持ち家を手に入れて 3
この辺はクリス家の近くで野暮用があるという事で立ち寄った。
エリサさんの帰り道でもあるらしい、そしてクリスが家に入って行き二人きりになったのでそれとなく質問してみた
「そういやエリサさんってなんで冒険者やりだしたんすか?何となく性格的にそういう感じでは無さそうに見えますけど」
「そうですね、クリスさんには出来れば秘密なのですけど…私元々クリスさんに憧れてたんです。クリスさんは覚えてないようですがまだ小さかった頃、近所の悪ガキ達とでも言うんですかね、その子達に弟とその仲間が泣かされて私と友達に泣きついて来たんですよ。私達はその時悪ガキ達とは多分同年代だったと思うけど怖くて立ち向かえなくて…そんな時クリスさんが助けてくれたんです。全員ボコボコにしてくれました。私の弟達側の子も何人か一緒にやられてましたけど」
敵味方区別する事なく喧嘩してるのがもうクリスらしいというかなんというか
「クリスっぽいっすね、クリスは覚えてないんですか?」
「はい、私の事も覚えて無かったです。私の実家はちょっと離れてるので本来は遊ぶ場所で遭遇するような事も無いんですよ。あと、クリスさんは私が冒険者としては先輩だと思ってるようですけど実は私のほうが後なんです」
それは意外な事実が。でもクリスって結構な期間パーティーを組むことなく過ごしてたんだっけ
「クリスって早い段階でパーティー組めなくなってたから入れ違いみたくなったのか」
「そのようです。私も冒険者やるまでは物凄く人見知りでして…今にして思うとよく分からないんですけどクリスさんにも声掛けられない程に小心者なくせにクリスさんを追い掛けたくて冒険者になっちゃいました。最初は大変でしたよ、たまたま魔法が得意だったので何とか収まりましたけど冒険者やる位なら普通にクリスさんに声掛けられただろうって」
それはその通りだがこれ位の年頃の子はそんな訳の分からない事だってあるでしょうよ
「もしかしてクリスとパーティー組みたいとかだったりする?」
「いえ、必ずしもそういう訳ではないんです。ただ憧れてた人に並べたら嬉しいなって。でもそんな話をする前に私の所属するパーティーに仮で来たので色々焦りましたよ。既に悪評は聞いてたのですけど困ってるのかと思い私から試しにってパーティーメンバーに言って一回だけクエストしたって流れです」
クリスも俺と組む前は色々やってんだな、なんか面白い
「何夢中に話してるんだい?まさかキミは私の友達を口説こうとしてるんじゃないだろうなぁ?」
「違うわ!クリス様のお陰で俺はこうしてパーティーとしてやっていけてるんだってクリス様の偉大さを話していたのさ」
テキトーに誤魔化しておくか
「お、おおぅ…それならいいんだよ。もっと普段から崇めてもいいんだよ?ほらほら〜」
すぐ調子に乗りやがって
「俺のバイト先で何故かクリスが店長をぶっ飛ばし」
「あわわわわぁ!そ、それよりどうだい?ちょうどいいバッグが無かったからクリス様愛用のバッグを持ってきたんだよ」
そういう話はやめて欲しいようだ
「お、可愛いねぇ〜その丸みというかこの角度がまたヌンって感じでなんとも…愛用するだけのこと事ある。いいなぁ〜俺もなんかバッグ買おうかしら」
「ふふ、みーさんって女の子っぽいの好きなんですね」
可愛いものは意外と好きなんだって言うとクリスに茶化されそうだな
「この男は意外と可愛いもの好きっぽいんだよ。他にも色々可愛いとか言ってはしゃぐ時もあるし……おっと、これ以上はやめとこうかな」
「おいクリス、今の間はなんだ?また謂れのない事でも言おうとしただろ」
オッサンのくせに的な事を言おうとした顔だった。だが言わなかったという功績は認めねばなるまい
「じゃあ私もそろそろ行きますね、今日はありがとうございました」
「また今度一緒に美味しい物食べに行こうね、みーくんの奢りで」
「はい、喜んで」
「ちょっと待て、俺を財布扱いするんじゃねーよ!んじゃまたね」
エリサさんが帰ったのでこの辺の物件を探す方に力を入れよう
「エリサさんって良い子じゃないか〜ああいうお淑やかな感じの子、改めて振り返るとこっちの世界に来て初めてかも知れない」
リリィさんも最初はそうだった
リリィさんも最初はそうだった
大事なので2回言っておく
「キミってばああいう子がタイプなのかい?そうなのかな?ほら白状しちゃいなよ」
クリスが俺を弄り倒してると向かい側から来た人達が声を掛けてきた
「あれ、クリスじゃん。男連れてるよ、遂にクリスもそういうお年頃になったんだね」
そう言ってきた人のうちの一人に身に覚えがあるな、確かクリスの友達だったと思われる
「マリじゃん、皆も。久しぶりだね〜、この人は違うよ。冒険者仲間さ」
遂にそういうお年頃、って事はクリスは男と付き合った事とか無いのかも知れないな。
そういえばこの手の話は殆して無かったか。クリスには少し聞かれた事もあったけど意外にもあまり深堀りして聞いては来なかったっけ。
年齢がバレかねない話なので聞かれない方が助かります
「そうなの?その割にはイチャイチャしてるように見えたけど」
それは無いと思いたいが傍から見るとそうなのか
「クリスが男と二人で歩いてるなんてレアだからねぇ〜どうしてもそう見えちゃうよ。確かみーくんさんだっけ?お久しぶりです、前に1度会った事ありますよね」
みーくんさんになっておる、確かにこの人は前に会ったと思う
「みーです。みーくんはみーに君を付けてるのです」
一応抗議をしてみたらドヤ顔で言ったのが恥ずかしかったのかキャーキャー言い出した
「相変わらずルシアはおっちょこちょいなんだから〜」
「クリスにだけは言われたなく無いよ!」
クリスはやはり友達から見てもそんなキャラなのか
「ところでクリス、最近はちゃんと冒険者やれてるの?」
「へへん、今ではすっかり冒険者さ!上級者だって出来ないような事までこなしたのだよ」
ドヤ顔のクリス様、多分ずっと冒険者やれてなかったから単純に冒険者として活躍しだしたのが嬉しいに違いない。
あんまり調子に乗られるのは困るがこれくらいなら可愛いもんだ
「へぇ〜凄いじゃん。てことはあの必殺技も世に知れ渡る日がそう遠くないかもだね」
必殺技の事とクリスの目的を知ってるって事は結構な仲良しさんのようだ。以前会った嫌な感じの顔見知り達とは違い感じの悪さは微塵もないし
「アレだったら来ちゃうかもね、お偉いさんからのスカウト的な。こんな可愛くて強くて立派なクリス様は放おっておけないだろうからねぇ〜」
うん、分かってた。この子はどんどん調子に乗っちゃうな。でも面白いからもう少し様子見しておこう
「てことはもうあのギルドでは納まらない位の大物に?」
「そういう事に、なってしまう私だよ」
その口調は初めて会った時から驚いてたが俺がふざけて意味深かつ尊厳がある感じの人を演じる時の口調と全く同じだったりする。偶然って怖い
「いずれは王都でも1、2を争う伝説の冒険者になるんですね。いや、もうなってるのかも…今度王都に遊びに行ったら色々便宜してね」
「い、いやそこまでは流石に」
この微妙な所でへんに弱気になっちゃうのがクリスの面白い所だったりする。憎めないキャラしてるぜ
「みーさん、クリスはこんな子だけど可愛がってあげてくださいね。それと恐ろしく喧嘩っぱやいので気を付けて下さい」
どうやらこの人はクリスの事は充分に分かってたようで俺と同じく面白そうだから見てたのだろう
「分かってますよ、今では俺が皆さんの代わりに初めて会う人にクリスは喧嘩っぱやいって言ってる位ですからね」
「ちょっと待って、みーくんまで何言ってるのさ。私はそんなに喧嘩っぱやくないやい!それにキミみたいなおっかない人が私を喧嘩好きみたいに言うなよぉ」
「別に喧嘩好きみたいには言ってないだろ」
俺をおっかない人扱いするのはやめてもらおうか
「えぇ〜、みーくんっておっかないの?」
「そうだよ、なんてったってあのギガビーストを一人でボコボコにする程だからね」
冒険者じゃない人にまでそういうの言わなくていいのに。なんて思っていたら1人驚いてた人が居た。この中で一番お姉さんぽい人だ
「ギガビーストを倒したんですか?と、いうことは…あの、私メイレンっていいます。良かったらその、仲良くして下さい」
なんだこのお姉さんは。さっきまでクール感満載だったのに
「メイレンが色目使い出したという事は…もしかしてみーくんって凄い金持ち?」
そういう事か
「マリったら人聞きの悪い事は言わないの。ただギガビーストって確か賞金が8000万とかだったのは見た事があるってだけ」
「8000万だって!?てことはクリスも超リッチ?」
出たな、金の匂いに群がる雌共め
「私も私も〜、私はルシアっていうます。こう見えて着痩せするタイプなんですぅ」
ほう、それは貴重な情報だ。でも実際見て見ないとなぁ
「人の男に勝手にツバつけるのはやめてもらおうか?」
おおぅ、いつの間にかクリスの男になっちまったようだ。
しかし強くて金持ちの男がこんな近くに居たら惚れてしまうのも無理はない
「ほら、やっぱりクリスの男じゃん。そんな感じしたんだよね〜」
「ええっとぉ、そのぉ〜…違うんだい!そうじゃなくてだね」
ああ、多分メイレンさんとマリさんは分かってる感じだな。
俺だって分かっちゃってるけど単純に私のパーティーにっていう言葉を略しに略しちゃったら人の男になっちゃったんだろうよ。
収拾つかなくなる前に助け舟出しとくか、ここで俺の悪評を出されては余計にめんどい
「クリス様、言葉には気をつけてね、同じパーティーの男をって言おうとしたのだろうけど人の男って言うと恋人みたく聞こえちゃいますぞ。それより俺達は今、一階で店がやれそうな物件を探し歩いてたりするんだけどそれっぽいの知ってたりしますかね?」
何とか収まったのはいいがクリスはまだ顔を赤くしてる。自分絡みのこういうネタは苦手なのだろう
「ええっと、チョットわかんないかな」
「私も」
「街から街道に出る辺りの所にいくつか寂れてるのは見掛けたけど…寂れてるだけあって店には向かないか。後はあのパン屋の近くに店が出来るような感じとは違うけど広めの土地とアパートはあったわね。隣が倉庫っぽい所よ、アレは確か売りに出てた看板を見た気がするわね」
この人なんかスゲーな。かなり頭良さそう
「流石メイレン、金目の所は常に目を光らせてるね」
なるほどお金大好きだからそういうチェックは怠ってない的なやつか。
その後クリスのお友達と雑談をしてからメイレンさんの言っていた物件を見に行く事にした
「み、みーくん!言っとくけどさっきのは本当言葉の間違いであって」
「まだ気にしてたのか?分かってるわ、これに関しちゃ地雷臭たっぷりだから今後もぶり返したりしないから安心しろ。だからクリスも俺の事オッサン扱いするでないぞよ」
この切り返しが大人ってものだ、年の功ってやつです。大人は無駄にぶつかったりはしないのさ
「ぅぅ…分かったよぅ。でもみーくんの本当の歳って気になるよねぇ」
「気になるも何も17歳だからこれ以上は何も出ないぜ」
クリスはまだまだ弄って来そうだな。なんとかならんものか。
それにしても今日はクリスの関係者によく会う気がする、クリスはなんやかんやと慕われてるんだなというのがよく分かった気がした。
しばらく歩いてると話に出た物件に辿り着いた。確かに売り出しとか書いてあるけどこの辺は日本と変わらなのか
「どうだろ?これはこれで悪くない気がするよ。でも中も見てみたいよね、ここは何処で管理されているのかな?」
ちょっと古いが広い建物だ。店をやるような感じの建物では無いが…見た感じだと自分達で改良とか出来そうな気がしなくもない。
後は値段、イメージとは違うが悪くないし立地も良い。いくつか候補はあったが人通りがあまり見込めなかったり狭い事を無視すれば理想的ではあるが値段が高かったり等、中々理想通りにはいかない。それを踏まえてもここは…悪くない。
隣も空き地だったり何かの倉庫的な物だったりといい感じに他人との距離を保てそうだし。どうしよう、金額次第ではここで決めてしまおうか
「今度まゆもも連れて3人で内覧でもさせてもらおうか」
こうして物件探しは有意義に終わった。まゆもは明後日帰って来る予定だから明日はゆっくり休もうかと思っていたらクリスのガッツリした修行に午前中付き合わされた。
午後には魚を無性に食べたくなったので貴重な魔石の転身を使って海に行き釣りをしたり等なんやかんやと休まる事なく過ごしていたが…若いって素晴らしい。休まる事なくといったが全然体力が持ちます




