やらかしは勘違いからで 18
「せっかくだしちょっと王都回ってから帰ろうぜ、昼食べたいし」
タイマ君の提案に乗って皆で王都探索ツアーが開催された。まずは昼食へ
「いやぁ〜金持ちは、良いですなぁ!おかわりしちゃいますぞ」
大金が入ってウキウキの俺達は結構お高そうなお店で昼をがっついていた
「今日はお土産も買わないとですね。私はとりあえず家族と一応最低限、部署の人には買っておくとしますか」
「アチキは…どれくらい買おうかのぅ」
「私は家族に友達に…姐御とリリィさんにも買わないとだね」
俺は店の人達にも買いたいところだがなんて名目にするか…普通にせいらさん繋がりって事でいいか
「そっか、私達は先に買ってもう渡しちゃってるからね〜」
「せっかくだし買い物タイムとしましょう。正直こんなお金貰えると思ってなかったし…それにしてもクリスさん達はヤバいね!億ですよ億…どうしよ、みーさんに鞍替えでもしようかしら」
レーヌさんがまためんどい事を言い出した
「ちょ、レーヌ!シャレになんないから、結婚はどーするのよ?」
「いやぁ、お金って大事じゃない?」
「レーヌ、冗談に聞こえないからやめとけ」
俺の勘が正しければレーヌさんは少なくとも過去にタイマ君を憎からず思ってた時があったと思われるんだよね、んで人はそう単純では無いから今だって完全に無関心とはいかないと思うのよ。
その中で金に目をくらませるって冗談を言った女に対してかつての意中の男が冗談に聞こえない何て言ったら女はどう思うだろうか?
「ふん、本当に考えちゃおうかしらね」
やや不機嫌になったと見受けられる。このパーティーってもしかしたら思ったより不安定なのかも知れないな
「みーさん、何考え込んでるんですか?まさか本気にしたのですか?許嫁がいる目の前で」
「この男はすぐこうなんだから、女なら何でも良いまであるね」
「アレか?メロニィはいつも求婚してくるから置いとくとして愛しのみーくんが取られそうで不安ってか?リーダーもお可愛いですなぁ〜」
「だ、誰がキミなんか〜!!このこのこのぉ〜〜」
クリスがこれでもか位ほぺみにょーんをして来た。
俺のやる痛めつけないほぺみにょーんではなく普通に痛いです
「だ、誰がコイツを止めろぉぉ」
「みーさんがそろそろ私を嫁にすると認めてしまえばもうこんな風に責められる事も無いんですよ」
メロニィもまた引っ掻き回しやがって
「それより早くお土産買いに行こうぜ〜」
目立ってしまってたのに気付いたのか、この提案はすんなり受け入れられ大人しくお土産を買いに行く事になった。
それにしても毎度こういうネタでイジられるのも若干しんどかっったりする。
漫画やアニメとかならこういう絡みってありそうなもんで見ている分には楽しいのかも知れないが実際受けるとなると愛嬌あるオチで済ますのって意外と難しいんだよ。
これが実年齢17歳位だとしたらまあこうはいかないぜ、なんかワンチャンあるんじゃね?とか俺に気があるんじゃね?みたいな感じになっていずれそういう方面に突っ走る事になるだろう。
それに漫画やアニメでは多分ではあるがあまりリアルな女性視点というものを考えられてはいない様に見受けられる。
女性の場合はああいう流れがあった際、最適解かその次点位を取らないと即とは言わないがいずれは不満に持たれる事は間違い無しで、しかも妥当だけを選んでもダメときたもんだ。
更に言うとタイミング次第では最低手前くらいの選択が最適解の次点くらいの位置にあったりする場合があるのでもう理解不能な領域だったりする。
だが俺は軽口を叩く事はあっても実際にはその一線は超えないよう、同じパーティー内でそういうのは好ましくないというスタンスをキチンと守ってるからこそ恋愛的駆け引きみたいな前提を発生させないようにしている。
それが出来てなかったらきっとこんな風に和気あいあいと仲良くパーティーはやってけてないだろうよ。
こればかりは中身がそこそこなおっさんで良かったと思うところ
「この店良さそうだね」
お土産は各自共通の人が居る場合はまとめて、個別になりうる人に対しては個別にという形で買う事になった
「姐御はこれで良いかのぅ?」
「こっちが良かったなんて思われない様にリリィさんと同じのにしとくか。そのかわりある程度良いものを選ぶ的な」
「へぇ、みーさんってちゃんとお土産とか買うのに考えられる人なんだね。タイマも見習いなさいよ」
キリカさんが感心する様に言ってきた。まあ年の功ってやつですよ
「みーさんそこは雑で居てくれよ、俺だけなんかダメみてーじゃねーか」
いや、俺がタイマ君くらいの頃は多分雑だったと思うからこれを期に選べるようになれば良いと思うの
「まあみーさんって本当のところ」
レーヌさんまでこの手の弄りをするようになったか、厄介な
「どういう事?」
「ほら、転生者ってことは…後は察しておやりよ」
「……て事はアレか?みーさんってもしかして俺達より上だったりするん?」
タイマ君め、こういうのはすぐ気づくか
「ほらほら、本人は17歳って言ってるんだからそれ以上は野暮よ」
言っといてフォローするくらいなら最初から言わないで貰いたい
「みーくんはもういい加減白状すればいいと思うよ」
なんやかんやと一通り回ってお土産を買い終わり噴水と時計台のある広場へ行き一休みしてそろそろ帰ろうかってなった時、事件は起きた
ハリを捕まえて一通り尋問を終えた後、隠者の法衣を着て俺達はちょっと遊んだりした経験が活きた結果だろう、また隠者の法衣を使いこなしきれてなかったというのもあったと思う。
広場で一休みして帰ろうと立ち上がった時、みーサーチは僅かな気配を背後に察知しナイフで襲い掛かってきた奴をなんとか制する事が出来た。
しかし余りにも急だった事、法衣の顔の部分だけ露出させた時に出てきた人物が見覚えのある顔だった事で完全拘束する前に隙を与えてしまったのだ
「アンタ……確かあの…名前忘れたけど転生者と居た魔法使いだったな?なんで…」
「お前等のせいだ!!」
怒り狂ったままに今度はクリスに襲い掛かりだした
「おい」
「ぎゃぁぁぁぁ!!!」
後から考えれば良し悪しだがクリスなら多分問題無く躱せたと思うけど、咄嗟に必殺技を出せばこの女の首が飛んでた可能性もあったと思う。
なのでその前に俺がコイツの腕を掴んで握り潰した 選択肢は悪いとも言えまい
「メロニィごめん、回復いい?」
俺が腕を握り潰してる姿を見てクリスが止めようとする動きを見せたので何か言う前に回復を頼んだ。
自分を襲って来た相手にすぐ回復を頼むなんて甘いとも思ったがクリスが自分を襲って来たヤツを庇うなんて事をするくらいなら俺が甘ちゃんの方が良い
「承知しました。正直必要ないと思いますが殺人未遂犯のためにみーさんが気負うことは無いですからね」
「タイマとキリカは一応離れた場所も警戒しといて。私は警察を連れてくるよ」
「一応理由は聞こうか?」
「アンタ等のせいで私の人生台無しになったんだからね!!彼は死んだわよ、あんなでも意外といい所もあったんだから。
それに勇者になれるかもって話だったから正直好みでも無けりゃカッコよくもないから別に好きとかじゃなかったけど体も許したのに……全部台無しよ!私の成功を返してよ!でなきゃ何かしら対価よこしなさいよ、それが出来なきゃ死ね!死ね死ね死ね!!」
うわぁ…様子見れば分かるけどぶっ壊れてるなぁ、こういうヤツは本当怖いです……言ってる事がもう話にならないし。って俺が引いてたら
「死ねゴミ」
ヤバい、まゆものマジトーンの一言ヤバ過ぎる…まゆもだけは怒らせちゃ駄目だな。
もし俺がこれ言われたら多分出家します。
クリスとメロニィも引いてるもの
「大丈夫ですか?」
警察が来たので一通り事情を話しつつ、ギルには話を通す事と隠者の法衣の事、それとコルト君が気にしそうなのでこの件に限っては可能なら黙っててあげてと伝えた
「なんか俺等のせいで後味悪くなっちまってごめんね」
「みーさん達は悪くねーよ。あんな頭おかしいヤツの事で気にするのはやめよーぜ。それより今度ジハンに来るんだろ?もてなすからいつでも来てくれよな」
「ありがとね。そうだ…これ、家直通だけど良かったらあげる。今度家にも遊び来てよ」
「行く行く〜、またみーそば食べさせてよね!」
レーヌさんが横から魔石を取ってった
「レーヌ、まさか本気でみーさんを?」
「違うから!すぐそういうのに結びつけるな」
「それじゃあそろそろ行こうか。色々ありがとうございました!楽しかったぜ、またね!」
こうして後味こそ悪かったがリンガー国の依頼は無事大成功に終わった。
後日ギルから書簡が届いた。
あの女に隠者の法衣を渡したのはフィールだったとされるが既に正気を失ってて聞き出すのに結構苦労したそうだ。
目障りだった俺とリーダーのクリスが恨まれていたようであり動機は完全に私怨だそうだ。
そこに付け入ったフィールが念の為ダメ元程度に刺客として隠者の法衣を渡してといった流れらしい。
フィールもフィールであまり正気では無さそうだがこの件に関してはその場の思いつきレベルの作戦だったらしく素直に認めてるそうだ。
フィールは魔物とも繋がってたと言えるので因果関係で言えばしっくり来る。
第二王子側の話も含め色々あるようではあるが俺達側にとってはこれで大凡問題は無くなったと思うとの事。
念には念を入れ、俺達に関係するような何かがあったら随時連絡を入れてくれるそうだ
この件が後に俺達にとっての大事件と間接的には関係があったと知るのは結構先の話になる。
悔しいのはもっとキチンとこの件に対して考えておけば決してこの時点で分かりえない事ではなかったという点だ。
まあ俺達は砦破壊なんてやらかしたり、死にかけつつも魔王軍将軍を討伐したり、初の異国クエストだったり、リンガー国側も偉業の達成と一つの平和を勝ち取れた事、王位継承問題の実質的解決等、色々あって何処か浮わついてしまってたのでこの時点で分からなかったのも無理はない。
だがこの件はそもそも時系列がおかしい。フィールは俺達を標的にしてたとは思い難く、仮に狙ってたとしてもあんな拙い刺客を送る事やその拙い刺客に隠者の法衣なんて伝説級のアイテムを授けるのもおかしな話なのだ。
それを無理してでもやるというのならそれはバスティー討伐及び第二王子の失敗時が自然だがそのタイミングだとフィールは既に拘束されていた。
あの魔法使いが正気だったら時系列のおかしさにも気付けたのだろうがそういう点でも運は俺達には向かなかったのだろう。
これも大事件の根本的問題に繋がってたりする
る。
どうであれこの件は思わぬ爆弾イベントなのであった




