秘奥義は最強で 3
「一応下調べした内容を伝えとくね。ハッキリ言って必要ないと思うけど」
今回の件の筆頭パーティーという事で事前に下調べを担当していたカリーネさんが色々話してくれた。
まず、去年の春に所長が交代してるという事。
それだけならどうという話ではないが現所長は金儲け主義らしくコケッコの量を3倍近く増やしてしまったそうだ。
前任者や共に働いてた人達はコケッコにも愛情を持って接してたらしいが今の所長は金儲けの道具にしか考えていない様で何人も辞めたり、考えの合わない人は扱いを悪くして追い出そうとしてるとかなんとか。
お陰でかなり劣悪な環境になってると元職員さんは語ってたらしい。
それから去年の異常気象で寒い冬を乗り越えてない個体が相当数居るので、今回の冬でストレスは更にかかるので、それが要因なのかは不明だが魔物化が増えそうな気のする懸念はあるんだそうだ
「よく調べましたね。流石王都のA級パーティーさんだぜ」
「いやぁ、それ程でも!」
このちょっと調子乗りやすそうな感じはクリスと似てる気もする
「一応警戒度は高めておこうぜ。俺達とカリーネの村は結構近くにあるんだが、ガキの頃に近所の爺さんから聞いた事があるんだよ。コケッコは魔物化するとデカくなるってのは常識だが稀に強力な個体が生まれるとか言う話だ。なんでも2mは超えて頑丈になる事から鉄鶏と呼ばれる個体になるらしいぜ」
デカくなるってのはそういや言ってたな。2m超えのニワトリは確かに怖いわ
「私が見た事ある文献にもその様な事が書いてありましたね。恐ろしく強くなる鉄鶏、更にはその数倍の大きさになる絶鶏なるものが生まれる事もあるそうです。大惨事になった時はそれらが居たそうですよ」
流石我等がメロニィ、博識ですなぁ。俺達3人は真面目そうな顔して聞いてるけどその辺の知識皆無だし、そもそも合同クエストの流れとかも知らないからちょっと難しそうな顔しながら流れに身を任せるモードです
「流石王宮勤めのエリートさんだな。詳しいじゃねーか」
「頼りにしてますよ」
「実際の経験はありませんがこの手の知識と回復はお任せ下さい」
「任せたぞい!」
「みーさんはヤバくなったら任せますよ、まず無いとは思いますが」
「それじゃそろそろご飯にしますか。皆さん、一応仕事ですのでお酒は程々に」
ランスさんっていいクラス委員になれそうなキャラだな
「みーさん、これ美味しいですよ!」
「こっちも美味しいやでぇ!」
「コケッコにゃ申し訳無いけど本場のコケッコ料理は流石にうめぇな!」
「みーくんこれ頂戴!」
「あっ!?自分で取れよ!なんで俺が捕まえた美味しそうな子を奪うんだよ」
「だってその見た感じが美味しそうなんだもん!」
「んじゃクリスの寄越せ!」
「あっ!?ウチの子返してよ!」
「あ、あの…取り合わなくてもまだあるから大丈夫ですよ」
しまった!つい普段のノリでやってしまった
「皆さん仲のよろしいですね。ウチのパーティーなんて盛り上げ役が私しか居ないからおとなしいもんなのよ」
「カリーネは酒癖悪いからむしろ厄介だろうが!」
カリーネさん酒癖悪いのか?
「師匠酷いよ!私そこまで酒癖悪くないでしょー、それに師匠は見た目怖そうなのに大人過ぎるんです、もっとはっちゃけて下さい!」
「ハハハ、弟子ちゃんは知らねーようだけどベルーガは酔うと…」
「やめろ!」
「なになに!?師匠酔うとどうなるの!?」
「限定条件付きですが甘え上戸になりますね」
「テメェなにいってやがる!俺の紳士なイメージが台無しだろーが!!」
この人まさかの甘え上戸か?
「マジですかぁ!?師匠、弟子にも甘えて下さいよぉ!?」
「馬鹿言ってんじゃねーよ」
「ベルーガはジーナ相手には甘えるんだよ」
「お前等揃って俺を弄るんじゃねーよ」
「ああ!?やっぱそうだ!ジーナさんと出来てたんだ!あ、クリスさん達に話とかないとだよ。ジーナさんっていうのは師匠達の元パーティー仲間の姐さんだよ。怪我が元で引退したけどまだまだやれた気もするんだよねぇ〜」
「カリーネ、程々にしとけ。お師匠さんも困ってるだろ?」
「はいはい、熱々の恋人が居るランダにはこんな話題興味無いもんねぇ〜」
カリーネさんはムードメーカーなんだな。当人達からすると厄介極まりない気もするが。
やたら美味しかった食事をこれでもかくらいがっついてそのまま酒を飲んでどんどん出来上がっていく俺達。と言っても実は弱い俺は程々にしてますけど
「なぁなぁ、みーしゃんはこの中の誰かとアレなのかよぉ?」
案の定絡んで来るカリーネさん。しばらくセクハラネタで弄られるのは勘弁だからなんとか穏便に済ませたい
「私が許嫁なのでアレと言われてら私れすよ」
「なにぃ!?おいみーさんよ、そんな…アレなのか?ロリタイプが好みなのかよぉ!?」
甘え上戸と噂のベルーガさんが隣に居ると思ったら絡んで来やがった
「ぺろーがさん?私が許嫁でロリとはどういう了見か聞こうじゃありませんか!」
「いや、違うんだよぉ。その、若々しくていいなぁってなぁ?」
酔っぱらい共め
「みーしゃんもいい加減認めてしまえばいいんですよぉ〜」
メロニィがくっついて来た
「メロニィ、同じぱーりぃーでそういうのは、駄目なんだからね!」
「リーダーどおりなのでぇす!」
「流石リーダーさんだ、分かってらっしゃる。同じぱーりぃーの色恋沙汰は解散原因の1.2位を争うとか何とか」
金銭問題と男女関係がパーティー解散の上位を占めるという話だが実際に経験した事ある人が3人も居たのでその話で盛り上がった。
俺達も気を付けないとだな。
いつもの様に風呂上がりに髪乾かし隊として皆とカリーネさんを乾かした後、部屋に戻る俺。
単純に3部屋用意された訳だがそれなりに馴染めた事と、出来れば男女別という話から男女2部屋という形になった。幸いな事に広さは充分なので気にしなければどうという事は無い
「みーさん!実はちょっとした相談がありまして…」
「なんだなんだ?その感じ…まさか愛の告白か?」
ランスさんが何やら相談を持ち掛けて来た所にベルーガさんがおちょくって来た訳だがちょっと気持ちは分かる。
その何とも言えない、もじもじした様な悩ましい感じ…一応聞かれちゃ良くない気がしたので場所を変えて聞く事に
「改まってどうしたんすか?」
因みにランスさんも俺の年齢の事はざっくりとは知ってる
「実は俺…」
マジか…モジモジして顔を赤らめてるけどそっちなのか!?場所変えたの失敗だったか!?
「な、なんでありますかな?」
怖い…それとなく上手い事誤魔化して明日は上手い事パーティー同士で寝る流れにして
「お、女の子と話すのが凄く苦手なんです!カリーネがやっと位で全然話せないんですよ!!何かいい方法ありませんか?」
なんだその可愛い悩み相談は。こんなイケメンなのに…もしや童貞か?
「いい方法、ねぇ…なんだろ?とりあえず同じパーティーのカリーネさんとは問題無く話せるんですよね?」
「カリーネは…あんな感じなのでもう気にしてないっすよ、放っといても話し掛けて来ますし。そうではない女性と、俺も普通に話せるようになりたいんです!業務報告みたいなのは問題無く出来るんですけど雑談的なものが…何話せばいいか分からないのです」
なるほど、そういう感じか…でも俺だってそんなの分からんのだが
「因みに今迄付き合った事とか、恋した事は?」
「そりゃあの人良いなぁと思う事はありましたけど…付き合うなんて以ての外でした」
「なるほどね。そうなると逆転の発想だ。ランスさんは気兼ねなく話せてるカリーネさんに気付かぬ内に恋してるって事かもしれないよ」
テキトーに言ってみた。パーティー解散の要因となる上位が男女関係のもつれとか話した後だけどそれは置いとこう
「え……!?」
あれ?思ってたのと違う反応だな
「ど、どうしました?」
「そ、そうだったのか…俺は…俺は…カリーネが…好きだったのか…?確かに貧乳かも知れないが整った顔立ちしてるし気さくだし…恋してたとしても不思議じゃない!あ、ありがとうございますみーさん!!自分の気持ちにたった今気付きました!」
そんな事ってある?
翌日、割と近くに見える大きな山というか山脈がこの国の端っこにあたる場所で魔王軍の城があるなんて話をしつつ、この広大な牧場を眺めつつ深そうな森の前にコケッコが寄り付かない様にする結界の様な役割を果たす魔石の確認をして皆で回っていた。
魔物化が起きない限り今日は暇なんですよ。
「ねぇちょっと、アンタなんか普段と違くない?若干キショいんだけど」
結構キツイ事をズバッと言うカリーネさん。対する相手はと言うと…
「ご、ごめぇん!違うんだよ!カリーネが今日は何か美人だなぁって」
俺のせいか?ランスさんがご乱心な気がするよ
「そんなのいつもの事でしょ!まったく…絡みづらいったらありゃしない」
ランスさんパーティーの他の二人も若干訝しむ目でランスを見ている
「そういやみーさんよ、昨日ランスと夜2人で内緒話しに行ってたじゃねーか、何話したんだ?」
「キミが原因か、そんな事だろうと思ったよ」
クリスめ、俺がトラブルメーカーみたいな感じなノリで話すのはやめてもらおうか
「別に大した話はしてないっすよ。クリス、お前それとなく俺をトラブルメーカーみたいなキャラにするのはやめてもらおうか。どちらかと言うとお前の方がトラブルメーカーだからな?」
「はあ!?何言ってるのさ!こんな可愛らしいクリスちゃんにトラブルメーカーだなんて…」
この時、養鶏場の職員さんから大声で呼ばれた
「魔物化発生しましたー!!お願いします!!」
ナイスタイミング。一旦今の話はスルー出来るぜ!




