始まりはヤマト村で 3
現在15時位、夜まで時間があるということで今度こそ村の案内をまゆもちゃんにしてもらう事になった
「ここが我々の村を作りし初代長の祀られた神社なのでぇぇす」
なるほどなるほど、ここが達人村だという事、転生的なものが普通に地球から行われてる事、日本の田舎に似てる事、その辺の事が一発で判明した
「宮本武蔵……様ねぇ、さぞかし強かったのでしょうなぁ」
何のことはない、この村の祖はあの我等が日本、最強の剣豪にして最も有名な人物の一人、宮本武蔵だった
「分かるなのですか?ムサシ様の強さが。これは……やりまするぞい」
「そうだなぁ、もう少し過ごしてみて、大丈夫そうなら話せる事があるから話すとするよ」
俺はなんの気無しにそう言うと
「みーさん分かっておりまするねぇ〜そのシレっ!我らがヤマト村に伝わる格好のつけ方もシレっと凄いことして素知らぬ顔するというのが習わしなのでぇす。この村始まって以来の習わしなのですぞい」
宮本武蔵さんは何を教えたのだろうか
「大した話じゃないからそこんとこよろしく」
まゆもから色々聞いた話はまだ子供のまゆもが見聞する話になる訳だがこの場合、まだ赤子同然の俺にはむしろ分かりやすくて助かった。例えばこの村、財政なんかは主に王都等に各商材を売って立ててるらしくその金で色々買いこんだり、野菜なんかは村で作ったりと、かなり平和な村だというのがわかる。アレ、魔王さんは?
「そういえばこの村って魔王に襲撃されたりしないの?魔物的なのとかも…居るのかな?」
「年に一回、魔王軍が攻めて来る運動会があるのじゃ、魔物はたまに村の付近に現れるなのでぇす」
運動会?
「えっと…まさか魔王軍ともそれなりに仲良くやってるとか?」
「うんにゃ、これはまだアチキが生まれるよりずっと前の事の話じゃ。なんか魔王軍がちょくちょく攻めて来る時期があって、ある時昼間に広範囲で来た時に洗濯物が汚れて台無しになった事に怒り狂った当時の村で最強の魔法使いの主婦とその他の主婦たちが魔王軍を全員集めてガチ説教しつつ魔王も呼び出せとかいう話になったらしいのです。その時に魔王軍側も流石に親玉は連れ出せないという事でこちらから行くってなったんだけど王都のお偉いさんや魔王軍の将軍が3人程来て、今全面戦争がというのは得策ではないとか、これに関しては本当にお詫び申し上げますって魔王直々の言葉があったりとか色々あってヤマト村には年一回攻め入る事以外は一切関与しないって事で話を収めたそうなのじゃ」
ちょっと待て、何それ?ここの人達マジヤベーじゃん。魔王も王国も持て余してるヤツじゃん、そりゃ魔物もろくに現れんわ。それにしてもそのまま魔王倒せそうな気もするけど…うん、触れないでおこう
「その後主婦達はこの話を子育て中に襲撃される悲劇のヒロインという形にしようと小説を書いてそれを魔王軍や王国も合わせつつ村の男勢達も含め皆で褒めちぎったら1週間もしたら主婦達も元に戻ったそうなのでぇす。子育て主婦マリーの悲劇っていう著書が今も販売記録1位でどーのこーのなのじゃ」
それ絶対王国上げて買ってるよね?機嫌取りにいってるよね?この村…実はかなりぶっ飛んだ村なのではなかろうか。今のところ皆良い人そうだし悪い感じはしないけど
「お、これは良い景色感。行くなのでぇぇす!!水龍!!」
うわっ!?いきなりなんだ!?何これ魔法……なのか?スゲー!!威厳あるカッコいい龍が水で作られて……それで……何?そのまま大量の水が傾斜ある下の方へ流れていった…良かった、川があったので余計な被害は起きない筈、あんなの水捌けなきゃかなり後片付けかなり面倒だからな、ってこの娘何考えてるの?いきなりぶっ放しやがって
「まゆもさん、今のは?」
「水龍なのでぇす」
説明終わり
「魔法…だよね?いきなり放ったのは何か理由が?」
「みーさんもこの位置からの景色をごろうじろ。水龍さんが居たら良さげなのでぇぇす」
よし分かった、そういう事な
「確かに、そっちから見ると水龍さんが現れたらカッコいい感じするよ。その大木と相まってかつ遠目に見える山との絵面も良い感じだね、ふふふ」
色々スルーすることにした
「おお、みーさんやりまするなぁ!解っておる、解っておいでなのでぇす!!」
興奮しとる、何かに巻き込まれそうな香りがしたので話を変えよう
「まゆもちゃんは魔法使いなんですね。他にも使えたりするのかな?」
ヤバい、墓穴掘ったか
「うにゅ、あとはぐらびとぅーんっていう重力どーのこーのの魔法なのでぇす。でもアチキはパワーが凄い反面一発か二発打つくらいで魔力が切れてしまうなのじゃ」
良かった、大丈夫そうだ
「そうかーそれは残念だね。また機会があったら安全な場所で見せておくれよ」
見ては見たいです。安全な場所で
「うにゅ15分もすればいけるなのでぇす、回復は、早いなのでぇす」
なんとも使い勝手の悪そうな魔法使いがここにいた
「そ、そうかーそれじゃあまた後日という事で。そろそろ戻りますかね」
なんとなくだけど、大丈夫とは思うけど…もしかしたらこの娘、迷惑顧みず魔法ぶっ放しそうなオーラを感じたので早々に退散しておこうと思いました。だって傾斜もあって川もあったから良かったけどそもそもおかしいもん、あの大量の水を傾斜とはいえ地面に撒き散らして全く気に留めてないもん、近くに川があるなら川で打つのが普通だもん、よってここは早いとこ退散するに限る