倒した
「ひゃぁぁ!?ほ、本当にやめろよ、これ以上やったら流石の私も」
「もし僕を落としたら次は目隠ししておぶってもらうことになるよ」
「め、目隠しだとぉ!?な、なんて鬼畜な…それでは方向がわからず従うしかなくなるではないか」
心なしか手の力を緩めてる気がする…コイツ落とす気か?
「ちゃんと落とさず行けばご褒美に耳かじーるをするのです」
我ながら訳の分からないご褒美の提案。ご褒美って意味なんだっけ?
「み、耳をかじるだと!?そ、そんな事…だ、だめだろ!?」
なんだろう、今度は落としそうになる素振りは無くなったが…歩きが物凄く遅くなってます。どうしたいのたろうか?せいらさんも俺も
「こんな両手塞がれてる状態のお姉さんにぃ、別方向から引っ張ってぇどっち行けば良いかわからなくして遊んでみたいでぇす」
そろそろやめとかないとアカン気がする
「くっ……私はその程度では屈しない!屈しないが……貴様は本当に鬼畜だなぁ!だが私は絶対に負けない、引っ張られたって通じないぞ!」
「でもそもそも目隠しされてたら分からないからねぇ?」
「くぅぅぅ、それではどれに従えばいいのか……どれも正解とは、限らないのに……」
物凄く楽しんでますね〜、もうほぼ歩いてないですもん。そろそろヤバいので降りて戻ろうかと思います
「はい降りた〜、今度罰ゲームですね!ってのは冗談でありがとうございます。色々助かりましたよ。それにおんぶまでして貰って、せいらさんって割と本気で優しいっすね」
「罰ゲームだとぅ!?っていきなり真面目になるな!それに……遠慮するなって言ってんだろ?もっと頼って良いんだからな」
「ありがとうございます!今度ちゃんとご飯作りに行きますので」
「誰にでも優しくしてるわけじゃないんだからな」
何かボソッと言ったのがきこえた
「なんすか?聞こえなかったですけど」
「なんでもない!ほれ、とっとと帰るぞ」
まあ…家まで、50mもないんすけどね




