やらかしは勘違いからで 13
「1分稼ぐ!皆逃げろ、コルト君達も頼む!」
遂に来ちゃったかと思った。
魔王軍将軍を順調に討伐出来てる俺達は魔王もなんやかんやと上手くやれるなんて考えてしまいそうなものだが、俺は生前からそんな楽観的な人間ではないのでこういう絶望的なヤツが出て来る事も何処かで想定はしていた。
正直コイツの強さは分からない、皆目見当もつかない。
決して自慢出来る見抜く目なんか持ち合わせてる訳では無いがここまで見当もつかないヤツとは今迄出会った事もないのでこの状態で戦うのは危険過ぎるという判断を俺は咄嗟にした
「待て待て、誤解するで無い。我輩は戦うつもりは無いし敵でもない」
そうなの?
「キューちゃんだ!」
「「え!?」」
まゆもさん知り合いっすか?
どうやら絶望的と判断したのは俺だけでは無かったようで一気に拍子抜けになってしまった
「はじめまして、我輩の名はキャロット。しがない吸血鬼をやってる者である」
「にんじん?」
ついツッコんでしまった
「にんじん言うな!そして我が名をにんじんと認識しようとするな!認識すると以後我輩の名をにんじんと翻訳されるようになってしまうわ」
「皆、コヤツは害はにゃいから大丈夫ぞよ、でもあまり意味も無いと思うぴょ。無駄におしゃべり好きで話長いから気を付けるのはそっちにゃのだ」
「意味も無いとか言うでないわ。我輩をキューちゃんと呼ぶのは…ヤマト村の娘だな。その呼び名はやめい!」
思ったより話しやすそうだがコイツと戦ったら瞬殺されるレベルでヤベーな。
タイマ君達は普段の姿とは一転してかなり警戒してると言うか見てて怖いレベルまで殺気放ってるもの
「そのキューちゃんだかにんじんじゃなくてキャロットさんは何用で来たのですか?」
一応普通に対応してみる
「にんじん言うでないわ!全く、ヤマト村が関わるとロクな奴が居らぬわ。だがまあ良い、それでこそではある。実は今日来たのは己等に顔通しと、いつかお願いを聞いて貰えたらなと言う気持で来たのだ」
お願い?見たところ俺達なんかより万能そうな奴が一体どんな願いだ?
「まゆもを知ってるって事はヤマト村の人にも同じ事してるのかい?」
「御名答、流石は転生者だけあるな!経験値がある意味豊富で」
「よぉーし、まゆもの言うように害がないならいいよ、話を聞こうじゃないか」
咄嗟にゴリ押したがコイツまさか俺の年齢分かるのか?
「みーくん何か誤魔化した」
「ええ、何か誤魔化しましたね」
クリスとメロニィが何かぼやいてやがる。俺の後ろに隠れて何言ってるんだと言いたい
「くくく、流石は魔王軍将軍を倒しまくってるだけの事はある。そっちの者達はどうか?考えようによっては魔王軍将軍より厄介だったあの憑き物の成れの果てみたいなヤツを打ち倒してるんだから有資格者とも言えるぞ」
「アンタ、そんな事まで知ってるのか!?有資格者ってなんだ?」
「では我輩の頼みというのを言おう。話は至ってシンプルである、我輩ともう一人同じレベルの吸血鬼の二人を滅する事の出来る技を会得したら我輩達を滅ぼして欲しいのだ。
勿論こちらは一切の抵抗もしないしやり辛かったらその技を魔石にでも込めてくれれば良い。
願いはそれだけだ、報酬は我が住処の財宝で手を打とう。国家予算並みの財宝があるから不足という事は無いはずだぞ」
話が突拍子も無さ過ぎてついて行けない
「そうは言ってもヤマト村の人にも同じ事言ってる上でまだそれが成就されて無いって時点でこの世界で実現可能な人って居るもんですかね?」
「鋭い小娘よ、裸を見られて心がどっか浮ついてる」
「わわわ、分かったから!!出来る限り協力はするから!でも今言ったみたくヤマト村の猛者達で無理な事を私達が出来るとは思えないわよ?」
「今何か誤魔化した」
「裸って何?見られたの?」
「む、昔の話よ!私この人嫌い!」
レーヌさんはお気に召さなくなったようだ。にしてもコイツまさか心読めるとかそんな感じか?
「かえで姉さんに言いつけるにゅ」
「ま、待て!悪かった、悪かったから!ふざけるのはここ迄にして…そうだな、自己紹介も兼ねつつ我輩の話を聞かせてやろう。
それとついでに、魔王の事とかは話せないが根源にあたる歴史とかその辺の話を少ししてやろうか。
興味があればで良いが今のところ我輩が己等に渡せる物といったらお話する位しか無いのでな」
かえでさんは怖いんだ、何やったんだろう
「お力になれるかは保証出来ませんがそれでもよろしければお聞かせください」
メロニィがキリッとしだした。仕事モードだな
「安心したまへ、失礼な意味ではなくこれはダメ元でやってる活動なのでな。駄目だからどうとか言う気は無いぞ。かれこれ5千年位はやってる活動なのでな」
「「5千年!?」」
また突拍子もない話だよこれは
「己等の中でも興味のそそる話をするかも知れないが先に言っておくぞ。我輩は個では誰にどうという感情は無いが種で見ればどちらかというと魔物側推しになるのでな、己等には悪いが魔王軍がどうこうという話まではしないのでその辺はご理解を頼む」
「って事はアンタは魔王の事とかも知ってるって事か?」
「ああ、知ってるとも。ヤツにも同じ頼みをしてあるからな。たまに遊びに行くしヤツも100年に1回くらいは挨拶をしてくるぞ。なんてったって我輩は神獣とある程度渡り合えるかもしれないって言われてるくらいには知る人ぞ知る存在だからな」
「こやつは先々代の魔王にゃのだよ」
「「ええーー!!?」」
それは驚きだ。ってそんな奴が何やってるのだろう
「こら、ヤマト村の娘!面白くなる所を奪うな!コホン、文献等も残って無いだろうが…そうなのだ、我輩は元魔王なのだ。
先代とは違い我輩は討ち滅ぼされた訳では無いのでな、人にはほぼ言い伝わってすらおらんと思うぞ。
先代のなら勇者ライトの伝説なんてモノがまだ言い伝わってるかもだがな」
「勇者ライトの伝説はかなり古い文献でありますよ!まさかあの話は史実なのですか?」
メロニィが食い付いた。どうやら興味深い話のようだ
「うむ、魔王をやめて唯一仲良くなった人間でもあるからな。ライトきゅんが存命だったら人類推し側だったと思うぞ」
ライトきゅんって…てかコイツかなり人間臭いな
「そうだったのですか!伝説の勇者とされる人物は本当に存在していたのですね!」
メロニィが目をキラキラさせておる
「では我輩の本題、我輩はかつて吸血鬼として人類の殆どを食した事があるのだ。
理由は愛しい人を殺られたのでその仕返しと、膨大な吸血により力を得て蘇生を企てたという事に起因する。
その時より更に昔、元々は人間だった我輩は別に特別な吸血鬼という訳でもなかったのでがむしゃらに血を食し続けたのだ。
そして人類に魔王とおそれられ殆どの人類を食した結果、蘇生は割と簡単に成功したのだ。
後からの話にはなるがそこまでせずとも吸血鬼なら蘇生は出来たし、もっとまともに蘇生させる事も出来たのだがそんな事も知らずに膨大すぎる力を持って蘇生なんてしたものだからな、冗談抜きで我々は不老不死みたいな存在になってしまったのだ。
通常吸血鬼はせいぜい千年も生きれば朽ちてくしそもそもそこまで生きる前に飽きて朽ちるものなのだが我々はそれが出来なくなってしまったのだ」
なるほど、それで滅ぼして貰いたいと
「自殺は出来ないのか?」
「うむ、如何なる攻撃でも再生してピンピンしてしまうのだ。
それにこの時の後遺症というかなんというかもう血を見るのも嫌レベルで吸血衝動等はなく、気分転換に普通の食事はする事はあれど我々に食事という物は完全に不要になってしまってな。
試しに色々やって見たが消滅したと思ってもすぐ完全復活してしまうのだ」
「神獣とも渡り合えるかもって言ってたけど神獣ならアナタを殺す事も出来るんじゃないの?」
「良い所を突くな、裸の小娘よ。神獣、というか神の名を冠するああいった連中は理屈では無くやることが全て正と言うか善なのだろう。
この世界の恐らく全ての神獣の所に回ってはみたが誰も取り合ってはくれなかったのだ。
本来なら無礼一つで消し飛ばして来るようなヤツですら我輩はスルーされたのだよ。
つまりそれだけ業が深いという事なのだろう」
簡単に楽にはさせ無いって事だな。人類の殆どをやっちゃってるんだからそりゃ業も深いだろうに
「聞く限りじゃ俺達にどうこう出来るとも思えないけどそんな事ないのか?」
「ヤマト村の武蔵はお主なら馴染み深いだろ?あやつは数少ない有資格者だと思えたのだ。
だがヤツは本当に斬ることにしか特化されて無くてな、再生してしまう我輩にはすこぶる相性が悪かったしあやつも途中から協力しなくなったのだ。
だが同郷の己なら素質もあろう、他の者も素質を感じるぞ。
なので頼む、気が向いた時でも我輩を滅する事が出来そうな技を編み出してくれ。
この石を渡しておく、この石が赤く染まる位の力があれば素質ありだ」
達成したら国家予算か、悪くないけど無理ゲーにしか見えんな




