秘奥義は最強で 2
昨日、この世界で初めて雪を見た。少ししか降らなかったけどそれでも12月初頭でもう雪が降るって考えると俺の住んでた日本の関東地方よりここは寒いんだなって思う。
確かに連日寒いしこの時期位からはクエストもかなり減って来るらしいので、この世界で冬はどう過ごすか見ておこう。
去年も冬に来てるはずなんだけど異常気象とかであんまり寒くなかったからまた異常気象にでもならない限りは寒い冬が待ってるのだろうと覚悟しておこう。
因みにどう過ごすか見ておこうとは思ったが他の3人を見てると何となく想像はつくかな。
外に出ての修業の頻度が明らかに下がってる気がするし、それを駄目という感じも出さないのを見ると冬は籠るもんなんだろうなって予想出来る。
ダラダラしてる時が酷いので誤解しちゃいそうになるけどこの子等は致命的になるほどサボったりはしないというか、多分皆ずっと修業ばっかして生きて来たせいかクエストに行く気は出さないけど放っといても皆修業はするんだよな。
お陰で俺もあまりサボらず修業するようになりました。
さて、今日はまたぺぽりーと戯れつつクリスでもおちょくるか
「ほらメロニィ、美味しい酒を買ったから飲むといい」
「あんらぁ、ありがとうございます。ほら、ここの使用人…じゃなくて夫人でしたわね。何故コップ持って来ないのかしら?」
「ほらみー!なんでてめぇはいつも動きがトロいんだよ!」
「ご、ごめんなさい。今すぐお持ちしますぅ」
「お、おかぁしゃんをいじめないでの」
「あらあら、まゆもっ子ちゃんはいい子ねぇ。ほら、高級菓子を与えますわよ。ほら、アンタはとっととそこの皿にある餌食いな!」
「ぅぅ…」
「ぺぽりー、見ちゃアカンぼぅん」
「ほらみー、もうすぐ仕事だろ!とっとと行って酒代でも稼いで来い!それと、夜も無駄に寝っ転がり過ぎだからよ、仕事見つけといてやったから明日から行ってこいよ」
「ぅぅ……」
「これ以上おかぁしゃんを働かせないでなの!!」
気付くとたまにやる例の遊びが始まっていた。
メロニィがメイド兼愛人みたいな謎の立場で参戦する事になりみーはより酷い目に合うようになったのだがどうしてこうなったのだろう
「2時間ありゃ寝れるから大丈夫だろ?」
「このままでは過労で死んでしまいまするぅ…」
「あ、あの…ノックしたのですが声だけ聞こえて反応なかったので…」
ギルドのお姉さんに見られてしまった。恥ずかし過ぎる…前もこんな事あったよな
「実はみーさん達と共同でクエストをやりたいという声が掛かっておりまして是非ともお願いしたいのですが…どうでしょうか?」
共同でやりたい?そういうの指名制があるのか?
「どちらの方からの指名ですかね?」
メロニィがなんか詳しそうだから任せるか。クリスも初耳っぽい反応だったし
「ランスというお方です。なんでもみーさんとお知り合いだそうで。凄いですね、今王都でも1.2を争うほど活躍してるパーティーですよ」
ランスさんか、そんなに活躍してるって聞くと臨時とはいえ少しだけ師匠ごっこした身としては嬉しいな
「確かみーさんの臨時とは言え弟子だったお方でしたよね?」
まあ一回しか教えてないし大した事教えてないんだけど
「みーさん…ちょっと色々属性付き過ぎててついていけないのですが…」
「一回しか教えてないから師匠って程でもないっすよ。にしても珍しいパターンですね。彼、そこそこ腕は立つと思うのでそんな彼等が共同って事は厄介なんじゃないすか?」
「そうだよね、私は詳しく知らないけどランスさんってA級でしょ?そんな人達が共同を申し出るってヤバいんじゃないのかな?」
面倒なら断りたいけど今度一緒になんて話した事ある気がする手前、断りにくいな
「依頼内容はコケッコの討伐ですよ」
「ああ、そっちか」
「なるほど、確かに共同で呼ぶには良い依頼ですね」
クリスとメロニィは何か知ってるっぽいな
「コケッコって…あのコケッコだよね?A級案件になりえるの?」
「説明しましょう、コケッコ討伐は数年に一回のペースである定期的な業務みたいなものです。どの家畜もある程度の割合で魔物化する事があるのですがコケッコの場合数百年前位に大惨事を引き起こしてからは定期的にA級パーティー複数とB級を1パーティー以上、計3パーティー以上で当たる事を推奨するようになった案件なのですよ」
なんでもコケッコの場合、サイクルが早いので魔物化発生率が高く、魔物化は伝染しやすい傾向があるとかで過去に1万以上のコケッコが魔物化していくつかの村や町を滅ぼした事もあるとかないとか。
それ以来魔物化発生が起きたらこのような布陣で確実に対処する慣わしになったとの事
「決して油断は出来ませんがハッキリ言って美味しい仕事ですよ。数匹魔物化したコケッコを退治して2.3日様子見て終わりというパターンしか聞きませんので。その割に3パーティーでしたら1パーティーへの報酬は最低でも100万は出ますし」
何それ美味しい。本当にそんな美味しい話いいんですかね?
「メロニィさんの仰る通りです。通常は取り合いの案件なのですが凄く頑張ってくれた、なりたてのA級パーティーとか、そういった方に優先して回す案件でもありますので」
気付くと満場一致で快く受けた俺達は何気に初めてっぽい数日間拘束されるというクエストにちょっとウキウキしていた
当日、恒例行事的な部分のある公的任務という事もあり王都からもかなり離れた田舎ではあったが転身であっという間に現場に辿り着いたのだった。
まあ寒いから助かるけどなんていうかちょっとは遠出を堪能してみたい気持ちもあったりなかったり。
でもここ地図を見る限り相当遠いな、この国がかなり広いとも言い換えられるか。
この国に滞在してる魔王軍の城の方が割と近いっぽいけどこんだけ離れてると余程ちょっかい掛けられない限りはスルーされちゃうもんなのか?誰もその事をわざわざ言及しなかったけど異世界から来た俺としては凄く気になる事です
「みーさん、来ていただけたんですね!今回はよろしくお願いします。よければ空き時間にまた稽古を」
ランスさんはなんていうか真面目で良い子っぽいんだよねぇ、イケメンだからさぞモテるでしょうな
「アンタがみーさんかい、俺はベルーガ、ランスの小僧にはある程度話は聞いてる。よろしくな!」
ちょっと怖そうに見えたけども話し方や雰囲気からするとむしろナイスガイな気がするな。
ベルーガさんね、名前覚えるのあまり得意じゃないから気を付けなきゃだ
「ベルーガさんは色々あってB級になっちゃったけど元はA級でかつてはゼストさんパーティーのライバルだった程の猛者なんですよ。ウチのカリーネの弓の師匠でもあるんだ」
「ハハハ、同じ村出身で狩人同士ってだけの話さ。それに色々って程じゃねーよ、気に入らない貴族とケンカしちまってな。それよりアンタら狂魔戦士と仲いいんだってな?あのガキだけは本当許せねえ!!帰ったら文句言っといてくれ!」
リリィさん何しちゃったんだろう?他の3人は若干困り気味な感じ出してるけど俺は既にリリィさんのアカン部分知っちゃってるからこの人に謝ってあげたい気分だよ
「下手に逆鱗に触れて襲って来たら怖いからやめとけって。あ、俺はカーシャルだ、よろしくな」
「俺はメビン、ライオウやバスティーを討伐したパーティーに会えて光栄です」
素で褒められると照れまくっちゃう俺達、でも皆人間的に問題は無さそうで良かったよ。
皆もそう感じたのか、気付くと和気あいあいと話をする程度には打ち解けていた
「お待たせしました、現場の方を見てもらいたいのでコチラにお願いします」
養鶏場ってマトモに見た事はないけど3階もあるんだ?ってかなり狭いな。
生前チラっと劣悪な養鶏場の環境の話はニュースで聞いた事あるけど…これはどうなんだろうか?
「高位の冒険者皆様、本日は依頼を受けて頂き誠にありがとうございます。私所長のソークと申します、お見知りおきを。早速ですが事務所にて宿泊する準備は整えておりますのでご自由にお使いください。それから食事や酒も沢山用意してありますので遠慮なくお過ごし下さい」
太っ腹だねぇ、小太りの中年だがやたら愛想いいのは何故だろうか
「それでは遠慮なく使わせて貰います。所で実際の流れなのですが…この中で討伐という事は無いですよね?」
ソレな、ちゃんと聞くこと聞けてランスさんは偉い!
こんだけ狭くてコケッコさん達が密集してるとやり辛い気がするんだよ。動物好きの俺としては他の子を傷付けたくはないし
「そこ辺は…おいボカロ!そんなのいいから早く冒険者様をご案内しろ!」
「も、もう少々お待ちを!」
「何やってんだ全く!お前はいつもすっとろいんだよ!」
ああ、このオッサンこのタイプか。って事は俺達にやたら愛想良いのは何かメリットがあるからだろう。
少なくともA級パーティーが来る事は知ってる訳だから貴族との繋がりとかそんなところか?まあ彼等の内情に関与する気はないから捨て置くか
「お待たせしました。それでは流れを案内させて頂きます」
どうやらただ退治するというだけでなく魔物化が発生したらここに居るコケッコを一斉に外の広大な牧場に放つのが流れらしい。
密閉した空間から解放する事でストレスを発散させ、一日様子を見てから戻すんだそうだ。
魔物化が発生したらスタートらしいが発生しなくても明後日には解放して一日置いて戻す。その際の監視および発生時の退治が俺達の仕事といった所だ。
何これチョロくないすか?結構すばしっこいとは言え所詮はニワトリっすよ?魔物化したとてって感じはするが一応油断はしないでおこう
一通り流れを聞いて今日は終わりとなった。
ランスさんが今回のリーダーという事で話は進み、所長さんはやたら媚び売って来たけどそこまで冒険者相手に媚び売るメリットとかあるのかな?とにかくこれで今日は終わりなので用意されてるご飯やら酒を楽しもうではないか




