大金は歴史的偉業で 10
シオーニ
この女は俺と出会ってから今までの間、色々やらかしていたようだ。
あらゆる尋問等屈指して殆ど嘘偽りのない内容が絞り出されたらしい
まず最初に、俺の所に来て2ヶ月位この世界に馴染みたいと言う俺の意見に対し、前例が無い事なので俺が修行したいとか怖気付いたとか色々上に報告し猶予を貰い休暇を楽しんでいたそうだ
次に、後輩の白服の所の様子を見に行った所、俺と同じ転生者が好みのタイプだったらしくそっちに入り浸りになったとか。
さらにたまたまではあるが結構転生者が来てたらしくその中の男も好みのイケメンが複数名居てとっとと俺の担当を終わらせたいと思っていたそうだ。そこで俺を亡き者にすべくオーガインプなる初心者が行くようなもので無いクエストを受けたという事らしい。
だが退治してしまった事で一転、転生者を管理して以来最高記録のクエストをこなしてしまった事で話が変わってしまうのを防ぐべくオーガインプのクエストはシオーニ単独撃破と言う事になっていたらしい。
実際には俺はクリスのパーティーという形なので記録更新にはならない訳だが俺が一人で退治したので勘違いしたのだろう、記録というのはあくまで他所のパーティーに入れてもらっての話ではなく転生者が主導のパーティー及び単独での話なのだ。
流石に毎日後輩の所に行くのはマズいと踏んでたシオーニは暇を持て余し日本で言う所のホストにハマって行ったらしい。
そろそろ本格的に俺を亡き者にしイケメン転生者の所に行けるようにすべく俺達をギガビーストのクエストに押し込んだのだがコレを撃破されて話は変わった。
流石にシオーニの単独という訳にも行かず隠し切れないと思ったシオーニは後輩を買収して担当の交換を要求しようとしていた。
メロニィ曰く、シオーニは極端ではあるがこの組織は腐敗しきってるようで買収も相応な金さえ出せば問題無く出来たとの事。
そして買収の件を確実にするために後輩に休みと小遣いを渡してイケメン転生者を唆し、その時の転生者君にはちょっと荷の重そうなクエストである夜の騎士、LV13相当の討伐を二人で目指したそうだ。
一体でも倒せば記録にはなるのでこいつを倒せば転生者が主導のパーティー記録更新にもなるからという狙いだ。
シオーニは勘違いしたままだったっぽいがどうあれ俺がやった事を除いた場合でも記録更新という肩書さえあればこの担当の交換も格好がつくと思ったそうだ。
そしてこの無茶振りのクエストでイケメン転生者は………アッサリ首をはねられてしまったそうだ。
そこからはもう惨めなものでどうすれば良いかわからず彷徨ったりしたが金がヤバくなって来たので俺の所に入り込もうとクリスやまゆもにちょっかい出して来たのだ。
何も知らない後輩さんはだんだんシオーニがウザくなって来たと言う事で根本的な異動を申し出ていたとかなんとか。
この組織そのものが腐敗しきってるのでこれだけなら正直問題が大事にはならなかったようなのだが……どうやらこの件に文句をつけて色々やらせるだけの力ある人物がこの件に口を出したようだ。
その人物とは……せいらさんだ。まゆもを危険に晒そうとした事を怒ってはいたがまさかここまで力があるとは。
そんなこんなで素直に従ったこの組織は全力でシオーニを吊し上げシオーニもまた結構な大物の娘である事から事の重要性を理解し素直に従ったという経緯らしい
シオーニ……人死にが出るまでの事をやってるのは流石に庇えないな
因みにせいらさんの進言でどうしても転生者に付き人が必要と言うのならちゃんとした奴を寄越せと言う事で送られてきたのがこのメロニィさんだそうだ。確かにちゃんとしようとしてはいるな
この白服の組織はかなり腐敗した組織らしく、適度に旅も出れて何もない時はたまに事務仕事がある位の楽な仕事みたいな認識が強く家柄が良く無駄に優秀な人が結婚までの繋に入る事が基本みたいな所にまでなってる組織だそうだ。
だが腐ってるだけで優秀な力を持ってる人が来るのは間違いないらしく、というより能力が低いと金でも積まないと入れない部署のようであのシオーニも能力自体はかなりのものらしい。
そんなわけで真面目に転生者を導き魔王を倒すなんて目指してるのは私くらいしか居ないとメロニィさんは言っていた。
この組織そもそもの発端は大昔に転生者が世界を救うという事を確かな人物が唱え、それを当時の王が了承して作られたという歴史があるそうだ。
各国共通で行われてる事でありこの組織に関してだけは皆協力し合うのが慣わしらしいのだが今となっては形だけみたいな側面が強いのも事実らしい。ただ、転生者を発見することが出来る魔法の水晶、この未だ解明されてない魔導具の存在や文献等を考えるとどの国も不要とまでは言えないらしく今の形に落ち着いてると言うのが現状だそうだ。
そんな組織にいるメロニィさんが何故いきなり結婚してなんて言って来たのか
「シオーニさんと我々組織の話はこのような感じです。ですが私はちゃんと魔王を倒そうと真剣に考えておりますのでご安心下さい!歴史的偉業を成し遂げるのです!」
ライオウとの戦いの時からわかったけどこの子はこういう性格っぽい
「そ、それにしたっていきなり結婚っていうのは話が飛び過ぎじゃないかい?まだ若いんだし早とちりはイケないと思うよ、私は」
「クリス様、先程のあなたの戦闘も見てましたよ。素晴らしいです!素晴らしい技です、あなたならきっと魔王討伐に導いてくれます!共に頑張りましょう!」
「そ、それほどでもぉ〜ただいきなり魔王って言われちゃうと」
クリスが言い終わる前に今度はまゆもに行ったメロニィさん
「まゆも様も素晴らしかったです。あんな魔法見たことないですよ、あなたこそが魔王を討伐する為に導かれし魔法使い……いえ、大魔道士なのです。あなたなら成し遂げられる、私はそう確信しておりますよ」
「そ、それ程でもにゃぁ〜」
まゆももあまりの勢いに押されつつ照れて骨抜きに
「狂魔戦士リリィ様、あなた様の活躍は耳にしております。あなたの様な伝説の方がいる時点でもう導かれし者です。私はこの組織に入って初めて魔王討伐が視野に入りました!この高揚感、どう説明すればよいのでしょう…これはきっと運命の邂逅です!!」
うわぁ……ずいぶん熱血的な子だったんすね〜ただ…
「メロニィさん、あなたの情熱は分かったけどさ、それとみーくんと結婚ってどういう理屈なのさ?」
おっと、ここで何やら得意気な顔のメロニィさん…この子面白いな
「私の家はお爺さんの代で貴族になったぽっと出の貧乏貴族です。ぽっと出過ぎて見下されたりすらしません、勿論私達も相応に弁えてはおりますが。
ただ、父上や母上を見る限りとても堅苦しそうと言いますか息苦しい感じが私は我慢ならないのです。なので魔王を討伐し勇者様の嫁となれば私の家の地位が一気に跳ね上がるというもの、もしくは堂々と貴族から抜け出せるというものです。それが最初の目的でした」
「そ、そうなんだ……で、今は?」
物凄い力説に若干引いてるクリス、温度差が凄い
「最初は目的の手段だった魔王討伐なのですが、いつしか魔法を極めて行く内に……魔王討伐こそが我が使命だと気付いたのです!
でも私は回復のエキスパートなので攻撃は無理です。
なので勇者を真剣に探していたのです、そんな所にこんなお強いみー様が現れたらそりゃもう魔王討伐後の結婚だって夢見てしまうのも仕方無い事かと!見た目もストライクですしなんやかんやと優しそうじゃないですか!」
「おい、それは誰の事言ってるんだ?物語に出てきそうな格好いい勇者様みたいな……確かに俺は相応に魅力的かも知れないがあんまり幻想高く持たれるのはちょっと……後で引かれる未来しか見えんわ」
ハートル上げないでね
「ご謙遜を、良いのです。お互いこれから深く知り合って行けば」
「この男はセクハラ大王だよ?キミはまだ子供だから大丈夫かもだけど…いや、それすら分からないよ?」
クリスめ、またあらぬ事言いよって
「………慣れてることなので仕方無いとは思いますが、私はこれでも21歳ですよ?充分大人なのです」
「「「えぇぇーー??」」」
結婚発言より驚いた、この子21歳なの!?てことはクリスよりも歳上か?
「え、ええっと……それじゃあ私より歳上?」
「クリス様はおいくつですか?」
「19…です」
「お若いですね、まゆも様は?」
「アチキは14でぇす」
「えぇーー!?そのお姿で14歳なのですか?
……自分で言うのもアレですが私と逆じゃないですか」
「年齢の事はわかりましたけど…流石にご結婚と言うのは急ではないでしょうか?」
リリィさんがそれとなく常識的に言ってくれた。助かるぜ、21歳って聞くとちょっと色々変わるのです
「魔王討伐してからの話にはなりますけどね、皆様方なら必ずや成功すると私は確信しておりますよ!」
なんだろう、熱血なのも真っ直ぐなのも真面目なのも良い事なんだけど…それが21歳の人が言ってるってわかると途端にちょっとなんかその、アレです




