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絶望には欲望で 2


 お金に大分余裕が出来た俺達は悠々自適に過ごして居たらギルド職員さんが家に来た



「リンガー国の一件、お疲れ様でした。また魔王軍将軍を討伐したとか王子を弟子にしたとか色々話は来ております。お陰様で我々ギルドにもリンガー国から独自に手当ても頂きました、ありがとうございます」



 最近こちらに顔出すようになったけど気遣ってくれてるのかな?



「王宮内でも少し風向きが変わりつつありますがリンガー国との関係は良好という訳ではないですからね、ギルドの方に直接というのを聞くと私が知るよりも関係はよろしくないのかも知れないです」



 色々知ってるメロニィさんは頼りになりまするなぁ、もし両国喧嘩しだしたら俺はリンガー寄りになる気がするなぁ



「俺はコルト君寄りになっちゃうぜ。ところで、今日はそれを言いに?」



「一つはそれです。もう一つは以前話しましたが海岸で目撃されてるネクロマンサーとグリフォンの件です。

 度々目撃されてますが相変わらず実害はないようで、こちらとしましても対応が悩ましい事案なのです。

 あの辺りに用があって行く人は限られてますので注意喚起だけでもと言いたいところなのですが、居座られるには厄介な魔物ですので。

 それにしてもグリフォンとネクロマンサーが一緒なんて事例がまるで理解できません、まさか仲良しこよしなんて事も…発覚しましたらそれはそれで功績になりますよ」



 そういえばそんな話もあったな。グリフォンは過去にぶっ飛ばした事あるから良いとして、アンデッド系はちょっと関わりたくない気もする



「そうだねぇ、ちょうど暇だったし明日にでも行ってみるかい?」


「そうですね、ネクロマンサーでしたら私が浄化して見せますよ!」


「アチキもやるでぇす!みーくんたまには見てるだけもええんやでぇ〜」


「そうだね、バスティーの件もほぼみーくんだったしたまには私達も活躍するよ、でもヤバかったら助けてね。グリフォンなんて倒せるか分からないし」



 クリスは自分の必殺技の凄さをまだ理解しきってないのかも知れない。

 グリフォンより格上であろう奴等を既に何度か必殺してるというのに



「んじゃ俺はサンドウィッチでも食べながら見てるとするかな。そのまま釣りしちゃおうぜ」



「皆さん凄い余裕ですね、流石です。それにしても魔王軍将軍のバスティーもみーさんが倒したという事ですか?」



「まあそうだけど」



 この件は掘り下げると砦の事とかあるのであまり話したくないのです



「こう言ってはアレですがもう意味が分からないレベルの活躍をしてますね」



 なんていうかこの職員さん、日に日にこちらを見る目が変わってくるのだが…そんな目をキラキラさせて来られても困る。

 ハッキリ言ってギルドの連中や冒険者達の俺からの印象は最悪なんだけど、こんな手柄を挙げたら目の色変えてくる女も良い気はしないんだけど……何故そんな谷間を強調した服を着てくるんだと言いたい!

 ギルドで見掛けた時は普通の格好だったじゃねーか。

 そんな単純な色気戦略に落ちる我ではないのです



「みーくんちょっといいかい?」



 リーダーが僕を別室に連れてった



「なんだいクリスくぅん」


「キミってばチョロ過ぎだよ!何職員さんの胸元ばっか凝視してるのさ!このまま色気に惑わされていいように使われる前に釘刺しとくよ」



 そんなに凝視してたのか?



「慌てるな、確かに見てないと言ったら嘘にはなるがああいう露骨な攻めで来られるとみーくんも多少は…ね?」



「ね?じゃないでしょ!本当この男はどうしようもないんだから!今回は事前に言われてた事だからいいけど今後このノリで変に利用されたりでもしたら困るから言ってるんだよぉ」



 まったく、俺を何だと思ってるのだろうか



「その心配は無いから安心したまへ」


「どうだか!」



 そんなこんなで部屋に戻り依頼を引き受ける話をしようとすると



「み〜くぅん、み〜くぅん……」



 イントネーションがおかしく、そしてか細い声でまゆもが声を掛けてきた。なんだろうか?



「どうしたのかな、まゆもくぅん?」


「ラーメン…たぺたいよぅ」



 消え入りそうな声で訴えかけて来てるのだが多分ラーメンスイッチが入ってしまったようだな。

 もうすぐ昼だしちょうどいいか



「即席のヤツでいいかい?」


「うわぁ〜い」


「よし、作るか!そうだ、ギルドお姉さんも食べてくかい?」


「よろしいんですか?」



 せっかくなので一緒に食べる事にした。こういう全然絡みのない人の感想が地味に聞いてみたいんだよね




 この世界には冷蔵庫的な物がちゃんと存在する。

 高魔石に冷却魔法が仕込まれてる代物で冷やす止まりではあるけど日本の冷蔵庫となんら遜色の無い働きをするのだ。

 そこに俺の魔法の中で時間こそかかるけど凍らせる魔法も実はあるのでリリィさんから貰った高魔石を利用し冷凍庫も作ったという流れだ。

 以前みーそばをやってから好評だったので自家製麺を大量に作り冷凍保存しつつ、手作りスープも冷凍保存してあるので即席でラーメンが作れるようになっているのだ。

 因みに冷凍庫も作れると言って披露したら凄いねーって半分馬鹿にされた反応を受けて不服そうな顔してたらメロニィが可哀想な子を相手するかの様に冷凍庫もありますよ?ってツッコまれた。 

 ついドヤ顔で俺も言っちゃってたけど仕組みとか考えるとあるに決まってるって後から気付きました



「らーめん、らーめん、らーめんたぺたいよぅ〜」



 まゆもがラーメンやる時にいつも歌ってる歌だ。

 皆ラーメンは好きだけどまゆもは俺バリに好きだったりする



「「いただきます!」」



 果たしてギルド姉さんの評価はどうか?



「凄く美味しいですね、みーさんはお料理も得意なのですね。」



 それなりの評価を頂けたようだ



「みーそばメインで飲食店をやる事も割と本気で考えた方が良いかもですね」



「飲食店を開く予定なのですか?もしよろしければギルド内でも出来ますよ。ちょうど一区画空いてますので」



 フードコートとまでは言わないが確かに端っこの方は空いてたな。

 てかあそこで飲食やってる店員さんって皆同じ会社じゃないのか?



「私としてはギルドよりこっちでやりたいかなぁ」


「僕等の尊敬するリーダーがそう仰るからギルドではやらないかなぁと」



「それは残念です。調理の腕も披露すれば冒険者の方々も色々見直すと思われますけどそういう事なら仕方ないですね」



「とりあえず明日にでもその海岸行ってみようって事でこの話はおしまいですね」



「まず問題ないとは思いますが来週までには済むように頑張りましょう」



 メロニィが来週迄にと言うのは理由がある。

 それは一昨日、お土産を渡しに実家に帰った時に発覚したのだが、なんとメロニィの誕生パーティーを開催するみたいな事になっていたそうだ。

 言うまでもなくメロニィ家の人達はそんなものを大っぴらに開催する訳は無く、今回はライオウ討伐の功績を持つメロニィに対して興味なのかお節介なのかは分からないがそこそこな大物貴族が主催してくれたとかなんとかだそうな。

 嬉しい話ではあるのだがその話を聞いた時、一家揃って顔が引っつてたらしい。

 その誕生パーティーには俺等も呼ばれてるのがちょっと厄介なところ。

 メロニィ家でやるって位なら可愛いものだけど貴族達のパーティーはハッキリ言ってダルいです



「それではそろそろ失礼します。差し支え無ければまた伺わせていただきますね」



 笑顔でお見送りをしたがもう来なくていいかななんて思ってるボクがいます。 


 あの谷間は捨て難いけど



「みーくんってば色香に惑わされて利用されないでよね」


「エロみーくんはお胸で釣られちゃうなのでぇす」


「みーさん…信じてますよ!」


「お前等な…安心したまへ。確かにあの胸はズルい!しかし、アレはないだろ」


「どうだか。まあ大丈夫なのは察せるけどね」



 流石クリス、妙な所でよく気が合うから察してくれたか



「確かにそうですね、でもその上で惑わされたらちょっとショックなのでやめてくださいね」


「これでエロみー過ぎたらアチキは姉御やかえで姉さんに助言を頼むなり」



 皆も察してはくれたか



「ギルドで飲食やったら見直されるなんて言い出すやつの口車なんか乗らないから変な心配はやめてもらおう」

 

「アレは無いよね、ちょっとイラッとしたもん」


「うにゅ、アチキは今後まともに口を利く事は無いとおもうにょ」


「本当、不思議に思うよ。何思おうが勝手だし好きに思えばいいけどコッチが何思ってるか想定する気が無いままよく喋れるよな。コッチが見直してねーんだよって言ってやるべきだったか?」


「そこまでしてあげる必要無いと思いますよ、あの人達はそのままで居れば良いと私は思いましたね」


「まあ単純に言葉選びを間違えただけかも知れんからそう気にする事でもないけどな」



 仲間達が同じ様に思っててくれて嬉しい話ではあるが、俺に対してイラッとしたり口聞かないとか思われたら怖いなんて考えちゃう小心者な俺。

 怖いから愚痴はそこそこに切り上げてクエストの作戦でも話し合っておくか

 


翌日



 特に予定も無いので早速海岸へ散歩がてらクエストをこなしに行く俺達、転身だとダイレクトに現場に突入する恐れがあるので大人しく徒歩で向かう事にしたのだ



「そういえば前もちょっと話題になったけど…みーくんと組んでから道中魔物に遭遇する機会がほぼ無くなったのは気のせい…じゃないよね?」



 そんな事言われても俺は知らん 



「俺は分からんぞ?逆に聞きたいんだけどそんなに襲われるものなの?」



「そうですね、私が担当した転生者達とクエストに行く時もそれなりに遭遇はしてましたので…やはりみーさんが居るからじゃないですかね?」



 俺ってそんな魔物を寄せ付けない体質なのか?



「みーくんの放ってる魔力というかオーラはなんなら禍々しい迄あるにょです」



 なにそれ?初めて言われましたが 



「そうですね、私達はもう慣れたものですがみーさんとまゆもさんは禍々しいオーラ放ってる感じがしますので自ずと寄って来ないのでしょう」

 


 そうなのか?って皆そういうの見えてるの?



「確かに言われてみればみーくんとまゆもちゃんは禍々しい感じの雰囲気醸し出してるかも」



「あ、アチキもかえ?」



 それはなんか分かる…ってそういう事か。

 感覚としか言いようがない部分はあるけど確かに俺もまゆもの独特なオーラとか禍々しい感じはなんとなく感じ取ってたわ。

 それと同じ感覚を皆俺に対しても持ってたってわけか



「物理的に説明はし難い話だけどなんか理解したわ」



「魔物というか人間以外の生物はその辺遥かに敏感ですからね、全部が全部という事では無いでしょうけどその辺察知して隠れてしまうのでしょうね」



 そんなちょっとした気付きの話をしてたら海岸に辿り着いた。

 ちょうどやり合ってた場所にグリフォンとなんかローブを纏った…アレがネクロマンサーか?それも一匹別格というかやべぇ感じがするのが居るけどどういう状態なのだろう?



「早速居るっぽいね、ちょっと様子見た方がいいかな?」


「りーだー、先手必勝というぴーぴょも、ありまするぞい」



 多分クリスの返事がやる側だと分かった瞬間、まゆもはぶっ放すななんて思ってたらメロニィが俺の服を引っ張って来た



「みーさん、いや皆さん。アレはマズイです…逃げましょう」



 割と好戦的なメロニィが逃げの一手を進言するとは…そんなにヤバいのか?



「うーにゅ…あのデカい亀さんはそんなにやばそうなのかえ?」



「私も初めての感覚なので間違ってたら申し訳無いですが……先程話題になってたオーラだなんだって目に見えない感覚的な話あるじゃないですか、アレには実は多少解明されてる部分もありまして」


 どうやら確実ではない様だがある程度のレベルになったり、魔力の根源をどうこうしようとしてる者だったり、修業を常に行ってるような猛者はその辺の感覚を会得してる場合が多い傾向にあるそうだ。

 これはサーチ系の魔法とも異なる感覚らしく、言うなれば勘の究極系とも言える能力と学術的には分類してるそうだ



「なるほど、勉強になるわ。確かにあの亀さんはちょっとやべぇって感じはするけどそれ程って事なんだね?」



「はい…私の場合というか聖職者に属する者は皆さんとはちょっと異なりまして、神聖な力とでも言いましょうか…その手の力に対しては人より察知が鋭くなるのですよ。目の当たりにするのは初めてなので確実とは言えませんがアレは…神獣かも知れません」



 神獣か。キューちゃんですら手に負えないヤツとどうこうなるのはヤバいな。

 よし、撤退!



「分かった!リーダー、ここは撤退して見当たらなかったって事で行きませう」


「そ、そうだね!神獣は流石に」


「でもそうなると気になるにょ。何故、神獣程の者があんな魔物と戯れておるのか?」



 それは確かに気になるな、でも万が一戦闘になったら神獣は多分無理だろ。

 ここはみーサーチで何してるか聞いてみるか?



「んじゃみーサーチでどんなやりとりしてるか聞いてみるかい?」



「あの神獣に掛からないようにすればあるいはいけますかね?個人的には物凄く気になるのでやって欲しい所ですがリスクがデカ過ぎますので何とも言えません」



 確かにリスク凄そう。この距離ならメロニィの転身で離脱も可能だろうけど神獣クラスともなると後で追って来そうだよな



「私も気になっちゃうなぁ…一か八かみーサーチやってみちゃおうか?」



「みーサーチしちゃうのじゃ」

 


 ヨシ、こうなったら腹を括ろう。なるべくあの亀…ガメさんには掛からないようにしてどんなやりとりしてるか調べてみよう


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