楽しみは不意打ちで 2
「魔王軍の強さは侮れない、お互い油断せず戦って行きたいですね」
「そうですね」
クリスと勇者様が握手をするとおそらくカメラマン的な人がいくつも写真を撮ってたと思われる。
元いた世界のカメラと見た目は似たような物だが魔力的な物が照射されてるのであれが多分画像をどうこうしてるのかと思う
「コチラの方がヤマト村の魔導士様ですね?お互い世界平和のために頑張りましょう」
「はい」
まゆもにも挨拶するとそのまま立ち去って行った。足早にではないけどなんだったんだろうか?
「あれはグラン帝国の冒険者ですね。あの国ではある程度の功績を持ち、先々にも期待の持てる冒険者に勇者の称号を与えてるんですよ」
びっくりしたぁ!?いつの間にかメロニィが後ろに来ていた
「それって凄い事なんじゃないかな?」
「アチキからは微妙にしか見えーぬ」
俺も勇者って称号は凄いと思うが…そういえばメロニィって勇者とか称えてそうな感じだったよな?
「完全にとは言い切れませんがハッキリ言ってまがい物ですよ。知っての通り私は勇者様を求めてた時があるので当時の私はグラン帝国の勇者の記事なんかはよく見てましたし調べてました。その結果…」
「「結果?」」
「昔はちゃんと純粋に強い人とかを選定してたそうですが今では貴族で腕に覚えのある人がそれなりな魔物を倒した功績で得られるちょっとした勲章みたいな物になってるそうです。あの勇者さんもそれなりな家の者で半分余興で冒険者的な立ち回りをしてるに過ぎません」
「そんなもんなのか。んでそんな勇者様が何故メロニィパーティーへ?」
「おそらくですが魔王軍将軍の討伐をしたパーティーと意見交換をした、みたいな宣伝をする為かと思われます。我々は他国なので忖度は無いですがグラン帝国での勇者は結構な宣伝効果になるらしいのと、庶民や冒険者から見てもそれなりな栄誉として扱われてるのも事実らしいですし」
「なるほどねぇ、だから俺達のパーティーとやり取りした絵が欲しかった感じか」
「魔王軍将軍討伐をした人達と暗に同格みたいに見せられるような記事が近日中にグラン帝国で発行されると思います。私としてはそういうハッタリっぽいのは好きではないのですがそれなりに戦えてて最低限冒険者として活動はしてるのも事実らしいですから全否定は出来ないなっていう微妙な人達です」
まあ、それで士気が上がるとかあるんならそう悪い話でもないのか、なんて思ってたらまたこっちにやって来た
「コチラに居ましたか。本日主役のメロニィさんに挨拶しなきゃ締まりませんからね」
それはその通りだな
「どうも、本日は御足労頂きありがとうございます」
「いえいえ、魔王軍将軍の討伐をしたパーティーの1人の誕生日にお祝いさせて頂くなんて光栄の限りです。誕生日おめでとうございます。これからも共に世界平和のために頑張りましょう」
メロニィとも握手をして写真を撮っていた。実はおっさんの俺は何となく分かるが彼等側のこの活動も意外と大変なのはなんか分かるのであまりハッタリ臭いとか思わないようにしておこう。口の利き方や態度から察せるけど言うなれば芸能人というか、笑顔が崩れない所とか見るとそっち方面でかなりやって来た人なのだろうよ
「そうですね、お互い魔王討伐の為精進致しましょう。ところで我等がパーティーの主戦力たる」
メロニィが面倒な事を言いそうになった時、思わぬ人物が声を掛けてきた
「確か…魔王軍将軍の討伐をしたパーティーの…みーさんで御座いますかな?」
白々しい…だけど我々の仲は秘密なので仕方ないか
「あ、貴方様は…ニップル伯爵!?ご挨拶が遅れました、この度は私の誕生日パーティーにお越しいただき」
「良い良い、そう畏まらないでも。本日の主役は貴女なのですから。それよりみー殿、と申しましたな?よろしければコチラでお話を」
このニップル伯爵という紳士っぽいじいさんは例の店に初めて来た6人の内の1人で常連さんだ。
かなり大物とは聞いてたけどまさか勇者様陣営の人達まで萎縮させる程の大物だったとは…魔石がどうとか聞いてはいたけど相当な人だったのか。
でもちょうどいい、俺も話しておきたい事があったんだよ
「じゃあちょっとお話してきまするぞい」
「は、はい。みーさん、くれぐれも粗相の無いように」
メロニィのビビり具合からすると相当大物なのだろう
「まさかコチラに来ていらしたとは、ちょうど良かったです。実はとても喜ばしい情報がありまして」
「おぉ〜!!流石みー殿!これは期待してしまってもよろしいのですかな?」
「期待してもいいと思われますが…同時に極めて高度な話にもなりますので慎重さが問われまする」
俺が話したい件はちょっと危険な話でもある。
どんな話かというと先日のリヴァ様の一件だ。
あの時、夜遅くになるとリヴァ様がお風呂に行ったんだがポセ様と二人っきりになった時、俺がこういう事業を秘密裏にやっているという話をした。
だからなんだと言わんばかりのポセ様だったがここで、ポセ様の特技の話を照らし合わせたのだ。
ポセの特技、それは声色変化だ。
これらを纏めると極めてレベルの高い遊びになると話したらポセ様もだんだんとイメージが追いついて来て、気付くと一枚噛むという話になったのだ。
とは言えポセ様もかなりヤバい部類の神獣なので不意に来られたりはマズいという事でコチラの下準備が整い次第、ポセ様直通の合図を送る貝殻を俺は預かっていた
「なんと!?あの神話に出て来る様な神獣様達と…流石、流石にございまするぞ!それに声が…写真もあって声も…ああ、ああぁぁぁ……」
感涙しておられる…いくら俺でもコレで泣く事は出来ねぇ。このじいさんもまあレベル高いな
「まだ深くは聞けてませんが神獣程ともなるとこれが我々の使ってる魔法と同じ物なのか?とか疑問もありますからね、その辺も含めポセ様と話し合いつつ上手い事やりたい所存であります」
「大いに期待しておりますぞ!みー殿、この場なら大丈夫だと思いますので私の密かなる想いを話させて頂きます」
改まってなんだ?
「どのような秘密でありますか?」
「私は……最初から憧れておりました。あのせいら様に…引っ張られて、踏まれて、罵倒されたい!!」
うわぁ…じいさんの性癖をカミングアウトされるのキツいわぁ!しかし大物、無下には出来んしせいらさんって魅力たっぷりだから仕方ないか
「疑似せいら様も、本格的に作れまするなぁ〜」
「ぁぁぁああ…い、いかん!落ち着かねば。この事が話せて良かったですぞ!あの御方が居る所で話してしまったら実は聞かれてたなんて怖さがあって話せずにいたのですよ」
その気持ちはなんか分かる。あの人なら盗聴くらい出来そうだ。
その後色々話をしてたら秘書的な人が挨拶をしたがってる者達との時間がなくなるとかでこの会合はお開きとなった
「みーさん、ニップル伯爵と何をそんなに話してたのですか?」
「なあに、魔王軍との戦闘の事とか色々だよ」
「なんか君達が仲良く話して以降、こっちに声掛けてくる人が居なくなった気がするよ」
そうなのか?あの人そんなアンタッチャブルなのかな
「無理もないです。王を守る剣として、国内1の騎士の家ですからね。あの家の人達は大体誰かしら凄腕の騎士を輩出してますよ。ニップル伯爵こそ剣はそこまででも無かったですが魔石の運用等で多大な貢献をしてる傑物ですからね。セーレ国内で見ると他国で最も顔が利く貴族かも知れないですね」
なるほどなぁ、それがあんなエロジジイってバレたらどうなる事やら。
そんな雑談をしてご飯を食べてたらまた勇者様一行が現れた
「キミがパーティーメンバーの1人で主力なんだってね。挨拶が遅れたよ、よろしくね」
当然の事だと思ってるからいいけど明らかに3人と比べて雑だな
「よろしくです」
「なんだあの態度」
わざと聞こえるように言ったよね?別に無礼な態度を取ったつもりはないが同じくラフに対応したらパーティーメンバーと思わしき大柄な男がなんか言って来たのだ。
メロニィ生誕祭で揉め事なんてしたくないからテキトーに流そうと思ったらまゆもくぅんが喋りだした
「グラン帝国の冒険者が態度が悪ぽん……かえで姉さんに伝えるぴょ」
「かえでって…絶望使いの!?」
なんて?
「し、失礼しました!わ、我々その…貴族なので庶民に対する対応がマチマチになってしまいその…決して態度悪くしていたのではなく…」
「そう!庶民と距離が近い事をアピールしたかっただけなのでございます!かえで様にも是非そうお伝え頂けたらと思います!えっと、みー殿でしたね?決して無礼なつもりはなかったのです」
なんて変わり様…ぶっちゃけ心底どうでもいいのでとっとと帰ってくれまいか
「みーくんとかえで姉さんの強さは似たような物なので、その態度は滑稽に他ならぬやでぇ、きょきょきょ!」
「そ、それはどうも失礼しました!」
なんとか去ってくれた。どうせなら結界で閉じ込めて放置ごっことかやりたかったよ




