大喧嘩は解散の危機で おまけ
私はネネ、リリィの幼馴染さ。同い年なので仲良く三十路を邁進中だけどあのバカはなんかやたら若いのは気のせいだろうか?なんか薬があるなら私も欲しい所、今度ねだってみるか。
何もない村だけどこんな感じの田舎が好きな私はよく誤解されるんだけど別に自然とかが好きなわけじゃないんだよ、虫なんて大っ嫌いだし。ただ人が多いのとかごちゃごちゃと狭っ苦しいのが嫌いなだけ。
遊びに行く分には都会は好きだけどちょうどリリィが足になってくれるから田舎で充分なんです。
そこそこの美貌がある私はそれなりに気に入った旦那を捕まえたし、男共もチョロいもんだし、村でもアンタッチャブルなリリィとも唯一仲良くしてる事から誰もケチ付けて来る事は無くなったので喫茶店やりながら悠々自適に過ごしてるって訳さ。
まあ、リリィが居なかったらそこそこはねっ返りだった私も悪目立ちして過ごし辛かったかも知れないけどそこはなんやかんやとリリィのお陰で田舎特有の陰湿さなんて無縁の生活を送れてるから私にとってはいい所なのよ。
んでそんなしがない村娘の私はちょっと刺激が過ぎる事をたまに味わう事がある。
幼馴染のリリィ、冒険者になって気付くと世界最高峰のどーのこーのだったり、泥棒?なのか分からないけどそんな事始めたりしたと思ったら気付くと最重要っぽい秘密を共有させられてたり…そんな爆弾ネタばっか持ってくるポンコツ幼馴染が一昨日、これでもかくらい泣きじゃくって家にやって来た。
旦那は本気でリリィを怖がってるのですぐに部屋に籠りだし、子供も同じく部屋に閉じ込めて話を聞いてみようと思ったら話辛いという事でリリィの店に連れてかれた
「クスン…実は…」
なんでもみーさんと大喧嘩してしまったとか。
最初はみーさんが色んな女においたしまくってたという話で私もそれはやり過ぎだなって思ったんだけど…だんだん意味が分からなくなってきた。
ワモール台地?青空草?単語としてはリリィから聞いた事あるけど何故そこに?更に人どころか村が消し飛んでもおかしくない技をみーさんに撃たれて…ってそんな事するタイプの人だったっけ?んで何?誤解だった?ジェノサイダーズ解散の危機?それはみーさんからすれば良い話なんじゃないかな?私もあの場所を共有してるのってちょっと怖いし可能なら関わりたくないんだよ。
辛うじて話になったのは最初だけで後はもう捨てられるとかそんな事ばっか。
これはみーさんに話を聞いて見る必要があるな!って事で聞いてみたら明後日ちょうどみーさんは1人で釣りに行く日の可能性が高いとか何とか…コイツなんでそんな事知ってるんだろう?まあそれは置いといて…ジェノサイダーズ絡みならあの仲間達が居る所で話すのはマズいからみーさん1人を捕まえなきゃならない
「よし、明後日私がみーさんとっ捕まえて来るから今日はもう帰るぜ」
「ネネが私を捨てるぅぅ!!」
面倒くせぇ……だが私もコイツの魔法とかよく利用してるからあんまり無下には出来ん、仕方ないから付き添ってやるか
そんなこんなでみーさんを捕まえる日になった。
早く解決した方がいいな、まさか1食も食わないなんて…余程応えたと見える、なんていうか普通に恋する乙女じゃねーか。
でもごめん、多分だけどこんな面倒くさいのは無理なんじゃないかな、みーさんがあの見た目の年齢のままなら体で押し切れるだろうけどあの人話してみると普通に歳上なのバレバレだし多分それなりに女との経験もあるだろうからこんな地雷にゃ靡かないだろうよ
「お久しぶりです」
割といい男なんだよな、割とじゃなくて普通にいい。スタイルもいいしなんか気遣いというか接し方も分かってる感がね。
若者には分からんけどある程度歳行った女にモテるタイプだろうよ。
旦那以外男を知らない私としては…リリィの件でいよいよともなったら1回位つまみ食いしてなんとかリリィとの仲を取り繕う位してやろうかねぇって思ったり
「みーさんからの話も聞いてみたい所だよ」
あんのバカ!!話が違うってか肝心な所端折り過ぎだろうが!!
これやべぇな、普通に考えたら縁切られてもおかしくねーぞ?だいたいいくら変態だからってそんな皆の見てる前であけっぴろげに纏わりつくなんて事は流石にしないから何かあるとは思ったけど伝説上の生き物が出て来るなんて聞いてねーよ!これ普通にみーさんも被害者じゃねーか。
ヤバいヤバい、このままじゃリリィは縁切られるぞ…私が逆の立場ならもう関わりあいたくないもん。
仕方ない、幼馴染の為だ!なんとか元の仲位に戻るよう一肌脱ぐか。
まずはどう見ても責めまくるには無理があるセクハラの件はリリィが未熟だから仕方ないって感じにしてその件は触れられないようにする。
だって絶対リリィは草焼かれただけじゃなくてそっちのヤキモチも入ってたと思うし。
「捨てないで下さいぃぃぃ!!」
いや、そもそもお前の所有者になってないだろ?駄目だ、多分リリィの中ではもうみーさんは完全に相方だと思い込んでるな、流石に恋人ではないだろうが。
これがバレたら多分本格的に距離置かれるからなんとかしないと…
「抱き枕」
なんて?
「抱き枕になります!」
よし!突破口が見えた!しかもこれは落とすチャンスかも知れん。
リリィだってこうやって経験を経て行けば少なくとも恋愛関係ではマトモになれるかも知れん。
そうだよ、リリィに足りないのはこういう所だったんだよ!まかり間違って子供でも出来れば大逆転だってあり得るぜコレは。
だが落ち着け、まずはこれをそんな仰々しい事ではない風に、気楽に見せないとみーさんが断りかねん、どう見ても地雷案件だからな。
「後腐れなしで大丈夫だろ?」
「は、はいぃぃ!」
よし、言質取った!このバカ頭いいんだか悪いんだか分からないがこういう所はしっかりしてるから下手な事になっても後腐れ無しならなんとか丸く収まる筈だ
夜泊まるとなると理由付けが難しいって事で明日の昼前位から抱き枕タイムという話に落ち着いたが…どうなるだろう、今のうちにリリィにある程度作戦をって思ったら一転して元気になり出したよ。
余程お腹空いてたのかアホみたいに飯食ってやがる
「ちょっと良い生地買ってくるのでネネは待ってて下さい!」
良い生地?ネグリジェでも作るのか?まあそういうのを気に出来る様になったと思うとリリィも成長してたんだなと思う。
万が一大失敗したとしても私がつまみ食いしてスッキリさせてやるという選択肢も必要なさそうと見ていいか
リリィが帰宅するや否や、裁縫を始めたので退屈だった私は美味しそうな晩飯を買いに出掛けた。
つい買い物を楽しんだり色々回ったから遅くなったけどリリィもちょうど終わったっぽいから良かったか。
てかこいつそんな裁縫得意だったっけ?まあリリィだしきっとマスターしたのだろう。
「いいかリリィ、生地まで気を使える様に成長した以上多くは言わない。ハッキリ言って望み薄だとは思ってたが既成事実さえ作ればこっちのもんだ!頑張れのよ!」
「はい!満足するかは分かりませんがやったという事実が大事ですからね!」
うんうん、リリィも成長してたんだな。最近色んな友達が出来たって楽しそうに話してたけどやっぱそういう人間関係は大事だよ、人を成長させるもの。
前はこんな話しようものなら照れてろくに話せなかったもんな
「みーさんだってリリィが初めてだってのは察してるはずだから大丈夫だろうよ。まずはどんなもんなのか試すくらいの気持ちでいればいい」
「そうですね、こんな経験…恐らくみーさんにしかする事は無いですからね」
一途だねぇ、私もつまみ食いとか言うのはやめておこうか。
それよりここまで腹決めてるなら変に話すのは野暮だな、いつものように雑談でもしておこう。
親友の大人の階段を登る前日に必要なのはきっといつもと変わらない一時だと思うし
いよいよ当日になった。あのリリィが遂に…いや、変に期待しちゃ駄目だ。失敗だったり色々な可能性があるからな。
まずはリリィがちゃんと女としての一歩を踏み込むという行為こそが大事なんだよ、どんな結果であれ私はそれを尊重するのが親友の役目さ。
リリィは準備するから待っててと言ってたがみーさんの方に行ってみよう
「遂にこの世界に来て初めての接続ですな…うん、落ち着こう。別に俺は初心者ではない、それなりにはやってる男さ。落ち着くのだ!あくまで今回は言うなれば圧着、中スリーブって所だな。世間一般だと皆のサイズはテンロク(1.6)だが俺は2だからね。許容範囲のサイズだとは思うのよ、最も2.6なんて大きく出るつもりは、ないがね!!AHAHAHA!」
この人何言ってるんだろう?そうか、リリィと仲良く出来るヤツなんてどっかおかしいに決まってるか
「みーさん?調子はどうだい?」
「やあネネさん。調子は…ボチボチだね。絶縁は問題無かったよ」
何言ってんだコイツ?
「それが何かは分からないけど…まあお手柔らかに頼むよ」
「大丈夫です。ボクは2ミリで200ボルトですがむしろ200ボルトの方がアンペアは減るので安心ですよ。最も、リリィさんのワットが上がりすぎると許容量を超えて、短絡してしまうかもですが…ね?」
うん、訳分からん。コイツの何処がいい男だったんだっけ?
「よく分からないけどこれで仲直りしてくれればいいさ」
「ご安心下さい。短絡こそしてしまうかも知れませんが地絡は…ボクはしませんよ。最もリリィさんは地絡しちゃったら仕方ないですが…ね!」
うん、よく分からんが殺されてても文句言えないかも知れないね
「ビニテは無いけど代わりにねばのーる君で絶縁出来る様にしてある俺は一端な戦士なのですぞ!リリィさんに被覆を剥いてもらいたいとかそういうのはハードル高いのであくまで今回は接続!コネクタに集中するのです!3芯…おっと、それはマニアックが過ぎます…な!」
……とりあえずリリィの所に行こうか…な!
そしてリリィの所へ行くと驚愕な事が起きていた!!
マジか……そう言えば……うん…確かに会話的には成立してたか……みーさん、ごめんよ。
そうなんだよ、この子だいたいこうなんだよ。
まともだって見ちゃ駄目だったんだ
「では行きますのでちょっと手伝って貰えますか?」
「あ、はい…」
部屋の前まで来たので先に行ってちょっと謝っておこう。ごめん、コレは無理だわ
「ネネさん?なんかドスンドスンって音が聞こえたけどコレはいったい?」
「みーさん…なんかごめん。今のうち謝っとくよ…どうしても収まりが効かないってんなら今度私が相手してやるから勘弁してやって…ね?」
「え?それはいったい…」
「みーさん、枕になって来ました!で、では…その…抱き枕にして下さい!!」
「お、おおぅ……」
一言で言うなら…寝袋だな。良い生地で作られた大きな袋にリリィが入った状態でみーさんとお昼寝って所か
「う、うん…じゃあその…寝ようか?」
「は、はい!!」
私は何も言わず出ていった。一応万が一があると思ったので隣で聞き耳を立てていたが
「み、みーさんくすぐったいですぅぅ!」
「うん、まあコレはコレで…どうせなら抱きつきまくってやるぅぅ!」
「は、恥ずかしいですよぉぉ!?ほ、ほぺまで!?」
意外と楽しんでると思ったら割とすぐに音沙汰無くなった。本当に寝たなこりゃ
3時間くらいして見に行くとろくに寝れてなかったリリィがぐっすり寝ていた、みーさんを枕に。
対するみーさんは諦めからなのか起きてるけど虚無になってる。動こうとすらしていなかった
「これでジェノサイダーズ解散は無しですね!」
「う、うん……」
「リリィ、ちょっとみーさん送ってくよ」
疲れ切ってるみーさんの背中が哀愁漂ってたので送ってあげる事にした
「えっと…ほら、なんていうかリリィだしぃ」
「なんかちょっと…いや、割と凄くこんな事な気はしたんですよ。でも本人かなり本気じゃないすか…もう何も言えなくて」
「でもアレはアレで抱き心地良かっただろ?」
「そりゃまあそうですけど…」
「本当、なんかごめんな?どうしても収まらないならほら、私が今度相手してやるからいつでも言いなよ?」
「そ、それは魅力的な話だけど……大丈夫っす。大人しく帰りますわ」
なるほど、みーさんってなんやかんやとお人好しなんだな
「安心しな、ちゃんとタイミング見計らってあの抱き枕が如何にバカな行為だったかはキッチリ詰めとくから」
哀愁漂ったまま帰って行ったみーさん。リリィよ、申し訳無いけどみーさんとくっつきたいとかいう感情があったとしたらかなり厳しいもんになると思うぞ




