絶望には欲望で 3
「ま、誠に申し訳ありません。まだ発見には至っておらず…」
「モ、モウシワケナイ…デス」
「も、勿論毎日全力で探してはいるのですが…我々は人間のテリトリーに入り過ぎると討伐対象になりますのであまり……いえいえ、勿論見つかる算段がつくなら全然行きますし、討伐に来るヤツなんて返り討ちにしますがその後探しにくくなると」
「ヤ、ヤムオエズジミチニサガシテルノ、デス」
「分かります、勿論分かっております。ただ出来ればもう少し手掛かり…い、いえ!何でもないです」
ガメさん側は何を言ってるか分からないけどネクロマンサーとグリフォンはビビりまくってるじゃないか、とりあえずそのまま皆に伝えとくか
「何を…やってるのでしょうかね?」
「ネクロマンサーとかグリフォンって相当な猛者だよね?そんな魔物がビビりまくってるってやっぱりあの亀さんはヤバいんだね。でも何か探してる感じって事は変な話魔物もいい迷惑してるって事なんじゃないかな?」
「みーくん釣り人作戦するかえ?」
バカ、思い出させるな!
「ちょっ…まゆもちゃん、それは流石に」
「ブフッ!わ、笑わせないで下さいよ。結構深刻かも知れない時なんですよ?」
「面白そうではあるけど残念ながら今回は変装道具持って来てないからなぁ」
この時、魔物の会話が
「み、見つけられたのですか?どちらに?」
「キ、キカレテルノデスカ?」
どうやらガメさんが俺達に気付いたっぽいです。
さて、逃げよっかな
「皆、マズい!ガメさんに気付かれたっぽいぞ!面倒だから逃げよう」
「バレてしまいましたか!で、では転身で逃げましょう」
メロニィが転身を唱えようとした時、空からグリフォンが
「た、確かに人間が居ました!コチラの方々に間違いないですかね?」
え?俺達の事探してんの? てか流暢に喋ってたのグリフォンだったのか?ネクロマンサーの方だとばかり思ってたわ
「お、お待ち」
俺達は家に戻っちゃいました
「どうする?なんか俺達の事探してたっぽいしなんか口調的には敵対視してる感じでも無かった気がするぜ」
「転身で逃げたのは早計でしたかね…でも流石に神獣クラスの者とは」
「でもアレだよね?話の流れ的には神獣が私達を探してたって事だよね?神獣が探してたとなると本当の意味で逃げ切れるものじゃない気がするからコッチから顔出す方がいい気もするよ」
「とりあえず…」
お昼にする事にした
「何があるか分からないからこそ、食後のまったりタイムを満喫しとこうじゃないか」
「そんなのんびりして…って言いたい所だけどもう既に1時間くらい放置してるから気にする事もないかなぁ?」
「そうですね、一応言い訳は考えておきますか」
「皆で考えるぴょ」
誰が1番良い言い訳を考えられるか大会が開催されてしまった
「そろばん塾があって仕方なくでいいと思うぜ」
「万が一やってみろって言われたら厄介だから私はお腹の調子が悪かったでいいと思うよ」
「ラーメンスイッチ入ったで行きたいぼぅん」
「神獣絡みですので真面目に考えましょう、私としてはクリスの案が妥当かと思いますが…熱っぽくてとかも加えますか?」
真面目に考えてるつもりなんだぜ、10%位は
「それなら肘が痒くて気になってそろばんをやる事を考えてたらラーメンスイッチが入ってどうしようか悩んでた所、思えば朝から微熱っぽくてお腹の調子も良くないのにこんなに頑張ってたみーくんってのはどうか?なるべく俺達良い子だったって感じにしたいし」
「詰め込み過ぎだよ!もう少しシンプルにした方がいいんじゃないかい?コッチも確かな事情があると仮定するなら許しを請うような感じにする事もない訳だし」
おお、クリスが鋭い事言った気がする
「ぴにゃ!いっその事アチキ等では無く向こう側に責任を持たせるのでぇす。グリフォンのフォンの部分が何故ホンじゃにゃいのか?そしてどのあたりがフォンでグリなのか?そこを問い詰めるのでぇす!」
まゆもくぅんが鬼畜らしい無茶ぶりを言い出した気がするけどこの時間がすごく不毛な気がしてきてのはあえて触れないでおこう
「なるほど、あくまで相手に問題をなすり付け論点をズラすのですね。言ってる内容は全く理解出来ませんがその意気は良いかと思います」
メロにゃんもなんか変なスイッチ入ってないか?
結局これといったものは決まらずオヤツの時間になったのでオヤツを食べてゆっくりしてたら日が暮れて来たのでまた明日という事になった
「だ、大丈夫ですかね?なんか皆さんのゆるい空気感に呑まれて放置しましたが改めて近付くにつれシャレにならないのでは?という思いが出て来てます」
今回は場所も何となく分かったという事で釣り用の為の転身魔石で海岸へ来た訳だがどうもメロニィの感じからするとこの辺で既に何かを感じ取ってるっぽい。
そう遠くは無いが姿が視認出来る距離ではないのであのガメさんは相当だという事か…そう考えると今でこそまたビビりだしたメロニィだけど昨日寝る前くらいになると1番おかしくなってたメロニィはまゆもバリに肝が据わってるなって思うところです
「いい?いきなり言い訳するんじゃなくてまずは普通に、堂々としておくんだよ。聞かれたら応えるでいいんだからね」
俺を盾にして俺に喋らせようとして来るクリス様、リーダー任せって言ってやろうかしら
「よし、そろそろ昨日の場所に…ってまた同じ所に居るな」
今回はクリスの言うように堂々と対面してみる事にした
「どうも、昨日はなんか俺達を探して」
「お、お待ちしてました!やった…これでやっと」
「ナガカッタ、デス」
どういう事?と思ってたらガメさんが喋りだした。近くで見るとかなりデカいしゴツいな
「おつかれ様ッス、この魔力…間違いないッスね。それじゃ帰っていいっスよ」
「あ、ありがとうございます。ま、また何かありましたらいつでも仰って下さい。では」
魔物も社交辞令とかするんだな。めっちゃ顔が引きつってますやん
「シツレイスルノ、デス」
両者ともかなり疲れ果ててる御様子…可哀想だから伝えとくか
「何があったかは知らないけど、ギルドの連中がオタクらが居て怖がって調査の依頼とかして来たから、人間にどうこうする気が無いなら人目の無い所に行く事を勧めるよ」
「そ、それはありがとうございます!それでしたら自分は人里離れた地に暫く籠る事にしますので…では神獣様、またもし何か縁がありましたらという事で」
「ワタ、ワタシモヤマオクデヒッソリクラス、デス」
コイツら一転して嬉しそうに…さてはもうこのガメさんに呼ばれないように逃げる大義名分が出来て喜んでやがるな
「それでは失礼します」
嬉しそうな顔して俺達にも頭を下げて帰る魔物達、その背中は何処か哀愁漂ってた訳だがとりあえずこれでクエストはほぼ完了でいいかな。
俺としてはもうこのまま帰りたい訳だが…
「探しましたっスよ。我等が眷属の恩人さん達、昨日は何故いきなり話も聞かず帰られたんスか?」
アレ?もしかしてお怒り?間近だから何となく分かるけどこのガメさん…キューちゃんよりヤバくねぇか?
ど、どうしよう…グリフォン達のあの感じの理由がなんか分かったわ、コイツはちょっとヤバいな。
なんとか機嫌を損ねないようにしないと…なんかイカつくてゴツい割に目が可愛いんだけど、それが逆に怖い。表情も読めないし
「あの、ええっと、実は…昨日はたっくんが洗濯する日で」
「タイム!ちょっとごめんなさいね」
クリスが割って入って来た。なんだというのか?
「なんだよ、今大事な所なんだから」
「なんだよじゃないでしょ!なんなのさ、たっくんって!?全然話が違うじゃないか!昨日の話し合いはなんだったんだよぅ!」
「うにゅ!フォンよりふぉぉおんにする交渉はどうするなのか?」
俺が言うのもなんだがコイツ等頭おかしいんじゃないだろうか?
「あの、あの…神獣様の御前デス、よ?も、もも、もう少し…」
コッチは一転してビビりまくっておられる…ライオウ相手にも一歩も引かず啖呵を切る狂僧侶さんがここまでだと俺も怖いッス
「あ、自分神獣とかじゃないんでご安心くださいッス。神獣の小間使いみたいなもんッスから」
「そうなの?」
それを聞いて安心したのかメロニィはその場で座り込み俺達も改めて話を聞いてみる事にした。
どうやらライオウと戦ってた時にギャンザクの船から出て来た魔物が神獣の眷属である稚魚を食べようとしてたタイミングで俺のきゃめはめはが炸裂し、その稚魚を救った…との事だが
「コチラがその子でございますッス」
「ありがとー、ありがとー」
うん、可愛らしい稚魚…って見た目ただの金魚じゃねーか!!
こんなん分からんし助けたつもりもないしなんならそのギャンザクの部下も食べようとなんかしてないと思うぜ?
完全に誤解してるだけだと思うけど…関わってるのが神獣という事ならテキトーに話を合わせて丸く収めよう。
皆の顔見れば分かるがおそらく思ってる事は一緒だろう
「皆さんが見つかって良かったッス。自分が歩き回る訳にもいきませんし、呼び込んでみたそこそこ強そうな魔物達も疲労の限界が見えてたッスからね」
「いやぁ、そういう事ならもっと早く来れば良かったですよ。それにしてもガメさん程の者が小間使いなんて、その神獣様も相当な御方なのでしょーな」
「じ、自分はそんな大した事無いッスよ。ガチシャチが自分を見て何も言わず去って行くようになったのもここ500年位の話ッスからね」
多分相当凄い事だと思うけどこの海の生態系はよく分からんです
「そんな事ないっすよ。それに見た目も強そうでカッコいいじゃないすか!頼りになりそうで羨ましい。俺が生前やってたアプリのゲームのガメさんもイチオシキャラだっただけに尚更です」
「何の話かは分かりませんが…ガメさんって呼び名、良いッスね。気に入りました!これからはガメで行こうと思います。それにこんな褒められたのは初めてっスよ」
「そんな御謙遜なさらず」
なんか仲良くなれた気がするけどそろそろ帰ろうかなって時
「それでは我が主もお呼びですので一緒に来て頂いてもよろしいっスかね?」
なんか怖い事言ってきましたよ…俺達ゃ浦島か?
「あ、あの…それって神獣様と御対面という事ですか?」
だいぶマシになったけどまだちょっと恐れてるメロニィが恐る恐る聞いている。
俺もその辺気になるのだけど…断れないかな?
「そ、そういう事になるッス。皆さん良い人なのであまり口にするのはよろしくないのですが…何分苛烈な所もある主ですので断るとかはちょっと…すんませんッス!自分にもう少し力があればなんとか自分の裁量でお帰り頂く事も出来たんでしょうが自分にはそんな裁量は無いですし判断を間違えると……」
なんか逆に謝られちゃったよ。これアカンやつじゃないのか?
「ま、間違えるとどうなるんですか?」
クリスが聞いちゃいました。気になるけど聞きたくないですぅ
「あの御方は癇癪で地上を海に飲ませるくらいの事はしちゃうので…皆さんには大変申し訳ないですし他の神獣達から一斉に自分が責められてしまうッス」
「ガメさん程の御方でもそんな事になるのか?」
「自分如きでは会話がやっとッスからね」
「その神獣というのはもしかして海の…アレかえ?」
まゆもは何か知ってるのか?
「え!?まさかアレ?」
「海と聞いたらそうとしか…」
どうやら皆知ってる系の話っぽい
「そうッス。海のアレっス。人間にも知名度が高くて話が早いッス」
メロニィ先生に説明を受けた俺はなんか色々納得してしまった。
日本でも、元いた世界でも割と馴染み深い名前だったのに驚きだがそれは置いといて、神話とか詳しくない俺でもアレがシャレにならない立ち位置なの位は分かります。
この世界には神獣として、確かな存在として居るんですね
リヴァイアサン




