始まりはヤマト村で 4
「ぐらびとぅ〜〜〜〜ん」
ダメでした
わからない、わからないよ?まだこの世界とこの村の常識は。でも多分ここでそんな凄い呪文ぶっ放しちゃ駄目だろ。
って本当に凄いな、地面沈んでるわ。あんなの食らったら死ぬんじゃね?この娘もしやとんでもない魔法使いなのではなかろうか
「あ、コラ!まゆもちゃん、またそんな所で魔法打ったでしょ!!駄目じゃない、公園の遊具全部潰れちゃってるよ、それに段差が…小さい子が怪我したらどうするのさ」
そう言ってきたのは何となく気の強そうな感じのスタイルの良いお姉さんだった
「ここぞの場面だったのでぇす」
「それは仕方ないにしてもね、まあまたアイツ等にでも治させるとして…アナタが父の言ってた記憶喪失の人かい?」
なるほど、仕方ないで済むんだ。どーやら俺の事は聞いてるみたいだな
「はじめまして、みーっていいます。ちょっとこの村付近でお世話になるかも知れませんがよろしくお願いします」
「いえいえ、こちらこそです。私はかえで、何かあったら遠慮なく言って下さいね。それと、まゆもちゃんはもう少し場所を選んでくれるとありがたいかなぁ〜」
「ちゃんと家とかは避けてるのじゃぞい」
ちゃんと気遣いはしてるんでした
「本当俺は何も知らないからアレだけどやっぱりこんな普通に家がある場所であんな魔法使うのはよろしくない、という常識で良いんですよね?」
素直に聞いてみた
「当然だよ。でもまゆもちゃんはかなり特殊な魔法使いタイプだからね〜その道を極めんとするなら他に前例がない以上、ある程度はやりたいようにやらせたほうが大成する気がするからそんな遠慮はしなくても良いんだけど……人とか家とかなんか普段から使ってる物は駄目だぞ」
なんか少しこの村の人達の感覚が分かった気がする
「腹減ったのじゃ」
本人はこんな感じだ。マスコットキャラ的感じにも見えるな
「なんかスゲー音がしたぞ。あ、ま、まゆもさん!?い、いやぁ相変わらず凄い魔法ですね…おっと宿題があったんだ、行かないと」
あれ?今おそらく近所の子供達が見に来たけどなんかまゆもさんにビビって退散したような
「あ、いっちまったぽん、今度こそひっくり返る魔法を成功させようとしたのにぃ」
「まゆもちゃんも程々にするんだよ。んじゃ私は行くから、みーさんだったっけ?色々頑張って下さいね!」
普通に良い人だ
「ありがとうございます」
きっと村の良きお姉さんなのだろう
「かえで姉さんは怒らせると怖いのでぇぇす」
先程聞いたエピソードといいこの村の女の人は色々物凄いようだね。
そんなこんなでまゆもちゃんの家でご飯を頂き村のこと等雑談を踏まえつつ布団を頂き借宿にしていいとされる小屋に案内してもらった
「思ったよりいい感じですね、助かりますよ」
「気にする事無いよ、なんかこの小屋はかなり昔からあったんだけど特に誰が住んでたわけでもないのになんか気になって最低限の手入れをしてたらいつしか決まり事みたくなってね、強制ではないんだけど大体誰かしらが掃除したりしてたもんだから結構綺麗なんだよ。その気になれば風呂もあるし…そうだ、虫含む害獣避けの魔石も置いておこうかね」
そんな便利なものまで!?
「何から何までありがとうございます。何かしらの形で恩は返しますので」
「いいって事ですよ、娘の命の恩人だ。これ位安いもんです」
なんてやり取りしつつ初めての夜、一人小屋で寂しく過ごす事になったわけだが…流石にちょっと怖いというか心細いというか。でも何故だろう、この村の人達の片鱗に触れたからか、謎の心強さというか安心感がある気がする。少なくとも不意に恐ろしい何かがとかいう怖さがないというか、その不意に恐ろしい人達の村の公認で住んてるっていうのがデカいのかな。とりあえず早速明日にでも昼間に仕事をどうこう言ってたおじさんの所に顔出してみるか。と思って寝ようとした矢先、何か体がダルい、頭痛いし気持ち悪い……風邪か?あり得るな、俺にしてみりゃこの世界のウィルスは全て未知だから蝕まれてもおかしくない。ってこの高熱はマズいやつかもしれん。とりあえず眠ろう
翌日、夕方に目を覚ますとまゆもと両親が……ってここはまゆも家か?なんてこった、気を失ってたって事か。夕陽の感じがもう夕方ってわかるけど…ほぼ丸一日寝てたようだ
「みーくん起きた、大丈夫?」
まゆもがそう言って笑顔で声を掛けてきた。呼び名がみーくんに変わっておる
「うん…あれ?熱とか…治まってる。良かった、まゆもちゃんが色々してくれたのかな?ありがとね」
「気にすることにゃいのじゃよ」
起きて両親にもお礼を
「いやぁ驚きましたよ。でもこれで確信しました。本当に記憶喪失というか……まるで別世界から来た人のようだ」
ん?何かわかったのかな?
「みーさんが高熱で倒れてたと聞いて行ってみたらまさか魔力にあたってたなんて…産まれたての赤ちゃんがなったりならなかったりするものなんですよ、普通は」
そう奥さんのほうが言ってきて何かわかって来た。確かに……意識して体全体を感じてみると何か帯びてる感じがする。多分こっちの食事とかが単純に魔力とか帯びてるのだろう、それを体が受け入れた的な
「おや、その感じだとみーさんは魔法使えそうですねぇ…これはもしかするともしかしますな」
「ええ、きっと伝説の何かにどーのこーのですわ」
この村の人達はそういうの好きなんだろうか
「本当にありがとうございます。助かりました、あのままだったらどうなってた事か」
どうなってたんだろうか
「放おっておいても大体は二、三日で治まりますけどたまにぽっくり行っちゃいますからね、良かったです。早めに発見出来て」
おっかねぇ〜この世界こえぇ〜
「魔力が……何となくわかりますが、この世界の人って皆魔法使いなんですか?」
そう聞くと目を見開いて驚くようにしつつ答えて来た
「いえいえ、魔力自体は体に帯びてますけど魔法を使えるのは一部で大体が遺伝だったりしますよ。そうでなく使えるようになる人も居ますがかなり大変ですしそれでもなお実用的になるとも限らないので普通は魔法使いにはならない人はならないです。それより……この世界の人ってことは」
救ってもらえたし色々助けてもらってる、少なくとも信用には値するので……話してしまう事が迷惑になるかも知れないという事を含めつつ俺の経緯を話してみるか
「よろしければ……俺の事、と言っても大した話ではないですが聞いてもらってもいいですか?」
そう言うと分かってたと言わんばかりにしれっと
「村長と一部の人にはすぐにでも聞けるよう手配してあるので早速行きますか」
「あの、あまり変な期待はしないで下さいね、大した話ではないというか俺自身大したものでもないので」